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業務を変えるkintoneユーザー事例 ― 第39回

全国のkintone hiveを勝ち残ったファイナリスト5社が勢揃い

グランプリを巡る熱いプレゼンバトル「kintone AWARD 2018」が開催

2018年11月14日 10時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●大谷イビサ

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大量のグラフから経営戦略を導き出す元気でんき

 3社目は、kintone hive名古屋で中部地区代表に選ばれた元気でんき 代表取締役 河口エレキテル氏が登壇した。電気の駆けつけサービスや省エネコンサルタント、中古エアコンの買い取り・販売、電気工事関連の教育などの業務を手掛けている。

元気でんき 代表取締役 河口エレキテル氏

 2001年、河口氏が28歳のころに掘っ立て小屋で創業。当時は、一人なので、紙と鉛筆で情報を管理していた。建設業を手がけるようになるとExcelを使い始め、ネット集客を初めて顧客が増えるとAccessを使い始めた。その後、紆余曲折を経て、現在はkintoneを活用している。

「経営者は事業計画を作らなければなりません。そのためにはまず各数字を分析することが重要です。年間2000件くらいの工事を受注していましたが、上から1%の案件が売上の23%を占め、粗利の40%を稼ぎ出していました。この1%を増やせば、高収益になるだろうと考えました。分析したところ、法人で、かつ電気代をたくさん使っている企業でした。そこで、その企業に喜ばれるサービスを作ったのです。現在は、この高収益案件が4%になっています。ここで、グラフでの数値分析が経営に大事だということを掴みました」(河口氏)

 当時は、Accessで管理していたデータをCSVファイルで出力し、Excelでグラフを作成していた。システム担当にお願いしていたが、中には1つ作るのに2週間くらいかかるものもあったそう。さらには、大きな気づきを得られるのは30個に1つくらいで、無駄が多かった。そこで、河口氏は簡単にグラフを作成できるサービスを探した。

 その課程で、あるSFA・CRMサービスを導入したが、望んだことがほとんど実現できず、Accessでの管理に戻ってしまった。2年後、kintoneに詳しいベンダーに会い、得意なことと苦手なことを明確に教えてもらい、契約することになった。そのまま、kintoneは基幹システムとして導入され、ほとんどの業務で活用されている。

 活用方法でユニークなのが、コメントでシステム改善を受け付けている点。kintoneアプリの右側にあるコメント欄で、ユーザーみんながアプリの改善提案を書き込むようにしたのだ。工事完了時に自動で通知を送って欲しいといったコメントが書き込まれ、溜まったコメントは2年間で741個。毎日投稿があるので、スタッフは自分たちで改善していけるという手応えを得たという。

気になったことはその場でコメント

 アプリでは1つのグラフしか見られないので、スペースにたくさんのグラフを表示し、経営判断に活用している。ここを見れば会社の状態がわかるということで、河口氏はこのスペースをコックピットと呼んでいる。例えば、コールセンターが人を増やして欲しいと言ってきた場合、問い合わせがオーバーしいている日をチェックする。1ヶ月で3日間しかオーバーしていないのであれば、人を増やすのではなくその時のオーバー分は電話を取らなくてもいい、と指示できるのだ。「kintoneのグラフで数字で見せると、納得してもらえるのがメリットです」と河口氏。

 このグラフを全スタッフに見せることで、自分たちがやっていることが無駄ではなく、役立っていると理解してもらうことが大事だという。スタッフ全員が経営に参加する仕組みを作れるのが、kintoneだと河口氏は締めた。

業務効率改善はもちろん理念の共有を重視したGARO

 4社目は、奈良県で美容室を2店舗展開しているGAROオーナーの藪賀郎氏。まずは、初っ端にkintoneの導入効果を紹介してくれた。

GAROオーナー 藪賀郎氏

「先ほど、スタッフみんなで和気藹々とランチタイムを楽しんできました。これは、2年半前にはなかったことなんです。kintoneを導入してから、このようなことができるようになりました。売上も、120%増を2年連続達成し、今年もクリアできます」(藪氏)

 大阪に近い奈良県香芝市にあるGAROを経営する藪氏は、美容師一筋20年。2007年に開催された全日本美容技術関西大会ヘアカット部門で優勝した。翌2008年にGARO五位堂店をオープンし、2013年に真美ケ丘店をオープンした。

「この10年間美容室は増え続けています。全国24万店舗以上ありまして、1店舗当たりの客数の減少が深刻な問題になっています。そのため、値引きを前提としたクーポンサイトでの集客が主流になっています。効果は出ますが、利益が出にくく、スタッフの負担が増えます。よく考えたところ、新しいサービスや技術を創造していないということに気がつきました」(藪氏)

 本当に、顧客が喜んでくれて、美容師側もやりがいのあるメニューとは何なのか、というのを理念をベースに考え直すことにしたのだ。GAROの理念は「思いやり」。この理念をスタッフ間で深く理解して、共有することがもっとも重要であるにもかかわらず、全然できていなかったそう。さらに、仕組みのないままスタッフの一人一人に裏方の仕事など、美容室での仕事以外ことを振っていたのも負担になっていた。技術に関しては、見て学べ、眼で盗めという古い考え方が、悪かったことに気がついたのだ。

 kintoneを導入して取り込んだのが、毎週の勉強会。理念をベースに、何が正しいのかをアプリを使ってみんなで考える時間を作った。

「僕ら美容師は普段「くし」と「はさみ」しか持っていないので、紙を持つのがとても苦手です。そのため、kintoneでペーパーレスでテキストを共有しています。スタッフの裏方仕事では在庫管理の負担が重くなっています。これをバーコード化して、kintoneで簡単にしました。さらに、スタッフはレッスンをして一人前になるのですが、kintoneでレッスンテキストアプリを作りました。うちくらいの規模の美容室で導入できる製品はなかなかないので、画期的だと思います」(藪氏)

 これまでは目標を設定して闇雲に努力すると壁に当たっていたが、kintoneを導入したことで軽々とクリアできるようになったそう。新商品の導入がスムーズスに進み、裏方仕事の負担も軽減され、サロンワークに集中できることで、スタッフみんなが笑顔になったという。生産性も向上し、3年連続で売上120%アップを達成という結果につながったのだ。

奈良から応援にかけつけたスタッフに手を振る藪氏

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