サントリーが2019年2月に発売した本格芋焼酎の「大隅〈OSUMI〉」。ビール・ウイスキー・ワインを中心とした洋酒に強いイメージのあるサントリーが、13年ぶりに乙類焼酎市場に切り込んだことで話題になったのがちょうど1年前だ。
「大隅〈OSUMI〉」は年間の販売計画を上回るなど好調。これを受け、芋焼酎に続き麦焼酎が発売されることになった。その名も「大隅 OSUMI 〈麦〉」(以降「大隅〈麦〉」)。2月25日の発売に合わせて試飲できる機会があったので参加してきた。
なお、去年から販売されていた芋焼酎の「大隅〈OSUMI〉」は、麦の登場に伴い「大隅OSUMI〈芋〉」(以降「大隅〈芋〉」)に改称された。
サントリーの知見を活かしつつ
焼酎王国・鹿児島でつくられる麦焼酎
焼酎の本場である鹿児島県には114もの蔵元が存在(※2020年2月現在)しているが、その一つである大隅酒造が「大隅 〈麦〉」を製造している。
2005年に設立された蔵元、大隅酒造は、2014年にサントリーの子会社となった。鹿児島の蔵元ならではの素材と丁寧な仕込みにこだわった伝統的な製法を基本にしながら、サントリーグループである利点も活かし、サントリーが様々な酒づくりで得た技術や知見を駆使して、独自の製法を生み出している。
最も強みになっているのが、サントリー独自の“酵母”と“蒸溜技術”だ。サントリーはこれまでもウイスキーやビールづくりで酵母を扱っており、酵母の知見がある。その知見が焼酎にづくりにおいても活かされ、香りの良い成分を生み出す酵母を発見、育種することにつながった。
またウイスキーを始めとした蒸溜酒づくりで培った知見により、この「大隅 〈麦〉」では「香り厳選蒸溜」という製法を採用している。これは「余計な苦みや雑味が出る一歩手前の、素材本来の香りが際立つ原酒のみを抽出する」製法だそうで、いわゆる“焼酎くささ”が少なくフルーティーな味わいに仕上がるという。
実際飲んでみると、たしかにフルーティーで柑橘系というよりはバナナを思わせるような口当たりだった。
この「大隅 〈麦〉」はおススメの飲み方としてソーダ割が推奨されている。焼酎のソーダ割、というとあまり馴染みのない飲み方かもしれないが、試飲したところ、飲みやすく後味がより爽やかになり、普段はあまり焼酎を飲み慣れていない記者でも美味しく飲むことができた。
チキン南蛮、鍋、チーズなど
「大隅〈麦〉」は幅広い料理に合う
当日は特に前述したソーダ割に合う料理として、料理研究家のオイ氏による「大隅〈麦〉」と合うおススメの料理もふるまわれた。
まずは九州といえば「チキン南蛮」。タルタルソースの甘酸っぱさが「大隅〈麦〉」のソーダ割のパンチを引き立ててくれ、箸が止まらなかった。
また冬に嬉しい白菜と豚肉の鍋「ピェンロー」。ごま油のコクと一味のピリ辛がバナナのようなフルーティーさととても合う味わいだった。
さらに「チーズスティック」も「大隅〈麦〉」と良い相性。
オイ氏によると、洋風味との相性も良く、料理を選ばない懐の深さが「大隅〈麦〉」にはあると語る。
お店限定なので見かけたら試してみて
ここまで読んだ読者の中には、すぐにでも買いに行こうと思った方もいるかもしれない。しかし残念ながら、この「大隅〈麦〉」は一般販売していない。料飲店限定、つまりお店でしか飲むことができないのだ。
しかし落胆しないで欲しい。昨年発売された「大隅〈芋〉」は全国で15,000店舗の取り扱いがあり、その店舗を中心に麦の導入提案もしているという。入ったお店で取り扱っていたら、ぜひ飲んでみて欲しい。麦焼酎の印象が変わる一杯になるかも。今まで焼酎を苦手だと感じていた人にもお勧めしたい。