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ストレージコスト50%削減の新インスタンス対応など、ZOZOテクノロジーズの活用事例も紹介

「VMware Cloud on AWS」新機能追加、Kubernetesコンテナ対応も

2020年07月20日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ヴイエムウェアは2020年7月16日、Amazon Web Services(AWS)環境で提供している「VMware Cloud on AWS(VMC on AWS)」において、複数の新機能追加を発表した。導入/運用コスト削減を可能にする複数の発表のほか、小規模な顧客が仮想マシン(VM)単位でVMC on AWSを利用できる、マネージドサービスプロバイダー(MSP)パートナーがマルチテナント型サービスを展開できる機能も追加された。発表ではZOZOテクノロジーズの活用事例も紹介されている。

「VMware Cloud on AWS(VMC on AWS)」が複数の新機能を発表した

 VMC on AWSは、AWS環境で稼働するベアメタルインスタンスと「VMware Cloud Foundation(VCF)」スタックを組み合わせて提供するハイブリッドクラウドサービス。オンプレミスのVMware環境と同じ環境がAWSクラウド上で利用できる。2020年6月現在、総VM数は前年比で3.5倍、総ホスト数は2.5倍に増加しており、グローバルで500以上のチャネルパートナーがVMC on AWSのサービスコンピテンシーを達成、また認定済み/検証済みソリューションは300以上に上る。

 今回1つめの発表は、新しいベアメタルインスタンス「Amazon EC2 i3en.metal」への対応だ。従来のi3.metalはコンピューティング/メモリを重視するワークロード向けのインスタンスだったが、新しいi3en.metalは大量のストレージを消費するワークロード向けの設計となっている。

 i3en.metalインスタンスは、第2世代インテルXeon-SP(Cascadelake、2.5GHz/48コア)プロセッサベースで、768GiBメモリを搭載。このインスタンスでは、これまで提供してきたインスタンスにおけるストレージの1GBあたり容量単価がおよそ半分になり、他方でストレージキャパシティは4倍に拡大されている。低レイテンシのNVMe SSD搭載でリレーショナルデータベースなどの用途にも適するとしている。

 2つめの発表は、これまで3ホスト構成が最小だった本番ワークロード向けクラスタが、最小2ホストから構成できるようになったことだ。これにより初期費用が最大33%削減され、より幅広い顧客がVMC on AWSを採用しやすくなった。

 また、ヴイエムウェアが提供するKubernetesディストリビューション「VMware Tanzu Kubernetes Grid」が追加され、コンテナ化されたアプリケーションをVMC on AWSでデプロイ/スケール/管理できるようになった。

 ネットワーキングでは「VMware Transit Connect」という新機能(プレビューリリース)が追加されている。これは「AWS Transit Gateway」サービスをベースに開発されており、VMC on AWS環境とAmazon VPC(Virtual Private Cloud)、オンプレミス環境にあるVCF環境全体のネットワークファブリックを構築できるという。また「VMware SD-WAN by VeloCloud」にも対応しており、支店や遠隔地ユーザーからのアクセス性も向上する。

 最後はMSPパートナー向けの新機能となる。「VMware Cloud Director」サービスを利用することで、MSPはVMC on AWS環境をマルチテナントのリソースプールとして分割し、割り当てを詳細に制御して、複数のエンドユーザーに従量課金モデルで販売することができるようになった。こうしたMSPのサービスが展開されれば、より小規模なエンドユーザーがVMC on AWSを利用できるようになる。

 なお今回の発表では、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」のシステム運用などを担うZOZOテクノロジーズにおけるVMC on AWSの活用事例も紹介されている。同社サイトはセールスシーズンには通常時の3~4倍のアクセストラフィック量になるが、昨年度の元旦セールではVMC on AWSを利用してオンデマンドで100ホストをスケールアップすることに成功。また、緊急事態宣言中や今年のサマーセールシーズンには、全社員が在宅勤務をしながらも21ホストをスケールアップすることに成功したとしている。

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