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地域に拡がるスタートアップ支援 横浜市「YOXO」、広島県「ひろしまユニコーン10」の魅力

JID2023セッションレポート「地域活性のためのスタートアップエコシステム」

連載
JAPAN INNOVATION DAY 2023

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 2023年3月3日に開催したASCII STARTUP主催カンファレンス「JAPAN INNOVATION DAY 2023」でのセッション「地域活性のためのスタートアップエコシステム」では、横浜市と広島県の支援担当者がスタートアップ支援やオープンイノベーションへの取り組みを披露。自治体が期待するエコシステムやグローバル進出への支援施策、自治体としての手応えなどさまざまなトピックが飛び交った。

スタートから3年、大きく成長した横浜市のYOXO(よくぞ)

 今回登壇したのは、スタートアップの育成を行なっている横浜市と広島県の担当者。ASCII STARTUP副編集長のガチ鈴木がモデレーターをつとめた。横浜市と広島県に登壇を依頼した背景として、ガチ鈴木は「大阪、福岡、仙台などスタートアップエコシステムが強い大都市以外にも、スタートアップ支援が拡がっていて、さまざまな自治体が手厚い支援をしていることをみなさまに知ってほしかった」と語る。

 民間企業やNGOを経て、2009年に横浜市に入庁した南野ショナー氏は、横浜市経済局 新産業創造課でスタートアップ支援&オープンイノベーション事業を担当(イベント登壇当時)している。横浜市では、「YOXO(よくぞ、YOKOHAMA CROSS OVERの略称)」というコンセプトを掲げ、産学公民の多様なプレイヤーが連携し、横浜からイノベーションを創出していくことを目指している。「YOXO」というのは、「スタートアップやオープンイノベーションに挑む挑戦者を称える『よくぞ!』という掛け声を表している」(南野氏)とのことだ。

横浜市 経済局新産業創造課(肩書きはイベント当時) 南野 ショナー氏

 横浜市は関内の横浜スタジアムすぐ横にスタートアップ成長支援拠点「YOXO BOX(よくぞボックス)」を設置している。「新しい交流を生み出すためのサンドボックス」として2019年10月に開設された「YOXO BOX」だが、スタートから3年間で民間投資額、成長支援件数、ビジネスイベント件数など目標以上の数値を達成しているという。

「YOXO BOX」では、スタートアップの成長ステージに合わせたプログラムを用意しており、特に創業前から創業初期のスタートアップを対象とした「イノベーションスクール」は定員を大幅に超える応募があったという。以前「YOXO BOX」で交流イベントの運営を手がけていたガチ鈴木は、「関内という場所柄、さまざまな職種の人たちが参加される。今のスクールも多種多様で、おもしろい取り組み」と説明する。

ひろしまユニコーン10爆誕 とにかく手厚い広島のサポート

 続いて広島県の取り組みについて説明したのは、広島県 イノベーション推進チーム 主任の歳森靖子氏。歳森氏も民間企業からの転職組で、スタートアップ担当は2年目だという。

 広島県は人口276万人、県内総生産11.8兆円で、ともに全国12位。一人あたりの県民所得が中国四国域で1番高い。自動車メーカーのマツダや半導体製造装置のディスコなど製造業を中心としたものづくり県として知られている。この製造業に次ぐ新たな成長産業を育成すべく、「イノベーション立県」を掲げて10年前から注力しているのがスタートアップ支援だ。

広島県 イノベーション推進チーム 主任 歳森靖子氏

 2022年には10年間でユニコーンに匹敵する企業を10社創出する「ひろしまユニコーン10」という野心的なプロジェクトを立ち上げる。「広島からユニコーン企業が生まれたら、産業にも刺激が加わるし、リソースが集まる。みんなの挑戦心にも火が付く。広島からチャレンジするのが当たり前にしたい」と歳森氏はアピールする。「ひろしまユニコーン10」の対象は、企業価値10億ドル以上の急成長を目指す企業。スタートアップに限らず、新規事業でカーブアウトした企業や、アトツギベンチャーでもOKだという。

 現在、広島では「イノベーション・ハブ ひろしま Camps」といった交流拠点、「ひろしまサンドボックス」と呼ばれる実証フィールドのほか、各種協議会が積極的に活動中。起業家・支援者の登録者は6000人に上り、県内7割の自治体でのべ153の実証実験が行なわれたという。過去4年間で広島に移転した企業も100社以上だという。「ひろしまユニコーン10」では、特に環境・エネルギー/カーボンニュートラル分野やヘルスケア分野に注力。広島から急成長を目指す企業のアクセラレータプログラムやビジネスイベントについても紹介した。

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