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最新パーツ性能チェック 第349回

ゲームで役割が分かりにくい「FidelityFX」と、その効果のまとめ

2021年07月13日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU)  編集●ジサトラハッチ

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 AMDはGPU本体(Radeon)のみならず、GPUの機能をどうゲームに有効活用するかというソフトウェア的な側面でも積極的に技術開発を行なっている(無論AMDに限った話ではないが)。例をいくつか挙げると、ローレベルAPIの走りというべき「Mantle」(現在のDirectX 12やVulkanのベースになった)や、自然な髪の毛の表現が実装できる「TressFX Hair」といった機能などがある。

 そして直近だとAMDは「AMD FidelityFX(以降FidelityFXと略)」を冠した一連の技術の開発に力を注いでいる。初出はRadeon RX 5700シリーズ発表時にまで遡る(参考記事:https://ascii.jp/elem/000/001/886/1886856/)ので最新という訳ではないが、2019年の登場以降、じわじわと成長を続けている。ゲームによっては画質設定などでFidelityFXの名を見つけることができる。

 だが、このFidelityFXは種類が極めて多く、パッと見て何に使えるのか、どういう効果が得られるのか分かりにくい。FidelityFXにどんなものがあるかざっと調べてみただけでも、これだけの数がある(2021年7月時点)。

FidelityFX Super Resolution(FSR)
FidelityFX Contrast Adaptive Sharpening (CAS)
FidelityFX Ambient Occlusion (Combined Adaptive Compute Ambient Occlusion)
FidelityFX Variable Shading
FidelityFX Screen Space Reflections (SSSR)
FidelityFX Denoiser
FidelityFX HDR Mapper (LPM)
FidelityFX Downsampler (Single Pass Downsampler)
FidelityFX Parallel Sort

AMDのサイトではFidelityFXを採用したゲームが列挙されているが、これで効果のイメージをパッと把握できるユーザーがいるだろうか?

 そこで実際のゲームに実装されているFidelityFXが、どんな効果がありどんなメリット/デメリットがあるのかをまとめてみた。

「FidelityFX」はオープンな技術

 AMDはFidelityFXを特定のハード/ソフトに縛られた機能ではなく、オープンな技術であると謳っている。実際FidelityFXのそれぞれの項目については、GPUOpen(https://gpuopen.com/)で内容が公開されており、さらにそのソースはGithub(https://github.com/GPUOpen-Effects/FidelityFX)よりダウンロードできるオープンソースなプロジェクトだ。機能ごとに細かく分けることで、ゲーム開発者が自分のゲームやアプリに欲しい機能だけを追加できるようになっている。

FidelityFXの情報を集めたいならまずGPUOpen(https://gpuopen.com/)へ行くべきだ。AMDのGPU関連の取り組みがここに集約されているといってよい

GPUOpenでの成果物(プログラムコードやデモ、ドキュメント)はGithubのGPUOpen-Effects(https://github.com/GPUOpen-Effects/FidelityFX)でアクセスできる。オープンソースなので自分のプログラムに組み込みやすい

 特定ハードに紐付く機能といえば真っ先に浮かぶのがNVIDIAの「DLSS」だ。AIを活用するというコンセプトや効果については素晴らしいが、Tensorコアを備えたTuring/Ampere世代のGPUを搭載したビデオカードを持っていなければ使えない。

 だがFidelityFXはGPUの一般的なシェーダーで処理できるためRadeonでもGeForceでも使え、かつある程度旧くても機能する。FidelityFXはWindows向けの実装のように思えるが、Xboxシリーズでも利用可能(関連記事:https://ascii.jp/elem/000/004/052/4052611/)など、プラットフォームも越えた存在になっている。PCのみならず家庭用ゲーム機のグラフィック技術開発も担っているメーカーと考えれば、これは必然の選択といえる。

FidelityFXのメリットはオープンソースでどんな環境(DirectX 11/12およびVulkan)でも使え、最適化済みの機能が次々に追加されていることが挙げられる

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