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親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定 第55回

禁止ではなく「うまい付き合い方」を教えることが重要

「ゲームはNG」は親だけ? 子ども世代は「役に立つ・良い効果あり」

2020年03月10日 09時00分更新

文● せきゅラボ

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何かと標的にされるゲームだが……

 香川県のゲーム規制条例を見るまでもなく、ゲームは悪者にされがちな傾向にある。では、10代の子どもたちはゲームについてどう考えているのだろうか。

 ジャストシステムの「動画&動画広告 月次定点調査」(2019年4月度)によると、もっともスマートフォンで閲覧するコンテンツは、10代は「ゲーム」が14.0%で最多、続いて「動画」(11.6%)となった。特にゲームは、他の世代と比べてかなり高い状態だ。

 10代に特徴的なのは、「暇つぶし」という言葉だ。ありあまる時間を、ゲームをしたり、YouTubeを見て過ごす傾向が高い。楽しんでいるのはいいのだが、休日等に一日10時間以上もの長時間利用をしてしまう子も少なくない状態だ。それが、今回の香川県のゲーム規制条例につながったというわけだ。

とかく悪者にされがちなゲームだが……

10代にとって「ゲームは役立つ」「良い効果あり」

 10代の子どもがゲームを長時間利用する傾向にあるため、ゲームに対してネガティブにとらえている保護者は少なくないようだ。

 10~50代を対象としたゲームエイジ総研の「ゲームが学業に与える影響をどう考えるか?」をテーマにした調査(2020年2月)によると、ゲームの勉強・学業への影響として、「ゲームは役に立つ・良い効果をもたらす」が12.8%、「ゲームは妨げになる・悪い影響をもたらす」は17.8%と、ネガティブのほうが上回った。

 「学生の子どもがいる親」は特に悪影響を与えると考えている割合が高い(25.4%)。一方、学生は「ゲームは役に立つ・良い効果をもたらす」が18.1%で最多となり、ポジティブな傾向にあった。

 なお、「ゲームは妨げになる・悪い影響をもたらす」と考える理由は、「ゲームをしすぎて勉強をしない」などのゲームに時間が取られて学習がおろそかになること、「依存してしまいやめられない」という時間管理面、そして「依存してしまいそう」と依存性が問題となっていた。

 一方、「ゲームは役に立つ・良い効果をもたらす」と考える理由は、「リフレッシュになる」という気分転換面、想像力や知識など直接学業ではないがそれにつながる要素を養えるという視点が多かったようだ。

 教育的なゲームもあるし、当然、ゲームで得られる知識や効果もある。問題はあくまで利用時間が長すぎたり、依存してしまうことだ。10代がゲームを好み、ポジティブにとらえていることは事実であり、保護者側はゲームを一律に悪いものとしてとらえたり、禁止すべきではないのではないか。

 ただしゲームが長時間利用や依存につながりやすいことはよく指摘されるので、子どもがうまく利用をコントロールできるよう、ルールや約束、当連載で過去にご紹介した利用時間制限機能(スクリーンタイムファミリーリンク)などを活用しながら見守るのがおすすめだ。

著者紹介:高橋暁子
 ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki

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