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32コア64スレッドの化け物CPU「Ryzen Threadripper 2990WX」を搭載

第2世代となる"スリッパ"の実力を水冷クーラー標準装備の「Aqua-Master X399AII」で探ってみた!

2018年09月03日 19時00分更新

文● 宮里圭介 ●編集 ジサトラカクッチ

提供: サイコム

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高性能・高発熱のRyzen Threadripper 2990WXが安定動作する
サイコムらしいパーツ選びとキレイな作りがうれしい

 ここまでは新CPUということもあって、Ryzen Threadripper 2990WXを中心に見てきたが、こういった新CPUを搭載したPCをいち早くリリースできるというのが、幅広いBTOパソコンを製造・販売するサイコムの強み。単純に「動けばいい」レベルであれば問題ないのだが、今回の検証のように、Precision Boost Overdriveを使おうとした場合、話は大きく変わってくる。

 特にポイントといえるのが、CPUクーラーに240mmサイズのラジエーターを採用した「CORSAIR Hydro Series H100i V2」を搭載していること。TDP 250Wとなる発熱が大きいCPUということもあり、余裕を持った冷却性能のあるクーラーが標準で採用されているというのがうれしい。また、ケースにはファンを3基搭載したFractalDesignの「ARC Midi R2」を採用し、ケース内の換気にも気を使っているのがよくわかる。価格を優先した構成では考えられないパーツ選定だ。こういった肝となるパーツを選んで構成しているところに、今までの多くのPCを販売してきたサイコムの経験値が活かされているのだろう。

240mmラジエーターに120mmファンを2基搭載した簡易水冷クーラー「CORSAIR Hydro Series H100i V2」。Ryzen Threadripper 2990WXも強力に冷却してくれる。

ケースはFractalDesignの「ARC Midi R2」。フロントに2基、リアに1基ケースファンを装備し、ケース内に溜まりがちな熱気もしっかりと取り去ってくれる。

 このケースの便利なところは、上面にUSBなどのインターフェースを備えているところだ。大型のPCを机の上に置くことは少なく、大抵は足元に設置することになるのだが、この時、フロントにインターフェースがあると手を伸ばさなくてはならず、USBメモリーなどを挿抜しづらいといった問題がある。その点上面にインターフェースがあるこのケースなら、上からしっかりとコネクター部が見え、USBの向きも悩むことなく挿せるわけだ。

インターフェースは上面手前に装備。電源スイッチやファンコンのスライドスイッチも装備している。

 このインターフェース部の右端にあるスライドスイッチは、ファンコンとして動作。ケースファンの回転数を3段階で切り替えられるので、負荷の高い作業をするときは高回転、普段使うときは低回転に変更することで、冷却性能と静音性とを切り替えられるのが便利だ。

 また、水冷クーラーのラジエーターが取り付けられている上面は、ホコリ除けのフィルター付きカバーが装着されている。電源オン時はケースの内側から外側へと空気が流れるためホコリを気にすることはないのだが、電源オフ時でもケース内にホコリやゴミが入らないというのがうれしい。もちろん手回しネジで簡単に取り外せるので、掃除も楽に行なえる。

背面側にあるネジを外せば、上面カバーごと取り外しが可能。内側にフィルターが装備されているので、小さなホコリの侵入も防いでくれる。

 採用しているマザーボードは、ASRockの「X399 Taichi」。オンボード機能が充実し、2つのUSB 3.1 Gen2に加え、内部も含め12のUSB 3.1 Gen1、さらに無線LANまで備えている製品だ。拡張スロットの間にはPCIe×4対応のM.2スロットを3つ備えており、高速なNVMe対応SSDを使いたいといったニーズにもしっかりと対応してくれる。

マザーボードは無線LANも搭載した「X399 Taichi」を採用。USBの数も多く、周辺機器の接続で困ることはない。

 もうひとつパーツで注目したいのが、電源。変換効率の高い80PLUS GOLD準拠というだけでなく、750Wという大容量のものを標準で採用している。発熱だけでなく消費電力も大きなRyzen Threadripperだけに、こういった大容量電源が採用されているというのはうれしいポイントといえるだろう。なお、本格的にオーバークロックを楽しみたいというのであれば、これでも容量が足りなくなる可能性がある。この場合は1200Wまでの製品が用意されているので、BTOでカスタマイズして注文するといいだろう。豊富なパーツの中からカスタマイズできるというのも、サイコムの魅力のひとつだ。

標準となるのがSilverStoneの「SST-ST75F-GS V2」という750Wの電源。80PLUS GOLD準拠で、電力の変換効率は高めだ。

 サイコムのBTOパソコンの特徴ともいえるのが、内部の配線が美しい事。ケースの裏配線を多用した組み立ては無駄なケーブルがほとんど見えず、すっきりとしている。また、それだけエアフローをジャマするものがないため、空気の流れの淀みや、熱が溜まるポイントが少ないということでもある。スペックだけでなく、こういった組み立てのうまさが、サイコムの技術力といえるだろう。

すっきりとしたケースの内部。裏配線を多用しているため、余計なケーブル、ケーブルのたるみなどが見当たらない。とてもキレイだ。

使いこなすのは難しいが、それでも高い性能が魅力のCPU

 Ryzen Threadripper 2990WXはメニーコアとして面白いCPUで、用途によっては今までのPCにはない性能を出せる半面、コア数の恩恵が少ないゲームや一般用途では、格下のCPUに負ける性能しかないというピーキーな性質のある製品だ。しかし、メニーコアが活かせるCGレンダリングに使いたい場合や、研究のためのデータ解析、科学計算といった用途であれば、きっとその真価が発揮できるだろう。

 誰にでも勧められるものではないが、使い方によってはこれ以上はないほど頼もしい存在となるRyzen Threadripper 2990WX搭載PC。CPUパワーを必要とするのであれば、選択肢のひとつとして考えたい。

■関連サイト

提供:サイコム

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