メタバース今昔~特許の内容からメタバースブームの成功要因を考える~
セカンドライフからMetaまで
今の「メタバース」に関連する特許
さて、ここで、現在の「メタバース」関連の特許についても見てみます。
現在、多くの企業が「メタバース」の分野に参入しています。その中から今回は、Meta社(旧Facebook社)の特許を取り上げます。
Meta社が出願している特許のうち、近いところで出願しているものを取り上げ、リンデンラボ社の特許との違いについて、考察してみようと思います。
リンデンラボ社の構成との違いという観点で確認したところ、下記のような出願がありました。
出願の内容としては、ユーザの端末に対し、ユーザアクション、または文脈情報に基づいて、ユーザの意図を推測し、表示されているコンテンツと相互作用するコンテンツと関連付けられた構成を調節することが記載されています。ユーザの行動等から、ユーザに最適なコンテンツを提示するようなものと考えられます。
今と昔の「メタバース」を取り巻く技術の違い
さて、上記Meta社の出願ですが、システムの構成としては、リンデンラボ社の特許における構成と少々異なっていることがわかります。
リンデンラボ社の特許におけるシステムでは、PCの前にユーザが固定され、動きのフィードバックを得るようなシステム構成になっていました。
一方、Meta社の出願におけるシステムでは、ユーザはウェアラブルデバイスを装着し、仮想空間における操作を行うようなシステム構成になっています。
両社の構成の違いから、「メタバース」をめぐる技術に、下記のような違いが見られるように思います。
・昔のメタバース(リンデンラボ社/セカンドライフ)
(比較的)高スペック、大掛かりな装置でシステムを構成
・今のメタバース(Meta社の出願の傾向から)
そこまでスペックを要求しない、比較的簡易にシステムを構成可能
そのため、出願の観点を見てみると、大掛かりに複数のデバイスを接続して構成されたシステムを想定した出願と、より簡易的に、多くの人も扱えるシステム、より汎用的な環境を想定した出願とで、出願にかかるシステムの構成に変化が生じていることがわかります。
もちろん、コンピュータの技術が発展した、ということも大きな要因であると思いますが、それ以上に「より多くの人に身近なシステムを想定している」のではないでしょうか。