このページの本文へ

「2020 データプロテクションレポート」を発表、グローバル1500社超の“DXとデータ保護”現状と課題

DX進展を阻害するレガシーなデータ保護、Veeamが調査レポートで指摘

2020年06月04日 10時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ヴィーム・ソフトウェア(Veeam Software)は2020年6月4日、企業のビジネスリーダーやIT意思決定者(ITDM)1550人を対象に、データ保護/管理の実態や、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みと課題を調査した「2020 データプロテクションレポート」を発表した。多くの企業でDXが最優先課題に掲げられ、“データの価値”に対する理解も深まるなかで、旧来のデータ保護環境のモダナイズと事業継続性の強化が喫緊の課題となっている。

データ保護ソリューションに対する調査回答企業の平均投資額は5228万円(48万5000ドル)。しかし、DXやITモダナイズといった現在の潮流に十分対応できていないと指摘する(画像はVeeamのインフォグラフィックより)

DXの進展であらゆるデータ損失/ダウンタイムが許容されない時代に

 同レポートは2020年初めに、企業のビジネスリーダー/ITDMから1550人を無作為抽出して実施した調査結果を分析し、まとめたもの。調査対象国はアルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、中東、オランダ、ニュージーランド、アイルランド、ロシア、スイス、トルコ、英国、米国の22カ国。

 まずDXに対する回答企業の態度を確認すると、全回答者のおよそ半数が「DXは顧客サービスの変革に役立つ」(51%)、さらに「業務の変革」(48%)や「コスト削減」(47%)を実現できると答えている。なお自社のDX達成に向けた進捗については、回答者の約4分の1(23%)が「進展している」あるいは「達成済み」とした一方で、約3分の1(30%)はまだ、DXの実践あるいは計画の「初期段階」にあるとしている。

 データの存在が主軸となるDXにおいては、データ保護とアプリケーションの可用性が極めて重要だ。

 回答企業の平均値を見ると、企業は自社データの51%を優先度が「高い」ものと見なしており、優先度の「高い」アプリケーションのダウンタイムコストは1時間あたり約730万円(6万7651ドル)、優先度「通常」のアプリケーションでも約664万円(6万1642ドル)と答えている。このことから、DXが進むにつれて、データ損失や予期せぬダウンタイム発生は、優先度の高さに関係なく許容されないものになっていることがわかる。

 こうした回答の一方で、いまだに全体の40%(日本の44%)企業が、ビジネス上で被りうる被害を十分に評価することなく、従来型のデータ保護システムに依存し続けているという。さらに、ほぼすべて(95%)の企業が予期せぬシステム停止を経験しており、その停止時間は平均で117分(約2時間)に及ぶ。Veeamによると、毎年サーバー10台中1台が数時間続く予期せぬ停止に陥り、数十万ドル(数千万円相当)の被害が発生していることになる。

 この調査結果について、Veeam CTO 兼 製品戦略部門 SVPのダニー・アラン(Danny Allan)氏は、DXの進展に伴ってIT環境は絶え間なく変化/進化するものとなったため、ハイブリッドクラウド環境下でのデータ保護/管理をどう行っていくのかが企業の“アキレス腱”になっていることを指摘している。

 なお、企業が現在直面するデータ保護の課題としては「新しい取り組みに従事する人材の不足」(42%、日本は29%)が最も影響が大きかった。「新しい取り組みに対する予算の不足」(40%、日本は24%)、「業務パフォーマンスに関する可視性の不足」(40%)という回答も多く挙がったという。

クラウド環境への対応、クラウドサービスの活用が戦略上重要に

 回答企業の半数は、今日のデータ保護戦略において「クラウド」が重要な役割を果たしており、今後さらに重要になる可能性が高いと認識しているという。

 同レポートでは、データ保護戦略を他社と差別化する要素は「さまざまなクラウド機能の活用可否に依存する」と指摘している。具体的には「クラウドサービスを介した企業の災害復旧(DR)機能」(54%)、「ワークロードをオンプレミスからクラウドに移行する機能」(50%)、「ワークロードをクラウド間で移行する機能」(48%)といったクラウド機能が活用できるデータ保護環境かどうか、という点だ。

 調査によると、企業データのおよそ4分の1(23%)が、クラウドプロバイダを介してレプリケーションされており、DRが可能になっている。その一方で、約5分の1(21%)の企業データは、レプリケーションされておらずDR対応できていない。

 また、企業データの4分の1超(27%、日本は22%)が、BaaS(Backup as a Service)プロバイダを介してクラウドにバックアップされている。今後2年以内にBaaSプロバイダのバックアップサービスを利用する予定とした企業は、5社中2社を超える43%だった。

 Veeamのアラン氏は、ITインフラのモダナイゼーションが始まった一方で、レガシーなソリューションは「物理的なデータセンター」におけるデータ保護を目的としており、想定以上にコストと時間、リソースを必要とするようになったと指摘。「データ保護はもはや、オンプレミスの物理的な環境に限定することはできません」と述べたうえで、ハイブリッド/マルチクラウド環境に移行できる柔軟なライセンスオプションが必要だと強調している。

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード