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Xeon-SP搭載の新機種、ACOS-2ベースのPaaS、RESTful API追加など“ITモダナイゼーション”支援

NECメインフレーム「ACOS」新機種やクラウドサービスなど発表

2020年06月25日 10時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 NECは2020年6月25日、メインフレーム製品「ACOS(エーコス)シリーズ」において複数の製品/機能強化を発表した。小型汎用機「ACOS-2」の最新機種「i-PX7300RX」や、NECデータセンターでホストされたACOS-2のリソースを利用できるクラウドサービス、「ACOS-4」でRESTful APIを提供する製品などを投入。基幹システムを高信頼/高性能のメインフレームで堅牢に維持しつつ、同時に企業に求められる「ITモダナイゼーション」の推進を支援する狙い。

発表されたNECの小型メインフレーム最新機種「i-PX7300RX」

今回発表の全体像。ハイブリッドITやプラットフォーム/アプリケーションのモダナイズという企業ニーズの変化に対応して製品/サービス/機能の強化を図っている

 ACOSは誕生から40年以上の歴史を持つNECのメインフレーム製品シリーズ。中/大型機のACOS-4シリーズと小型機のACOS-2シリーズがあり、それぞれ数年ごとに新機種を投入している。NECでは「ACOSシリーズ継続宣言」を掲げ、今後も最新技術を取り込みつつACOSプラットフォームを継続的に強化していく方針を明示している。

ACOSシリーズ(ACOS-4、ACOS-2)のロードマップ(NEC資料より)

Xeon-SPやSSDを搭載したACOS-2新機種、OS新バージョンをリリース

 今回はまずACOS-2で、5年ぶりの最新機種となるi-PX7300RXが発表された。5モデルすべてでインテルXeonスケーラブルプロセッサ(Xeon-SP)を採用しており、前機種(i-PX7300GX)比でCPU性能が最大10%向上。さらにSSDの採用で、ディスクI/O性能は最大およそ2倍、ユーザーディスクの搭載可能数がおよそ3倍(20台、外付け増設ディスク不要)とそれぞれ強化されている。また本体冗長電源、バックアップ連携専用ディスクも標準化された。

i-PX7300RXではインテルXeon-SPを搭載。また周辺機器とのI/O部分には「Windows Server 2019」を採用している

 上記機種の出荷と同時にリリースされる新OS「ACOS-2/MP R12.1」では、システム基盤強化、オープン連携強化、クラウド連携/データセンター対応強化などの目的で複数の新機能が追加されている。そのうちの1つであるバックアップ運用機能では、システム終了と自動的に連動し、静止点を確保した状態で確実なバックアップ処理を実行する。ほかにも、ACOSに接続されたプリンタ(ACOSセンタプリンタ)で印刷していた帳票を、オープン系システムに接続されたプリンタから出力したり、電子帳票化したりする機能も追加された。

 i-PX7300RXの価格は、最小構成価格で1308万円から(モデル100RX、税抜)。9月30日からの提供開始となっている。

ACOS-2をPaaSとして利用できる「ACOS-2プラットフォームサービス」

 新サービスの「ACOSプラットフォームサービス」は、NECデータセンターにホストされたACOS-2のハードウェア/ソフトウェアリソースをPaaSとして提供するもの。これまでACOS-4で同様のサービス(ACOS-4 シェアードACOSサービス)を提供してきたが、その対象をACOS-2にも拡大した。

 基本サービス(初期構築、運用監視)のほか、導入支援や運用支援、個別SIといったオプションサービスも提供する。NECが提供するこれらのサービスにより、顧客企業はシステム運用保守にかかる人的/金銭的なコストを削減しながら、堅牢なデータセンター環境の中で、既存の業務システムをそのまま継続利用することができる。

 ACOS-2プラットフォームサービスの価格は月額50万円から。別途NECデータセンターまでの回線費用、初期構築費用などが必要。9月30日から提供を開始する。

「ACOSプラットフォームサービス」のサービス構成イメージ

ACOS-4上の基幹アプリ/データベースをRESTful API経由で活用可能に

 ACOS-4においては、ACOS上のアプリケーションやデータベースをRESTful API経由で活用可能にする2つの新製品、「WebOTX OLF/TP Connect for Container」と「ACOS Access Toolkit REST Web Services Option」が発表されている。これらにより、Web/クラウドアプリケーションからの既存資産活用を容易にし、顧客企業におけるITモダナイゼーションを促進する。

クラウド/モバイルアプリなどにACOS-4上のアプリケーション/データベースへのRESTful APIアクセスを提供する2製品を追加

 WebOTX OLF/TP Connect for Containerは、コンテナ実行環境からACOS-4上のアプリケーションをAPI経由で容易に呼び出せるようにする“連携用コンテナ”を提供する製品。ACOS側システムの定義情報に基づき、このコンテナがプロトコル、メッセージフォーマットなどを変換してAPIを自動生成し、外部アプリとの連携を可能にする。

 ACOS Access Toolkit REST Web Services Optionは、従来から提供されている「ACOS Access Toolkit」の新たなオプションで、ACOS-4にあるデータベースをAPI経由で活用可能にする製品。モバイルアプリやWebアプリ、またBIツールなどからのデータ参照などが可能になる。なお導入時には別途、通信ライブラリであるACOS Access Toolkitも必要。

 WebOTX OLF/TP Connect for Containerの価格は100万円からで、7月3日から提供を開始する。またACOS Access Toolkit REST Web Services Optionは40万円で、12月中旬からの提供開始予定。なお後者の利用に必要なACOS Access Toolkitの価格は、80万円となっている。

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