ネットいじめは加害・被害ともに増加
スマホ・SNSの普及により、日本ではネットいじめも増加傾向にある。世界的にはどうなのか。世界保健機関(WHO)の欧州地域事務局による44ヵ国における11~15歳の児童・生徒を対象とした調査報告書(2022年調査)を見てみよう。
それによると青少年の15%が、過去数ヵ月に少なくとも1回、ネットいじめを経験している。これは約6人に1人に当たり、かなり多い数字だ。男子は15%、女子は16%であり、男女差はほぼない。2018年から2022年にかけて、男子は12%から15%、女子は13%から16%に増えている。
ネットいじめをしている割合も、12%と約8人に1人に上る。男子(14%)は女子(9%)よりネットいじめをする割合が高い。2018年には男子は11%、女子は7%だったため、やはり増加傾向にある。
必要なのは「練習と相談ができる場所」
青少年の11%が学校でいじめにあったことがあり、同様に6%が学校でいじめをしている。いじめよりもネットいじめのほうが割合が高くなっているのだ。スマホやSNSが広く普及し、コロナ禍もあってネットの利用時間が増加したことが影響していると考えられる。
日本でもゲームでのオンライン交流が増え、GIGAスクール構想で一人一台端末が貸与されたことで、ネットでのいじめやトラブルの報告が増えている状態だ。
子どもは文章力や読解力に乏しく、ネットでコミュニケーションした経験も少ないため、トラブルになりやすい。一方、ゲーム機や学校の端末でもコミュニケーションできるようになっており、コミュニケーション自体を禁止することは現実的ではない。
保護者や教員が見守れる場で、ネットコミュニケーションの練習をさせ、適切な使い方を学ばせるべきだろう。ネットいじめは人間関係トラブルを原因とすることも多く、重大な問題につながるため、早期発見が望ましい。
相談できる場や機会を設け、なるべく早く気づいて解決に導くことこそが重要だ。ぜひ参考にしていただきたい。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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