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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第513回

COMPUTEXで判明した第3世代Ryzenにまつわる裏事情 AMD CPUロードマップ

2019年06月03日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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新チップセットAMD X570を発表
下位グレードの投入予定はなし

 次にチップセットについてだ。今回AMDはX570を公式に発表した(なぜか基調講演ではそれに触れられなかったが)。それもあってマザーボードメーカー各社は一斉に製品を発表した。

各社のマザーボード代表例。実際は各社とも複数製品を用意している

 さてそのチップセットであるが、少なくとも現時点ではX570の下のグレードの製品は新規に追加の予定はない。

X570の下のグレードが出ない問題は、価格面ということだそうだ

 つまりメインストリーム向けにB550などが入る予定はなく、既存のB450あるいはX470あたりが引き続き第3世代のRyzen向けのメインストリーム用チップセットとして引き続き利用されることになる。

 ちなみにX470やB450との互換性はもちろんあり、X370でもBIOSの対応さえ取れれば問題ないとのこと。

 またRyzen 9 3900XやRyzen 7 3800XはTDPが105Wであるが、そもそもSocket AM4のVRMは最大140Wでデザインされており、B350やA320などは怪しい(とくに大昔、Bristol Ridgeと一緒に提供されたA320ベースのマザーボードは間違いなくアウトだろう)が、少なくともB450/X470世代のマザーボードなら電源供給に問題はない、という話であった。

X570チップセットのみがサポートする
PCI Express Gen4

 以上のことから、現状X570のみがPCI Express Gen4に対応できるチップセットということになるが、これはすさまじい構成である。

CPUの両側にChipset Downlinkがあるように見えるが、左の“4x Chipset Downlink”の実体が、右の“PCIe 4.0 x4”である

 まずCPUからグラフィック用のPCIe 4.0 x16とは別に、NVMe SSD用にPCIe Gen4 x4が用意される。そしてCPUとX570もやはりPCIe Gen4 x4で接続されるが、このX570からもPCIe Gen4 x16が出るという構成になっている。

 そのX570から出るPCIe Gen4 x16レーンであるが、これはx4のPHYが4つの組み合わせになっており、全体でx16レーンにすることも、x1を16本出すことも可能である。

 うちいくつかはSATAと共用になっており、もし必要ならX570からトータルで12のSATAポートを持つことも可能である(CPU側のNVMe用のx4もSATA×2+NVMe x2に構成できるので、トータルで14ポートが理論上は可能)。とはいえ、今時SATAをここまで接続するというニーズはそう多くないだろう。

なんというか、Threadripper向けのX399といい勝負の重厚な構成である

 また、CPUにx4、A570にx8で合計12のUSB 3.2 10Gbpsポートが搭載されており、USBポート不足に陥る可能性も少ないはずだ。

 ただわからないのは、今回発表のRyzen 5/7/9を利用するとCPU側のUSB 3.2 10Gbps×4やNVMe向けのPCIe Gen4 x4が利用できるのはいいとして、従来のRyzen(Ryzen 2000シリーズは利用できる)を搭載した場合、以下の点が現時点では不明である(うっかり聞きそこなった。次の機会があれば確認したい)。

  • PCIe Gen3 x4として利用できるのか、それともそもそもPCIeそのものが無効になるのか?
  • CPU接続のUSBポートはどうなるのか?

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