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「IR Day 2023」でビジネス・プラットフォームBAのデータ活用を披露

「循環型デジタル・エンジニアリング企業」を目指す三菱電機の取り組み

2023年05月31日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 三菱電機が、5月29日に開催したIR Day 2023において、ビジネス・プラットフォームBAの取り組みについて説明が行なわれ、その現状と将来に向けた指針が示された。顧客からのデータをデジタル空間に集約・分析し、グループ内で新たな価値を生み出し、社会課題の解決に貢献する『循環型デジタル・エンジニアリング企業』を目指すという。

三菱電機の漆間啓社長CEO

「循環型デジタル・エンジニアリング企業」とは?

 三菱電機は、「循環型デジタル・エンジニアリング企業」を目指している。循環型デジタル・エンジニアリング企業とは、三菱電機がありたい姿として定義しているもので、顧客に納めたコンポーネントやシステムが利用されることによって生まれたデータを、顧客から提供を受けて、デジタル空間に集約。これらのデータを分析することで、顧客が気づいていない潜在的な課題やニーズを把握。得られたデータをもとに、三菱電機グループ内が強くつながり、お互いに知恵を出し合い、コンポーネントやシステム、統合ソリューションを進化させ、新たな価値を創出する。さらに、創出した価値を幅広い顧客に還元することで、顧客とともに社会課題の解決を図るというものだ。

循環型デジタル・エンジニアリング企業

 そして、これを支えるのが事業DXおよび業務DXを推進する「循環型デジタル・エンジニアリング経営基盤」であり、それを下支えする役割を担うのがビジネス・プラットフォームBA(ビジネスエリア)となる。同BAは、ここで蓄積したノウハウを情報システム・サービス事業として外販し、2025年度には2000億円の事業規模を目指す。

 三菱電機の漆間啓社長CEOは、「デジタルにより、迅速に循環させることで、多くの価値を創出し、幅広い社会課題の解決に貢献することが、循環型デジタル・エンジニアリング企業である」と語り、「各事業本部が、10年~15年先の循環型デジタル・エンジニアリング企業を描いており、各事業本部において、その姿が見えてきている段階にある。そこからバックキャストして、いまなにをすべきか、どんなステップを踏むべきか、さらに、世の中の変化を応じて、どう見直すかといったことを進めながら、ありたい姿を目指す」とした。

 デジタル領域において、三菱電機が持つアセットとしては、データの解析や利活用を行なう「デジタル空間」、デジタルによって経営や事業を変革する「DX人材」、新たな市場の開拓を目指す「共創」、AIやモデルベースの深化を行う先進的な「技術開発」、経営インフラとなる生産および業務プロセスのDXを図る「プロセス改革」の5つが挙げられる。

デジタル領域のアセット

 なかでも、「デジタル空間」、「DX人材」、「共創」への取り組みを加速させるために、DXイノベーションセンターを設立。漆間氏は、「幅広い顧客を横通しするデジタル領域のアセットを強化し、コンポーネントやシステムを深化させ、循環型デジタル・エンジニアリング企業を目指すことになる」(漆間社長CEO)とした。

 DXイノベーションセンターは、2023年4月に、社長直轄組織として新設。各事業や他社が持つソリューションをWebAPIで連携させることで、顧客の要件にあわせて、柔軟な構築できるデジタル基盤を提供。製品の設計データや現場で生まれた各種データが、使用環境の違いや、データ種類や形式の違いなどにより、横断的に活用できなかった環境を改善。再利用可能な形で格納できるデジタル空間を実現するという。

 漆間社長CEOは、「三菱電機は、多くの製品を持ち、活用される現場の多様な知識、知見、ノウハウを強みとしてきた。これらをデータとして集約するデジタル基盤や空間を構築し、データを分析することで、潜在的なニーズに応えることができる未来指向の事業モデルに、三菱電機を変革していきたい。社会や価値観の変化を捉えて、大学やスタートアップ、顧客とともに未来社会を予測して、新たな価値をタイムリーに創出したい」などと述べた。

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