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携帯大手の「年縛り」に公取委が再警告、強権発動も?

2018年07月09日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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大手三大キャリア「年縛り」に強権発動も視野
総務省・公取委の標的は、大手三大キャリア。携帯ショップでは依然として「0円端末」「1円端末」が販売されている Photo by Reiji Murai

「いま乗り換えていただければ、最新のiPhoneが実質ゼロです」。7月初旬、東京都内のソフトバンク直営店。担当するスタッフは、総務省が2016年4月に策定したガイドラインで規制したはずの「実質0円」をアピールし始めた。

 そのカラクリはこうだ。iPhone8の本体価格9万4320円を24カ月の割賦で契約すれば月々の支払いは3930円。これに毎月の購入補助金3210円を適用することで本体価格は1万7280円に圧縮される。その上で、いま利用している中古のiPhoneの下取り価格が1万7280円だという。結果、「実質0円」が実現する仕掛けだが、当局の規制を擦り抜けるグレーな取引はこうして繰り返されている。

 また、NTTドコモやKDDIを含め、大手キャリアの携帯代理店では、スマートフォンの端末代金を丸ごと肩代わりする「一括0円端末」の販売が依然として横行している。代理店が身銭を切って値引きしているという名目のため、キャリアは無関係を装っているが、その値引き原資はキャリアの懐から出ているのは自明だ。

市場の番人の本気度は?

 総務省はガラケーの時代から10年以上にわたり、通信と端末のセット販売の弊害に目を光らせてきた。スマホの時代に入っても「0円端末」は、(1)端末割引の原資に通信料が使われることで通信料が高止まりする、(2)MVNO(格安スマホ)の参入を阻害する──という二つの観点から明確にNOを出している。4月にまとめた有識者会議の報告書でも、あらためてこの問題を指摘した。

 それでも続くいたちごっこ。その中で公正取引委員会も、6月28日に「携帯電話市場における競争政策上の課題について」と題する報告書を公表した。

 報告書では0円端末につながる端末価格の大幅値引きや「2年縛り」「4年縛り」と呼ばれる契約について、「独占禁止法上、問題になる恐れがある」と警告する。

 実は16年8月にも同じ題名の報告書を出したが、「2年前から事態はほとんど改善されていない」と判断し、再び公取委として見解表明に踏み切った。総務省と足並みをそろえて大手キャリアに圧力をかけていく姿勢だ。

 一方の大手キャリアは「顧客流出につながる施策は簡単に受け入れられない」のが本音。0円端末がなくならないのと同様、2年縛りや4年縛りについてもせめぎ合いが続きそうだ。

 今後、公取委は大手キャリアの既得権を切り崩せるか。2年前の報告書では「問題の恐れ」を指摘しただけで、強制調査や排除措置命令の発動には踏み込まなかったが、それで事態が改善しないなら、次の対応は強権発動も視野に入る。市場の番人の覚悟と本気度が試されている。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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