DDR4とPCIeレーンの構成から推測すると
第2世代Ryzen Threadripperは4ダイ構成のみとなる
次の話はDDR4とPCIeレーンの構成である。Ryzen Threadripperは下図のような構成になっていた。このRyzen Threadripperと同じSocket TR4ということは、4ダイ構成でもDDR4とPCIe x16レーンはそれぞれ4つのままということになる。
一番簡単なのは下図の構成だ。つまり今までのダミーダイにあたる部分を稼動ダイに切り替え、InfinityFabricでつなぐ方式だ。
この方式のメリットは、下図のように3ダイ構成にも対応できることだ。一方のデメリットは、どのダイが動くかで極端に性能が変わりかねないことだ。
Zen+でキャッシュやメモリーアクセスのレイテンシーは短縮したが、その一方でInfinityFabric経由の通信は速度/レイテンシーともにほぼ同じであり、つまりローカルメモリー(自分のダイにつながっているメモリー)のアクセスとリモートメモリー(他のダイにつながっているメモリー)とのアクセス性能差がより大きくなった、という意味でもある。
構造的にはNUMA(Non-Unified Memory Access)な以上、ある程度メモリーアクセスの差が出るのは避けられないにしても、どのダイで動くかで性能が大きく変わるとなると、当然高速に動くダイに集中するようなチューニングになってしまうから、せっかく追加したダイの意味がない。
したがって現実問題としては下図のように、4つのダイからそれぞれ1本づつDDR4とPCIe x16が出る形になると思われる。少なくともこれだと、どのダイでもメモリーアクセスやI/Oの性能は均一になるため、チューニングがずっと楽である。
逆に言えば上図の構成をとる場合、3ダイという可能性は皆無ではないにせよかなり低いだろう。無理に3ダイとなると下図のような変な構成にするか、もしくはDDR4とPCIeが3本づつ有効という制限付きになってしまい、明らかに既存のRyzen Threadripperより性能が落ちるシーンが出てくることになりかねない。
したがって、4ダイ構成のみになるだろうというのが筆者の現時点での予測である。
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