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弁護士、社労士、税理士、会計士向けにアプリテンプレートを提供

士業を支えるためのkintoneの取り組みとその実例を紹介

2019年01月24日 09時00分更新

文● 重森大

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 フリーランスとも一般的な中小企業とも違う、士業の世界。法律で決められた方法で仕事をしなければならないので、紙資料に埋もれている事務所も多いという。しかし、ITを使って効率化できる部分はあるはずだと、Cybozu Daysに登壇したサイボウズ 営業本部 ソリューション第1営業部 別府 さおり氏は語る。実際にkintoneを使って業務効率化と売上向上を果たした社労士を招いてのセッションで語られたのは、労働効率の向上やペーパーレスなど一般的な話題ではあったが、それを実現するための士業ならではのノウハウに満ちていた。

サイボウズ 営業本部ソリューション第1営業部 別府 さおり氏

一般的なパッケージアプリではカバーできない士業独特の悩み

 士業とは資格が必要な職業全般を指すが、実際の業務は弁護士、社労士、税理士や会計士など、職業によりさまざま。そしてその独自性から、汎用的なパッケージアプリで対応するのが難しいという課題もある。既存の会計システムなどパッケージアプリ製品では、多機能すぎたり、業種によって必須の情報を扱えなかったりするのだ。

 法律に従って業務を行なうという仕事の性格上、法律の変化にシステムを追随させなければならない。しかし、パッケージアプリはカスタマイズが容易ではない。その点kintoneなら、消費税率の変更や目の前に迫っている新元号への対応も、自分たちでできてしまう。しかし、そんな風に時間に余裕のある職場ばかりではない。

「IT化したいけど、何からやって良いのかわからない。他の事務所がどのようにITを行かしているのか知りたい。kintoneは良さそうだけど、自分でアプリを作る時間はない。そのようなご相談をたくさんいただきます。そこで、これまでいただいたご要望などのノウハウを詰め込んで、士業別テンプレートを作成しました」(別府氏)

 業種別のテンプレートには、その職業に詳しくなければわからない要素が詰め込まれている。いわば、サイボウズと士業の方々がこれまで取り組んできたIT化のエッセンスが、アプリテンプレートとしてまとめられている訳だ。別府氏はそれぞれの業種向けテンプレートを紹介しつつ、「現場ならではの視点で、意外な機能が喜ばれている」と語った。

現場を知る人でなければわからない、ノウハウ満載の士業向けテンプレート

 まず紹介されたのは、弁護士向けのテンプレート。顧客管理や案件進捗管理などのアプリに混じって、「利益相反チェックアプリ」というものが用意されていた。弁護士は、現在請け負っている別事案で利益が相反する人の相談を受けてはいけないと法律に定められている。

 たとえばAさんの代理人としてBさんを訴えているときに、Bさんの弁護人になることはできない。感覚的にもそりゃそうだよなと思う内容だが、法律でも明文化されている。そこで、問い合わせが来たらまず行なわなければならないのが、利益相反チェックというわけだ。同じ事務所に所属する別の弁護士が抱えている案件にも適用されるので、同僚が担当している事件まで含めてチェックしなければならず、手間と時間を取る作業だ。しかしkintone上で案件管理アプリと連動させれば、問い合わせてきた人の名前と住所を入力するだけで利益相反チェックが終わる。余分な手間が省けるので、弁護士事務所から好評だそうだ。

弁護士業務に必須の利益相反チェックもkintoneならあっという間だ

 続いて紹介されたのは、社労士向けテンプレート。障害年金進捗管理アプリや助成金進捗管理アプリなど、いかにも社労士ならではという名前のアプリが並ぶ中、喜ばれているのは実はリマインダーアプリだそうだ。退社から数ヵ月経過したら失業保険を申請するなど、最初の手続きからある程度の時間が経過してから次の手続きを行わなければならないという業務が、社労士には多い。忘れることなく業務を遂行するために、リマインダーが日々役立っているという訳だ。

一定期間の経過を待って手続きを行うことが多い社労士にはリマインダーが喜ばれる

 もうひとつ紹介されたのは、税理士・会計士向けのテンプレート。こちらも業務進捗管理などの機能が中心になっているが、それとは別に顧問先別や業務別の作業時間を可視化するアプリが用意されている。税理士や会計士は、いくつもの顧客を相手に日々仕事をしており、特定の顧客にどの程度作業時間を割いているのかがわかりにくい。そこをkintoneアプリで可視化すれば、顧問料と業務料のバランスを見直せるようになる。これだけの業務時間を割いているので、顧問料を見直してもらいたいと顧客を説得する際のエビデンスにもなる。

作業負荷を可視化することで、顧問料の見直しをお願いする際のエビデンスにも

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