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仮想マシン中心で「コンテナ利用」は11%、最大の課題は「コスト削減」で「セキュリティ」は下位に

モビンギがクラウド利用企業調査、「ちゃんと使えていない」実態も

2019年05月10日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 クラウドコスト可視化/削減ツールなどを提供するモビンギ(Mobingi)は2019年5月9日、パブリッククラウドサービス(IaaS/PaaS)を利用する国内企業担当者を対象とした「クラウド活用度調査」の結果レポート第一弾を発表した。回答企業の考える「クラウド利用における課題」として最多の回答は「コストの削減」だった。

 同日の記者説明会では、クラウドベンダーやクラウドインテグレーターでの業務経験も持つモビンギ セールス担当VPの石田知也氏、同じくセールス/マーケティングディレクターの小路剛広氏が出席し、今回の調査結果から読み取れる国内企業の動向や今後の課題などを説明した。

調査対象企業(946件)における「自社システムのクラウド化割合」「導入の経緯」

モビンギ セールス/マーケティングディレクターの小路(しょうじ)剛広氏

モビンギ セールス担当バイスプレジデントの石田知也氏

約半数が自社システムの「40%以上」をクラウド化、「心理的ハードルはもうない」

 同調査は、独立系IT調査会社であるアイ・ティ・アール(ITR)への委託により、年商1億円以上かつ従業員100名以上の国内企業担当者を対象に実施されたもの。実施期間は2019年3月、有効回答数は946件だった。この調査結果をITRが分析したレポートを、今回「Cloud User Analysis vol.1 国内企業におけるクラウド活用状況と現有課題」として公開した。なお第2弾レポートも5月中に発行予定。

 まず、調査対象企業における「自社システムのクラウド化割合」は、「40%以上/未満」を境界としておおよそ半々に分かれる。導入経緯としては、オンプレミスシステムのクラウド移行が59%、オンプレミスシステムのリニューアルが31%で、新規システムの構築は10%となっている。

 この結果について、石田氏は「2014年あたりのトレンドは、まず新しいシステムで『クラウドを使ってみよう』というものだったが、それから時を経てオンプレミスシステムのクラウド移行がかなり進んでいる」と分析、また小路氏も「企業においてクラウドはもう『普通の選択肢』、クラウドへの(心理的な)ハードルはなくなっている」と述べる。

 オンプレミスサーバーの移行が過半数を占めるため、「クラウドで利用しているサービス(複数選択)」についても「仮想マシン」が最多の47%となっている。また「API管理」「サーバーレス/FaaS」など、サーバーレスアーキテクチャ関連のサービス利用の伸びも注目されると、小路氏は指摘する。

「クラウドで利用しているサービス」(複数回答)

 その一方で「コンテナ」の利用率は11%とかなり低い。小路氏は、オンプレミスシステムをクラウド上の仮想マシンに載せ替える動きは進んだものの、「コンテナ技術でアーキテクチャを効率化するような、もう一歩先の使い方」にはまだ達していないのが現状だと指摘する。

 石田氏も、海外企業と比較して日本企業におけるコンテナ受容が大きく遅れていることを指摘し、その原因としてシステム開発や運用を受託するSIerがまだコンテナ利用への積極性に欠けた姿勢を持つ点を指摘した。

 ただし、今後数年のうちに半ば“強制的に”コンテナ活用が進むのではないか、というのが両氏の見立てだ。次々と新しいビジネスやサービスが求められるようになる中で、コンテナやCI/CDのようなアジャイルなアーキテクチャ、アプローチの採用が必須になるためだ。

 「コンテナへのシフトと、ビジネスライフサイクルやサービスライフサイクルの短期化はリンクしている。アーキテクチャの見直しはこれから必須となり、2019、2020年はKubernetesへの注目もかなり熱くなってくるのではないかと見ている」(小路氏)

 「SIerにも『コンテナを使え』というプレッシャーがすでにかかっており、そのプレッシャーはこれからさらに強まるだろう。コンテナ利用に取り組まないとビジネスが取れなくなるので、強制的にその動きは進むはずだ」(石田氏)

クラウド利用における課題は「コスト削減」、大きな削減効果は実感できていない

 「クラウド利用における課題」という設問では、「コストの削減」という回答が最も多く45%、以下「リソース消費量の抑制」32%、「ワークロード分析によるリソース最適化」30%などが続く。一方で「セキュリティ対策の向上」は22%と下位だった。

「クラウド利用における課題」(複数回答)

 小路氏はまず「セキュリティ対策」について、クラウドプロバイダー各社が各種ガイドラインへの準拠を進め、セキュアなシステム構築のためのベストプラクティスを提供するなどしてきた結果、クラウド普及初期には大きかったセキュリティ懸念が薄らいでいると説明する。

 他方で「コスト削減」が最大の課題となった理由については、前述したとおり大半の企業はまだオンプレミスサーバーをクラウド上の仮想マシンに移行しただけの段階であり、フルサーバーレス/フルコンテナ環境には転換できていないため、リソースにかかるコストが大きいためだと指摘した。

 企業が期待していたほどのコスト削減効果が出せていないと感じている実態は、オンプレミスシステムをクラウド移行したことで得られた「運用コスト削減効果」(社内人件費を含む)の設問でも明らかになっている。運用コストが「大幅に削減された」は16%にとどまり、「やや削減された」が61%と最多だった。

「クラウド利用におけるコスト削減効果」

 石田氏は、クラウドのリソースは元来割高であり、さらにセキュリティパッチの適用など保守運用業務がオンプレミスの時代と変わっていなければ、全体としてのコストは大きく下がったとは感じられないだろうと述べる。

 「この結果は、ある意味で『クラウドがちゃんと使えていない』ことの表れではないかと思う。『大幅に削減された』以外の企業では、まだまだ使えてないのだなとこのグラフを読んだ」(石田氏)

 なお、クラウド利用料の請求処理を行う部門としては「IT部門」が最多の45%。小路氏、石田氏は、請求処理がだんだんと事業部門からIT部門へ移ってきており、全社的なクラウドコスト管理をまとめようとしているものの、社内に分散するアカウントごとに請求があるため、個々の処理や各部門への経費割り当てに苦労しているのが実情と説明。実際に経費処理にかかる日数も「7日以上」が過半数を占めている実態を紹介した。

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