Windows Terminal Preview V1.9が5月26日に公開された。同時にMicrosoftストアでは安定版v1.8の配布が開始されている。今回のv1.9では、ついにコマンドプロンプトウィンドウ(conhost.exe)の代わりにWindows Terminalを起動できるようになった。ただし、それにはWindows 10のプレビュービルドが必要なほか、現在はWSLが動作しないので、かなり初期的な実装と言える。
コマンドプロンプトウィンドウを置き換えるには、Windows 10自体のアップデートが必要で、これはおそらく今秋のアップデートになると考えられる。マイクロソフトは、6月24日(現地時間)に次のWindowsについて発表するとしている。なお、昨年v1.0で一応の完成を見たWindows Terminalは、今年12月にv2.0のリリースが予定されている。
Windows Terminal v1.9、v1.8の新機能
本連載で前回Windows Terminalを扱ったのは、今年3月、プレビュー版v1.7のときだ。
●コマンドラインからウィンドウの制御が可能になったWindows Terminal v1.7
https://ascii.jp/elem/000/004/049/4049105/
そこで今回の記事では安定版v1.8、プレビュー版v1.9の主な新機能について紹介する。v1.7以前については前記記事を参照してほしい。
新機能として大きなものとしては、v1.9のquakeModeとglobalSummonがある。Quakeモードは、Windows Terminalのウィンドウをプライマリディスプレイの上部に固定した状態で開く機能で、標準では、「Win+`」(JIS配列では「Win+Shift+@」)に割り当てられている。Quakeモードは、ゲームのQuakeがコンソールを画面の上からスライドさせて表示させたことに由来しており、同様の形式でコンソール画面を表示するものを俗に「Quake Style Console」と呼ぶことが多いようだ。
globalSummonは、Windows Terminalのウィンドウがアクティブでない場合にも有効な特殊なActionだ。この機能では、モニターや仮想デスクトップなどの位置を指定してWindows Terminalのウィンドウをアクティブにする。
この機能により、Windows Terminalが起動されている間は、globalSummonに割り当てたキーでいつでもWindows Terminalを呼び出せるようになる。なお、前述のQuakeModeは、このglobalSummonの特殊なモードである。globalSummonで"name"に“_quark”を指定すると、quarkModeの挙動を変更できるようになる。
{
"command": {
"action": "globalSummon",
"desktop":"any",
"monitor":"toMouse",
"dropdownDuration":300,
"toggleVisibility":true
},
"keys": "ctrl+shift+g"
}
v1.8では、フォーカスされていないときの表示方法をプロファイルごとに指定可能になった。ただし、現在は、settings.jsonファイルでしか指定できない。"profiles"の"list"にある個々のプロファイルの中に以下のリストのように指定する。
"profiles": {
"list": [
{
"commandline": "cmd.exe",
"unfocusedAppearance": {
"background": "#808080",
"cursorShape": "emptyBox"
}
]
}
これを使うと、選択されていないウィンドウやペインは、"unfocusedAppearance"内で指定した設定が有効になり、たとえば、背景をグレーにするなどの表示が可能になる。これにより、多数のウィンドウ、ペインの中でどこにカーソルがあるのかを簡単に判定できるようになる。
もう1つは、v1.7で搭載されたウィンドウ制御機能の拡張だ。v1.7では、コマンドラインからWindows Terminalを起動するときに、引数にウィンドウ番号をつけて、起動後に制御するように拡張されたが、v1.8では、番号ではなく文字列として「ウィンドウ名」をつけることにした。
これにともない、ウィンドウ制御のためのActionが追加されている。前述のglobalSummonでは、nameパラメーターを使って、呼び出すWindows Terminalウィンドウを指定できるほか、QuakeModeで開くウィンドウには、あらかじめ「_quake」という名前が付けられている。
GUI設定では、v1.9ではキー割り当て(操作)を変更できるようになった。ただし、ここに表示されているキー割り当ては、defaults.jsonやsettings.jsonであらかじめキー割り当てされているActionのみで、キーが未割り当てのActionにキーを割り当てる場合には、settings.jsonを編集する必要がある。
そのほかの点としては、
・付属のCascadia Codeフォントにイタリック体が入った
・メニューのプロファイルのShift+クリックで新規ウィンドウが開く
・タブの右クリックメニューに「タブの複製」が入った
などがある。
この連載の記事
-
第429回
PC
Windows Updateの「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」はオンにした方がいいか? -
第429回
PC
WindowsからWordPadが廃止! RTF(Rich Text Format)はどうなる? -
第428回
PC
Google/Bingで使える検索オプション -
第427回
PC
WindowsのPowerShellのプロファイルを設定する -
第426回
PC
WindowsでAndroidスマホをWebカメラにする機能を試した -
第425回
PC
無料で使えるExcelにWord、Microsoft 365のウェブ版を調べた -
第424回
PC
Windowsの基本機能であるクリップボードについてあらためて整理 -
第423回
PC
PowerShellの今を見る 2つあるPowerShellはどっち使えばいい? -
第422回
PC
Windows 11の目玉機能が早くも終了、Windows Subsystem for Android(WSA)を振り返る -
第421回
PC
進化しているPowerToys LANで接続したマシンでキーボード/マウス共有機能などが追加 -
第420回
PC
Windowsプレビュー版に搭載されたsudoを試す - この連載の一覧へ