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日本法人設立10周年、大阪データセンターを開設しDR・バックアップ需要に対応

Zendesk、生成AIでカスタマーサポートの“難しく大変な”業務を支援

2023年10月20日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 カスタマーサービスソフトウェアを展開するZendeskは、2023年10月18日、日本法人設立10周年にあわせて事業戦略に関する記者発表会を開催。さらなる成長に向けた、国内2拠点目となる大阪データセンターの開設や生成AIサービスの強化について説明した。

 Zendeskは、2007年にデンマークにて創業。2009年には本社をアメリカに移転し、2014年にはニューヨーク証券取引所に上場、グローバルで事業を展開する。同社のオムニチャネルに対応したカスタマーサポート支援のソフトウェアは、導入しやすい料金体系と使い勝手からベンチャー企業を中心に導入が進み、今では大企業のサポート部門でも利用されている。

 日本法人は2013年に設立。国内でもグローバル同様にベンチャー企業から利用が広がり、2015年に500社だった導入社数は3000社に増え、東京電力エナジーパートナーなど大企業での採用も増えてきたという。

 Zendeskの日本法人社長である冨永健氏は、「日本法人を設立して10年が経ち、マイルストーンを達成してきた。元々4人からスタートし、今では70人を超える社員を抱えるようになり、ビジネスに必要な機能をすべて、日本の商習慣にあわせて提供できるようになった。事業規模に比べて大きな、1000人を超えるユーザーコミュニティも立ち上がっており、心強く思っている」と語る。

Zendesk 日本法人社長 冨永健氏

大企業や中央省庁の需要に応える大阪データセンターの開設

 10周年を迎えたZendeskは、ビジネスの拡大にあわせ、東京に続く国内2拠点目となるデータセンターを大阪に開設。2024年7月までに運用を開始する。これにより、大企業や中央省庁などの、国内で閉じたディザスタリカバリーやバックアップの需要に対応する。

 来日したZendeskのCEOであるTom Eggemeier氏は、「日本はアメリカ以外で初めてデータセンターを2つ構える国となる。いかに日本市場を重要視しているか、いかに日本市場がZendeskの世界的な成長に貢献しているかを示している。日本はZendeskにとってトップ5の市場。日本のユーザーはカスタマーサポートを大切にしており、日本のベストプラクティスを世界にも展開していきたい」と語る。

Zendesk CEO Tom Eggemeier氏

“難しく大変な”サポート業務を生成AIで支援するZendesk AI

 

 データセンターの整備とあわせて発表されたのが、生成AIを活用してカスタマーサポートを支援する「Zendesk AI」の機能強化だ。

 日本でも今年5月から提供しているZendesk AIは、問い合わせの要約や回答作成の支援といった機能により、カスタマーとのやり取りにかかる業務負荷を軽減。またトリアージ機能により、問い合わせ内容を分析して優先度付けを代行することもできる。

 このZendesk AIでは、OpenAIのChatGPTと合わせてZendeskの独自構築モデルを活用する。独自モデルのトレーニングには、Zendeskのカスタマー対応トランザクションデータを用いている。

 富永氏は、「多くのAI機能は、モデルを用意し、データを投げて、学習させてからようやく使えるが、すぐ使えるのがZendesk AIの特徴。これは学習対象がすでに解決済みのきれいなデータだからであり、導入したその日から活用できる」と説明する。

 Eggemeier氏は、「AIがユーザーに与えるインパクトは私たちの予想を超えるもので、5月の発表以降、10億件以上のアクションを自動化してきた。これはユーザー企業の時間節約につながり、担当者がカスタマーと接する時間を増やすことができる」とZendesk AIの効果を強調する。

 またZendesk AIでは今回、カスタマーと直接やり取りをするAIボット機能が、ナレッジベースを横断しながら関連性の高い情報を集めて要約し、より自然なかたちで対話できるようになった。ボットをトレーニングするだけでなく、カスタマーからのフィードバックに基づいてやりとりを改善することが可能で、カスタマーの自己解決率を高めてサポート担当者の負担を減らすことが期待できる。

 また、カスタマーだけではなく従業員に対するヘルプデスク業務も生成AIで支援する。社内からの問い合わせの目的や印象を分析し、回答を提案するなどの機能でヘルプデスクの業務を効率化。従業員の満足度向上にも寄与する。

Zendesk AIの強化

従業員エクスペリエンス向けのAI

 2024年第1四半期からは、買収したTymeshiftの機能を日本で提供予定だ。ワークフォース管理を支援するTymeshift機能は、サポート担当者のスキルや対応状況などをAIが分析、リアルタイムで追跡することで、人員配置を考慮したスケジュール作成を自動化する。

 データ/AI活用の普及に伴って懸念が高まるプライバシーとデータ保護についても強化を図る。「高度なデータプライバシーとデータ保護」パッケージにて、暗号化やデータの表示・非表示の定義、データにアクセスしたユーザーの可視化といった、柔軟なセキュリティ機能を提供する。

データプライバシーとデータ保護の強化

 Eggemeier氏は、「日本は当てはまらないかもしれないが、世界的にはカスタマーサポートの離職率は1年で100%と非常に高い。それは非常に難しく大変な仕事だからだ。カスタマー満足度の向上と同様に、サポート担当者の満足度の向上も重要」とサポート業務の効率化に想いを込めた。

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