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全国2000人に対する合同調査結果を発表、「未来の働き方」の実態/意識を分析

“テレワーク積極推進”4社トップが語る、日本の新たな働き方への提言

2022年04月12日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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4社トップが語る「日本の新しい働き方に向けた分岐点」

 今回の合同調査を行った4社のトップは、それぞれの会社における2年間の取り組みを振り返り、その成果を紹介した。

積極的なテレワーク化に取り組む4社のトップが語った

 2年前、オフィスに出社しない「バーチャル社長」を宣言したサイボウズ 社長の青野義久氏は「『テレワークの定着』はマネジメントにとって必須の業務になっており、これができない企業は若者が離れていってしまう。中小企業こそ導入してほしい。そうしなければ人材は大企業に取られてしまう」と指摘する。ただし、そのために必要な「風土の変革」は中小企業のほうが適しており「むしろチャンスになる」とアドバイスする。

 なおサイボウズでは、およそ7割だった出社率がコロナ禍を経て約1割となり、一方でグループウェアへのコメント量は7倍以上になったという。

 「さまざまなツールを導入するとサイロ化が生まれやすい。共通のプラットフォームに社員が集まり、情報が共有できるようにしておいたほうがよい。(サイボウズでは)日報ではなく“分報”としたことで、会社にいるときのようなやりとりや進捗の共有、社員の状況把握ができ、社員どうしのコミュニケーションが盛り上がっている」(青野氏)

サイボウズではコロナ禍を機にオンラインコミュニケーションが急増した

 Zoomを提供するZVC JAPAN 社長の佐賀文宣氏は、「リモートワークのメリットを受けているのは日本のごく一部のオフィスワーカー。100%のワーカーがテレワークを行えるとは思っていない」と述べたうえで、「ただし10%でも20%でも、便利なツールを活用して働き方を変えれば、生産性は飛躍的に向上する」と説明した。

 「職種としてはエッセンシャルワーカーのひとつであるアート引越センターだが、Zoomを使って見積もり業務を行うことにより、業務全体の10%をリモート化できた。(この例のように)“現場”にリモート技術を持ち込む努力をしたい。将来はすべての人が、ZoomやTeamsといったツールを意識しなくても双方向でつながる時代がやってくるだろう。ビデオコミュニケーションの民主化によって、時間、場所、言語、立場を超えて、コミュニケーション格差のない社会を実現したい」(佐賀氏)

佐賀氏は、エッセンシャルワークの現場にリモート技術が組み込まれて新たな働き方を実現する未来を語った

 レノボ・ジャパン 社長のデビット・ベネット氏は、海外ではポストコロナ時代の働き方を模索するなかで「個人や部門の裁量に委ねる方向と、企業単位で規定し、従業員に対応を求めるといった二極化がみられる」と説明する。こうした動きのなかでは、自分の好きなスタイルで働けないならば、ほかの会社に転職するケースも増えているという。

 「今後、日本でも同様の傾向が生まれる可能性が高い。実際にレノボへの転職者は、テレワーク制度を採用していることを理由に挙げる例が多い。テレワークの経験がない企業ほど働き方の選択肢が狭まっており、“テレワークリテラシー”の差が生まれているともいえる。日本は自由な働き方の浸透に向けて大きなチャンスがある。通勤時の満員電車から解放されること、どこに行っても高速な通信インフラがあることに加えて、地方創生のニーズもある。日本の企業にとってはいまが分析点であり、もっと柔軟性の高い働き方に取り組んでもらいたい」(ベネット氏)

ベネット氏は、働き方や働く場所に関するこれまでの考え方を変えることを提案した

 アステリアの平野洋一郎社長は、「内閣官房の調査をはじめとする多くの調査で『テレワークは生産性が低い』という結果が出ているが、アステリア社員を対象にした最新調査では、約8割の社員が『生産性が向上した』と回答した。しかも、アステリアは過去最高益を達成している」と述べた。

 「(生産性が下がったという)世の中との違いがある。業務システムのすべてをクラウド化して出社要因を排除したほか、月1万5000円の快適化手当の支給などホームオフィス環境にも積極投資している。また、オフィスの役割を『必要な人が必要な時に来て会う場所』と再定義し、自宅やカフェ、約200箇所の外部サテライトオフィス、リゾートオフィスでも働ける。つまり、仕事に合わせて最適な場所が選択できる『どこでもオフィス』を実現している。緊急避難的なテレワークではなく“生産性を上げるテレワーク”を本気で追求することによって、新たな働き方のベースを構築できる」(平野氏)

平野氏は、アステリアではテレワークで生産性を上げることができており、“生産性を上げるテレワーク”を追求する必要があると提言した

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