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携帯大手が自前主義捨て基地局をシェア?「5G」めぐる大量増設で

2018年10月30日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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携帯電話の基地局を置く鉄塔を「シェアリング」するJTOWER。携帯各社にとって5Gの設備投資削減につながるか Photo:kyodonews、DW、写真提供:NTTドコモ、JTOWER

 カーシェアリング、ルームシェアリングのように“共用”する仕組みが携帯電話の世界でも浸透するかもしれない。といっても、携帯端末そのものをシェアするわけではない。

 次世代の通信方式「5G」(第5世代移動通信システム)をスタートするために、携帯各社は電波を中継する基地局を増設する。この基地局インフラをシェアリングしようという動きだ。

 携帯電話基地局の設備共用(シェアリング)サービスを手掛けるベンチャーのJTOWER(東京都港区)は10月11日、最大40億円を資金調達すると発表、事業の拡大を打ち出した。

 2020年に東京五輪・パラリンピックが開催されるタイミングで、5Gの商用サービスが始まる。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに加え、携帯事業に新規参入する楽天を含めた4社が全国展開する意向だ。一部エリアでは19年に前倒しスタートする。

 5Gになると通信のデータ量が急増するため、携帯会社は基地局を大量に増設することになるが、JTOWERの商機はここにある。

 12年に設立のJTOWERは、携帯会社を顧客に、基地局の設備共用サービスを提供する国内初の企業。13年に旧産業革新機構(現INCJ)などから10億円を調達し、サービスを開始した。

 以来、イオンモールなど大型商業施設、オフィスビル、マンションなど150の物件で屋内基地局の施設の共用を進めてきた。JTOWERによると、屋内基地局の共用化の場合、各社が自前で設置するより30~50%の費用削減の実績がある。

 今回INCJなどから最大40億円を資金調達して、鉄塔など屋外基地局の共用サービスに参入する。5G導入に合わせ、すでに楽天を含む4社に共用化の提案を始めた。

海外の鉄塔シェアは巨大産業

 日本の携帯会社は過去、基地局を増やしてエリアカバー力を競ってきた。5Gの基地局建設がこれから始まる中で、その施設をライバルで共用化しようという動きにはハードルもありそうだ。

 ただ、グローバルに見れば、基地局は専門事業者が建設してシェアリングするのが主流。米国では屋外基地局を設置する鉄塔の82%が共用施設で、これを手掛けるアメリカンタワーの時価総額は6兆円を超える。

 中国でも、携帯3社の基地局鉄塔の共用率は100%。手掛ける中国鉄塔(チャイナタワー)は8月に今年最大のIPOを実施し、時価総額は3兆円近い。

 日本のような自前主義では、携帯3社が同じ場所に3本の鉄塔を建設するという無駄も起こり得る。携帯料金の高止まりがクローズアップされる中で、5Gの設備投資の負担を減らして利用料金に還元することは社会課題だろう。「シェアリング」は一つの解になるか。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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