アスキー・ジャンク部リターンズ 第241回
まるか食品が“END”と言い切るのもうなずける:
これダメなやつだよ「ペヤング 激辛やきそばEND」辛いというより痛い
2018年08月28日 18時00分更新
「ペヤング 激辛やきそばEND」
まるか食品
8月27日発売
実売価格200円前後
http://www.peyoung.co.jp/products/1041/
激辛ペヤングが、壮絶に、終わる
みなさんもご存知だと思うのだけれど、いやもしかしたら知らないかもしれないのだけれど、週刊アスキーNo.1192号で「“GIGAMAX”と真剣に向き合う ペヤングを愛した男」と題してアスキーグルメ特別編集の企画をやらせていただいた。10ページにわたるペヤングの特集である。表紙にもあまりに大きなフォントサイズで掲載されており、「大丈夫ですか? ほんとうに?」と何度も聞き返すぐらいにはちょっと心配した。
そんな自分の動揺をよそに、まるか食品は「ペヤング 激辛やきそばEND」(以下、激辛END)を27日に発売した。“ペヤング史上最強の激辛”をうたう、とにかく辛さをアピールした商品。体中が熱く燃え上がるほどの刺激的な味だという。
「ペヤングを愛する男」として特集にも登場した以上、食べないわけにはいかないというものだけれど、しかし、今回の名前はすごい。なにしろ“END”である。これにてペヤングの激辛商品はおしまいだよという意味なのか、食べた人のなにかしらが終わりになってしまうという意味なのか、いろいろと気になる。
まず、だいたいにおいてパッケージの雰囲気がものものしすぎる。普通、どんなデザインであっても「凶悪」などと書くのはためらわれてしまうが、これは凶悪といってよいだろう。1970年代のホラー映画みたいな色使いと文字はやさしさのかけらもない。赤と黒である。「サスペリア」みたいだ。
激辛ENDを激辛たらしめているものはなんだろうか。それはソースである。かやくは通常のペヤングと同じなのだけれど、ソースがなにやらおどろおどろしい包装で入っている。どういうわけかやたらと色使いが暗く、何も印刷されていないように見えるが、目を凝らすと「激辛ENDソース」とある。
ソースの匂いは確かに辛そうで、いつものペヤングのものとは少し違う。とはいえ、このあたりは気にならない範囲かもしれない。不意打ちで「ペヤングです」といって出されたら気づかない人もいるだろう。あとで書くように、ぜったいに不意打ちで出してはいけない味なのだが……。
辛いというより、もう“痛い”味
さっそく食べてみよう。匂いと色はなんとかなりそうではあるが、食べてみないことにはわからない。
辛い。辛い。辛い。ごめんなさい、これからこの記事は「辛い」がたくさん出てくるけれど、もうそれしか言うことがない。これダメだよ。辛い。
いくらなんでも、辛すぎる。後からじわじわくるとか、そういうことではない。口に含んで舌の上にのった時点でヒリヒリする。食べ進めると喉がビリビリする。とにかく辛い。いや、さすがに食べ物の記事を何本も書いている身であるから、「辛い」を連発する文章を書くことが恥ずかしいのはわかっている。しかし、ほんとうに辛い。辛いとしか言いようがない。
生理学的にいえば、味覚とは、味覚受容体細胞にとって適刺激(感覚器がそれぞれ特異的に感知する刺激)である苦味、酸味、甘味、塩味、旨味の5種を指すという。すなわち辛味はその中になく、舌・口腔で感じる痛覚が正体だそうな。
激辛ENDはそのことが実感できる。味覚が完全に吹っ飛んでしまう。舌に、頬に、くちびるに、喉に、口の中の粘膜すべてがヒリヒリする。ペヤング特有の香りや味も多少は残っているが、そんなことは関係ない。辛すぎる。もう痛い。これは痛いです。痛ペヤングだ。
いつもならアスキーグルメのナベコさんに実食に付き合ってもらうところ、夏季休暇中なので、たまたま近くにいた編集部員・B2B山口さんにも食べてもらった。
B2B山口さん「無理ですね。これは辛い。辛いというより痛い。ぜんぶ食べ切れというのは酷な話です。よく『辛いのが苦手な人はお気をつけください』とかいうじゃないですか。これはガチで気をつけてほしい。食べてはいけないレベルだと思います。冗談抜きというか、冗談みたいな辛さというか……」
はばかりながら、筆者はペヤングを愛する人間として週アスの特集に出た。だから激辛ENDも愛せると思っていた。しかしこれはいくらなんでも辛すぎる。まるか食品が“END”と言い切るのもうなずける。激辛路線はもう打ち止めのはずだ。さすがにこれ以上は商品化してはいけない領域だと思う。
オススメできるかといわれると……辛いものが苦手な人はぜったいに食べないほうがよい。冗談で済まないレベルだから。それにしても、どうしてこんなに辛いのだろう。ペヤングへの愛が試されているのだろうか。こんなに辛いものをなぜ食べなければいけないのかとさえ感じた。それが愛だというのなら、愛とは何なのか。
なんとか食べきり、目を白黒させながら、カフェオレやジュースなどを口の中に流し込む。それでも舌と喉に小さな針が刺さったような辛味は抜けない。愛ゆえに、ここまで辛い(つらい)思いをしなければならないのだろうか。味覚はもう失われ、痛覚が口腔内を支配している。呆然とする自分の頭の中に、Joy Divisionの名曲「Love Will Tear Us Apart」のフレーズが流れていた。“Then love, love will tear us apart again(そのとき愛が、愛がもう一度ぼくらを引き裂いていく)”……。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!
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