認知症リスクを検出する脳MR画像解析AI。デジタル連携がカギ
脳ドック用プログラムBrainSuiteで脳健康のための正しい生活習慣を知る
世界の課題である認知症予防に向けた展開を加速
CogSmartは2020年10月に香港の子会社CogSmart Asia Limitedを設立し、そこを起点にアジア・オセアニア及び欧州への展開を狙っている。2021年7月には香港のインキュベーション施設から補助金対象として採択されており、2021年末に実施したシリーズAによる資金調達と併せ、今後の研究開発や海外展開の加速に期待が持たれている。
「中国(本土)への展開を検討している。香港大学が深セン地域に病院を持っており、香港でCEマークやFDAの承認を得るためのデータや臨床試験などを得る際に、一緒に深センの病院でも管理ができるという説明を受けている。中国単独で知見をやろうとするとデータマネジメントが非常に危ないが、そこを香港大学に任せられるというので注目している」(樋口氏)
中国は日本以上の速度で高齢化が進んでおり、認知症に対する危機感も高まってくる。また、コロナ禍によって対面診療が制限を受けているだけでなく、中国は日本と比べて医療リソースが未成熟であるために、オンラインでの診療行為に対する期待も高い。それだけにデジタルセラピューティクス(Digital Therapeutics:DTx)が爆発的に伸びる可能性も秘めている。
認知症予防のための行動変容は、脳ドック受診の日に一度レポートを受け取っただけではなかなか定着しない。健康的な生活習慣を身に着けるために継続的なアドバイスを提供することは、スマホなどを用いたDTxとの相性がカギとなるだろう。認知症患者の中心である高齢者との相性という点では若干気になるところがないわけでもないが、予防という観点では問題ないだろう。BrainSuiteのDTx化についても期待したい。