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100Gbps/低レイテンシのRDMAクラスタネットワークを備えるHPCベアメタルインスタンスを活用

日産、CFDや構造シミュレーションのHPC環境を「Oracle Cloud」に移行開始

2020年08月12日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは2020年8月12日、日産自動車が製品設計やテスト、シミュレーションなどに利用するHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)ワークロードを、オラクルのIaaSである「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」に移行開始したと発表した。オラクルでは、低遅延/広帯域のRDMAクラスタネットワークを備えるOCIのベアメタルインフラ(HPCインスタンス)のメリットを日産に提供できるとしている。

「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」のHPC向けベアメタルインフラの特徴(オラクル資料より)。100Gbps/低遅延のRDMAクラスタネットワーク+ベアメタルという“業界唯一”の構成でHPCクラスタを提供できるとアピールしている

 日産では、自動車の空力および構造破損における設計/テストにおいて、ソフトウェアを用いたCFD(計算数値流体力学)や構造シミュレーション技術を用いている。日産ではHPCプラットフォームに「クラウドファースト」戦略を採用し、エンジニアが複雑なシミュレーションを実行するために必要となる、大規模な計算能力を常に利用できる環境を実現している。

 今回のOCI採用について、日産 デジタルモノづくり本部 エンジニアリングシステム部 GMのスー・ビン氏は、「定常的なコスト削減への要求に応じながら増大するシミュレーション需要の課題に対応するため、Oracle HPCを選択した」と述べている。

 オラクルのOCIでは、HPC向け環境として、2マイクロ秒未満のレイテンシ、100Gbpsの帯域幅のネットワークファブリックで実現するRDMAクラスタネットワークを備えたIntel Xeonベースのベアメタルコンピューティングインフラを提供している。これにより、従来の他社パブリッククラウドサービスでは不十分だったパフォーマンスを実現するHPCクラスタ環境が提供でき、大規模HPCワークロードのクラウド移行を可能にすると述べている。

 なお日産では、OCIのベアメタル環境において、構造シミュレーションやシミュレーション結果のリモート3D可視化にNVIDIAの「Tesla GPU」テクノロジーも活用している。こうした構成により、オンプレミス環境よりも処理性能を向上させながらコストを抑え、なおかつエンジニアのニーズに基づいた柔軟なコンピューティング環境を提供できるとしている。

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