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鮮度保持の最新技術も登場 食の課題解決に挑む先端フードテック8社が登壇

「Foodtech Venture Day vol.10」レポート

特集
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 2023年5月9日東京ミッドタウン八重洲で、「Foodtech Venture Day vol.10」が開催された。同イベントはフードテック領域のコミュニティ形成を拡大する株式会社シグマクシスと、最先端の技術や研究の社会実装に取り組む株式会社リバネスの共催によるものだ。

 10回目となる今回は「フードシステム革新に挑戦するゲームチェンジャー」をテーマに、ピッチや展示、試食体験を通じて、フードテック領域の先端技術が共有された。

 現在のフードシステムは、地球環境問題や世界情勢に伴う食糧危機の高まり、健康への影響、所得差がもたらす栄養格差など、さまざまな社会課題をはらんでいる。本記事ではそうした食糧問題の解決に取り組むスタートアップ8社によるピッチの模様をお伝えする。

海藻の採取から生産、料理開発までを一気通貫で行う
合同会社シーベジタブル

合同会社シーベジタブル 共同代表 友廣 裕一氏

 合同会社シーベジタブルは海藻の採取から生産、料理開発までを一気通貫で手掛けるスタートアップだ。海藻を取り巻く課題のひとつに、地球温暖化が原因で海藻が減少していることが挙げられる。同社によると年間2000ヘクタール分の海藻が喪失しているという。

 また、もうひとつの課題として、日常的に食べられている海藻の種類が限られていることがある。日本の沿岸海域には約1500種類の海藻が生えており、食用になり得るといわれているが、日常的に食べられているのはわずか10数種類だ。原因は乾燥以外の加工方法が開発されてこなかったことが挙げられる。

 こうした課題を解決するため、シーベジタブルは海藻の採取から生産、料理開発までを手掛けている。同社の強みとしては、地下海水を活用した陸上養殖や海の生態系の回復につながる海面養殖などがある。さらに近年、ヨーロッパを中心に海外でもサステナブルやエシカルの文脈で海藻が注目されており、外国人にも好まれる海藻を活用した料理メニューの開発も進めている。

生産者と消費者をつなぐ「ポケットマルシェ」を運営
株式会社雨風太陽

株式会社雨風太陽 代表取締役 高橋 博之氏

 株式会社雨風太陽は農家や漁師などの生産者と消費者をつなぐオンラインプラットフォーム「ポケットマルシェ」を運営している。「ポケットマルシェ」では首都圏在住の消費者が、アプリやサイト上で、地方の生産者とコミュニケーションを取りながら新鮮な食材を注文できる。

「ポケットマルシェ」の特徴は、生産者と消費者のコミュニケーションを重視している点だ。生産者にとってはファンマーケティングの実践の場となる。消費者にとっては生産者の実情を知れたり、地方の関係人口になれたりするメリットがある。

 雨風太陽は「ポケットマルシェ」を通じて、農村部と都市部の両方に軸足を置く、第三のライフスタイルを提案する。地方の関係人口が増加することで、地方は都市部のスキルを生かして地域課題を解決でき、都市部では地方の自然や人の温かさなどを感じながら生活できる社会が実現するとしている。

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