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自動化とAIが相互連携し、大きな価値と変革を生み出す年に

2024年の“自動化とAI“、UiPathが考える7つのトレンド

2023年12月21日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 UiPathは、2023年12月11日、2024年の自動化とAIのトレンドに関する記者説明会を開催した。

 同トレンドは、UiPathのユーザー企業やパートナー企業、コミュニティメンバーからのフィードバックおよび、第三者機関による調査結果の分析などを踏まえて、同社がグローバルでまとめたもの。

 説明会では、UiPathのプロダクトマーケティング部 部長である夏目健氏およびソリューション本部のエバンジェリスト テランドロ・トマ氏より、自動化とAIの7つのトレンドが披露された。

UiPath プロダクトマーケティング部 部長 夏目健氏

UiPath ソリューション本部 エバンジェリスト テランドロ・トマ氏

 夏目氏は、「2024年は“自動化とAIが相互に連携して、各企業のビジネスに対して、大きな価値、そして変革を生み出す年”になると見込んでいる。AIの活用で価値を生み出す取り組みが前向きに進んでいくだろう」と説明する。

トレンド1:自動化によって、経営層はAIの価値を理解する

 2023年は、ChatGPTなどの生成AIの登場が市場を盛り上げ、世界中がAIに期待し、活用を始めた年となった。2024年は、ビジネスの現場でAIによる成果を体感する年になるとUiPathは予想する。

 AIで成果を生むためには、システムやアプリケーション、自動化との組み合わせが重要だという。「RPAなどを神経系として、AIとシステムを連携することで、生産性だけではなく、新しいサービスの実現やパーソナライゼーションの強化など、多様な価値の実現につなげることができる。さらに自動化は既存システムを変更することがないため、短期間で価値を生み出せる」と夏目氏。

 2024年は、AIの活用のため各企業がエンタープライズオートメーションに目を向けるだろうとした。

トレンド2:AI+自動化のユースケースの需要が高まる

 ChatGPTにより、無料かつ多言語で、チャットインターフェイスを通してAIが提供されたことで、AIが身近な存在になった。実際に試すことで、AIの可能性や限界が理解されるようになったものの、ビジネスの価値を生み出すところまでいくのは、決して簡単ではないという。

 そこで登場するのが、特定のユースケースを解決するソリューションである。「大規模言語モデル(LLM)の進化により、AIを活用したドキュメント処理を実現するIDP(Intelligent Document Processing)ソリューションが注目されている。日常のビジネスの課題を解決するようなソリューションを通して、AIから価値を得られるだろう」とトマ氏は説明する。

トレンド3:透明性の高い組織への注目が集まる

 プロセスをエンド・ツー・エンドで可視化できていなければ、作業のボリュームやボトルネック、ミスによる手戻り、非効率な作業などを把握できず、どのプロセスに自動化やAIを適用してよいか判断することができない。

 業務を構成するプロセスやタスク、コミュニケーションなどを分析する「プロセス・インテリジェンス」の技術は、業務の可視化や理解を支援する。また、業務プロセスをデジタルにより複製する「デジタルツイン」の技術により、業務改善をシミュレーションし、予め改善の影響を知ることができる。

 2024年は、これらの組織や業務を可視化する技術の導入が進むだろうと、UiPathは予想する。

トレンド4:LLMがバーチャルアシスタントを強化

 LLMの影響は明らかであり、企業の運営や製品開発、競争などに革命を起こしていく。しかし、LLMソリューションの自社開発には少なくとも1年以上かかると予測され、慎重な実装が必要であるという。

 一方で、ソフトウェアプロバイダーは、積極的にLLMを既存製品に統合しており、企業はすぐにLLMのテクノロジーにアクセスできる。LLMによって強化され、特定のビジネスに最適化されたバーチャルアシスタントは、データ管理や画像処理、メール処理などのルーチンタスクを自動化でき、大きな可能性を秘めているという。「ただし、これらが効果的に機能するには、適切なコンテキストと指示が不可欠」とトマ氏。

トレンド5:自動化自体に「自動化」の要素が追加される

 より多くのユーザーが利用できるノーコードソリューションへの要求が高まっている中、AIが自然言語により自動化ワークフローを作成してくれるようになるとUiPathは予想する。RPAのロボット自体も、AIにより自己診断や自己修復が可能になり、レジリエンスが強化される。

 また、AIモデルの学習には多大なコストが発生するが、生成AIや新しい分析技術によって、文書読み取りやデータの抽出、データ入力などのモデル学習の手間のかかる作業が自動化され、専門知識の必要な作業が大幅に削減されるだろうとUiPathは予測する。「モデル学習に要する時間も最大で80%削減され、AIで価値を生み出すまでの時間が短縮される」と夏目氏。

トレンド6:「安全なAI」が人々の行動と革新の焦点となる

 自動化の自己生成が進み、ローコードソリューションが広がることで、企業におけるAI導入が飛躍的に増加するという。そして、大きなリターンが得られると共に、リスクへの対処やガバナンスの必要性が増加する。

 倫理やバイアス、公平性、安全性、プライバシー、説明可能性、説明責任、サスティナビリティなど、AIの包括的なリスクに対して考慮するようになり、効果的なAIガバナンスが注目され、2024年は“責任あるAI”の年になるという。

トレンド7:業務のありかたの再定義がはじまる

 LLMは、80%の業務の一部を担う能力があり、2030年までに現在存在する仕事の最大30%が自動化される可能性もあるという。「働き方や、デジタルと人間の関わり方の最善を考え直すことが、今後の企業や組織の成長において重要」と夏目氏。

 UiPathは、2024年に、3つの領域で第一歩を踏み出していくべきとする。1つめは、既にAIの導入が進んでいる開発者やカスタマーサービスといった業種から学び、業務の設定や活用方法、必要スキルの定義を行うことだ。2つ目は、ロボットやAIといったバーチャルワーカーが実際の業務に及ぼす影響について熟慮すること。3つ目は、将来の“AI世代”を見据えて、スキルセットを再定義することだ。

日本市場においてもAI活用や高度な自動化が進む

 夏目氏は、「これらのトレンドは、われわれの働き方に大きな変化をもたらすが、いずれも楽しみな世界に繋がっており、市場全体からもAIの導入に対して非常に前向きな姿勢が伺えている」という。

 また、日本市場においても、「ユーザー企業との対話の中で、AIをどのようにビジネスに活用していくかという需要が、年々高まってきている。RPAによる自動化も、当初はルールベースの作業や構造化データといったシンプルなものから始まったが、人の判断や非構造化データの自動化といったニーズが高まってきている」とした。

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