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新型ロータリーエンジンを組み立てる匠は3名! 工場のデジタル化と職人の合わせ技で完成する

2023年09月14日 11時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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◆エンジンは発電、モーターは駆動に使われる

ロータリー

8C型ロータリーエンジン

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MX-30 Rotary-EVのPHEVユニット構造図

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実際に組み込まれた様子

 それでは今回復活したロータリーエンジン「8C」を見てみましょう。8Cは前出のとおり、PHEVユニットの発電用として完全新規設計されたエンジンで、動力はジェネレーターの発電用に用いられます。いわゆるシリーズハイブリッド動作のため、エンジンから生まれた動力が駆動輪に伝わることはありません。

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8Cの説明スライド

 8C型は、排気量830ccの自然吸気1ローターで構成。最高出力は53kW(71馬力/4500回転)、最大トルクは112N・m(4500回転)を発生します。マツダが市販車で1ローターのエンジンを搭載するのは初めてのこと(軽自動車の排気量が360ccだった頃に1ローターの3Aエンジンを開発していたことはあるようです)。一方で、1ローターあたり830ccという排気量もロータリー搭載市販車では過去最大。ついでに申し上げると、ロータリーエンジンを横置きにマウントするのも初のこと。まさに「異例づくし」であり、それゆえ「新時代のロータリーエンジン」といえます。

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13Bの主要部品

 RX-8に搭載されていた13B-MSP RENESIS(13B型)と比較してみましょう。13Bは排気量654ccのロータリーを直列に2個繋げた総排気量1308ccとしたエンジンで、その起源は1973年のマツダ・ルーチェにまで遡ります。

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上が8C、下が13B。8Cの方が薄いことがわかる

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左が8C、右が13B。ローターの大きさは、そのまま排気量につながる

 8Cのローターの厚みは13Bに比べて4mm薄いものの、創成半径は13Bの105mmから大幅に拡大した120mm。これは1ローターあたりの排気量を大きくしたことによるもの。エンジニアによると「1ローターでジェネレーターを動かすために必要だった」とのこと。

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MX-30 Rotary-EVのパワーメーター

 ロータリーエンジンというと、モーターフィールにたとえられるように際限なく回るエンジンというイメージを受ける方が多いでしょう。ですが1ローターであることと、今回は発電用途のため、普段は最も効率のよい2500回転付近で駆動するように設計されているとのこと。レブリミットは4700回転前後だそうで、回転数が低いのは単気筒のレシプロエンジンと似ています。ちなみに高速道路などでは4500回転まで回ることがあるそうです。

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