2023年秋の新製品大会、第3弾はニコンである。中身は最新のミラーレス一眼ながら、見た目や操作感はレトロでクラシックでメカニカルというギャップが魅力的な「Z f」。発売は10月27日予定だが、いち早く使わせてもらえたので早速、猫である。場所はいつもの「保護猫シェルター QUEUE」だ(開設5周年を迎えたそうです)。
カメラの見た目は……、知らないで見るとかなりフィルム一眼レフ。もともとニコンのマニュアル一眼レフ「FM2」を意識してデザインされたものだからだ。
FM2は露出もフォーカスも全部マニュアルだったけど、Z fはもちろん違う。「カメラ操作といえばこれだぜ」とダイヤルをカチカチ回しながら好みのセッティングを見つけてカシッと撮ってもいいし、中身は最新のミラーレス一眼なので「ダイヤルなんて飾りですよ」といいながらオートで気軽に撮ってもいい。
もちろん、猫AFは搭載、というか、かなり優秀。
おおむね、AFはカメラさんよろしく、とばかりに構図を合わせて、シャッタースピードを決めて(猫を撮るときはこれ大事)、タイミングを合わせて撮るべし。これは寝てるとこなので、シャッタスピードは抑えぎみで。
特に、レンズキットの「NIKKOR Z 40mm f/2(SE)」が、小さくて軽くて写りもよくて素晴らしい。室内で猫を撮る人は必携だと思う。
でもそれだけじゃない。ボディのデザインやインターフェース的にじっくり構えてピシッと撮るカメラに見えるけれども、AFを含むレスポンスも速くて、瞬間を撮るのにも向いてるのだ。
こんな子猫2匹の写真も……AFをカメラ任せにしたら、紐にじゃれついてる猫じゃなく、上から顔を出してるほうに合っちゃったけど(まあしょうがない)、こんな瞬間もきれいに撮れるのだ。
さらに、AFが速くて優秀でうれしいぞ、という写真。カメラを持って子猫を狙おうと思ったら、カメラに付けてるストラップにいきなり飛びかかってきたのだ。
これは面白いってんで、慌ててカメラを下に向けて、瞬間を止められるようにシャッタースピードを1/1000秒に上げて撮ったのがこちら。うにっと体を伸ばして飛びかかってきてる瞬間でも、きちんと瞳にフォーカスがきてるの、楽しくない?
にしても、子猫のストラップ好きはかなりのものですな。
冒頭写真も、猫瞳AFさんよろしく、で撮ったもの。近づいてきたので、指をさっと差し出したときの1枚。猫の顔にピシッとフォーカスがきてて、地面や私の腕はきれいにボケてるのがわかる。
もうひとつ、Z fの特徴に「B&W」ポジションがある。今やどのカメラもモノクロモードは持ってるけど、Z fは「写真・動画」の切り替えダイヤルに「B&W」を追加したのだ。いつでも「ここはモノクロで撮りたい」ってときに、ダイヤルでさっと切り替えられるのである。
あくびをしてもモノクロ。
顔のアップもモノクロだとめちゃシブい。ちなみに、これは「NIKKOR Z 70-180mm f/2.8」という望遠レンズでの撮影なり。
そして最後は、うちの黒猫のモノクロ。黒猫もモノクロで撮るとまた違ったテイストが楽しめるのだ。黒といっても光の当たり方で毛の明るさが変わるから、黒猫もモノクロで撮ったほうが、その立体感がいい感じに出るのである。
ちなみに、製品撮影用に使ってる部屋の台の上でくつろいでたので、斜め上にいつも置いてある撮影用ライトをつけてます。だから、一般家庭の室内なのにコントラストがはっきり出てるわけですね。
Z fはこんな感じで、ダイヤルをカチカチ回して自分でセッティングして「クラシカルなカメラの醍醐味」を味わうこともできるし、高速AFやオートでの画質のよさを生かして、イマドキのミラーレス一眼っぽく楽しむこともできる。
しかも、シャッターの感触もいいという、撮ってて楽しいカメラなのだった。猫ばっか大量に撮っちゃって、使う写真を選ぶの大変だったもの。
趣味道楽のカメラというこの路線は、大事にしてほしいなと思う次第です。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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