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クラウドネイティブなIT×OTプラットフォームを迅速に構築

「Red Hat Device Edge」 一般提供開始― エッジ環境のモダナイゼーション事例が拡大中

2023年11月17日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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必要な場所で、柔軟かつ自由にワークロードをデプロイメントできるレッドハットのアプローチ

 また、エッジシステムのスマート化を進める上で課題になるのがソフトウェアの“更新“だ。

 「組み込みの業界では、安定重視の塩漬けの考え方が根強い。ただ更新する場合も、テストや検証の工数が増えたり、動作しなくなってしまったり、メンテナンス時間やネットワーク帯域が制限されて、一斉のファーム配布がそもそも困難だったりと課題を抱える」と小野氏は説明する。

 もちろん更新をしないと、セキュリティリスクは増加し、OSやアプリは陳腐化して、ビジネス機会の損失に繫がりかねない。そもそも、エッジデバイスへのデプロイメントは、限られたハードとソフトウェアのリソースで、数万台というデバイスを対象に方針を立てなければいけないのが、煩雑な運用を生んでいるという。

 一方レッドハットは、エッジコンピューティングにおいて「必要な場所で、柔軟かつ自由にワークロードをデプロイメントできるようにする」というアプローチをとっている。Red Hat Device Edgeにおいても、アプリケーションだけではなく、OSも含めたデプロイメントの効率化が進められる。

レッドハットのエッジコンピューティングのアプローチ

 OSのデプロイメントに関しては、エッジデバイスにOSのイメージを焼いたUSBを挿すだけで、自動インストールされる。Kubernetesコンテナ基盤である「MicroShift」も含まれているため、クラウドやデータセンター上でデバイスを管理するAnsibleにも自動登録される。

 アプリケーションのデプロイメントの観点では、エッジデバイスでKubernetesのAPIが実行できるため、クラウドネイティブな環境と親和性が高く、DevSecOpsやMLOpsで利用されるツールと連携してプラットフォームを効率的に構築できるという。

OS・アプリケーションのデプロイメントを効率化

 デプロイメントの課題に対応する事例として、京都で産業機器システムを中心に事業を展開するたけびしが紹介された。同社は、320種類以上のコントローラや装置から製造現場のデータを収集して、製造実行システムなどに繋げるデバイスゲートウェイを提供している。

 このデバイスゲートウェイは、ITシステムと切り離されたり、スタンドアローンな環境での生産現場で設置され、かつ1台1台、現場で配置して、プロビジョニングし、設定するという煩雑な作業を伴っていた。そこでRed Hat Device Edgeの採用によりクラウドネイティブなアプローチをとり、自動プロビジョニングや、Kubernetesによるスケーラブルな基盤を、一斉に横展開できるようになった。

単一操作によりデバイスゲートウェイを一斉展開

Red Hat Device Edgeによりスケーラブルな導入基盤に

 たけびし 技術本部 ソリューション開発部 オリジナル商品開発課 主事 小林弘明氏は、「デバイスゲートのデプロイや管理、データ連携に必要なネットワークの構築、CanekやKafkaなどとのデータ連携などが容易になり、生産システムを構築する期間の削減とスピーディな横展開を実現できる」と説明する。

たけびし 技術本部 ソリューション開発部 オリジナル商品開発課 主事 小林弘明氏

クラウドネイティブなIT×OTプラットフォームを産業から通信へ

 最後にレッドハット小野氏からエッジビジネスにおける国内展開の戦略についても語られた。まずは産業業界に対して、エッジ領域で拡充したクラウドネイティブな技術により、エッジ環境のモダナイゼーションを推進する。さらに産業特化の協業ソリューションにも取り組むという。

 「Red Hat Device Edgeによりエッジデバイスも加わったことで、ITとOTを融合させたプラットフォームを構築することができる」と小野氏は言い、今後は、産業業界での取り組みを、スマートデバイスにより新規ビジネスを積極的に展開している通信業界に対して還元していく予定だという。

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