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住友生命が新保険商品「Vitality」のシステム基盤にAzure採用

レッドハットとMSの提携で金融機関のAzure採用が増加

2018年05月29日 13時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフトは、“金融クラウド”を推進するコンソーシアム「金融デジタルイノベーションコンソーシアム」を2018年5月29日から始動する。野村総合研究所(NRI)が推進役、日本マイクロソフトが事務局となり、日本ビジネスシステムズ(JBS)、FIXER、電通国際情報サービス、新日鉄住金ソリューションズ、日本ユニシスなど9社が参画する。

 同コンソーシアムでは、金融機関がOffice 365やMicrosoft Azureなどのクラウドサービスを利用する上でのセキュリティやコンプライアンス対応の課題検討、実用性に関する実証実験などを行う。日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部金融サービス営業統括本部 業務執行役員 統括本部長 綱田和功氏の説明によれば、同コンソーシアムの具体的な活動は、(1)JBSが提供するサービスを軸とした金融機関でのOffice 365導入の検討、(2)FIXERが提供するサービスを軸とした金融機関でのAzure活用の検討、(3)日本マイクロソフトによるAzureを活用した銀行オープンAPI基盤構築の検討---の3軸になるとする。

「金融デジタルイノベーションコンソーシアム」

住友生命が新保険「Vitality」の基盤のAzure採用

日本マイクロソフト エンタープライズ事業本部金融サービス営業統括本部 業務執行役員 統括本部長 綱田和功氏

 日本マイクロソフトが5月28日に開催した記者説明会で綱田氏は、「国内金融機関でAzureの採用が増えている」とし、事例を紹介した。

国内金融機関でAzureを採用した企業

 住友生命は、2018年夏に提供を開始する健康増進型保険「Vitality」のサービス基盤にAzureを採用した。Vitalityは、契約者の健康維持活動(ジム、ウォーキング、マラソンなど)のデータを蓄積し、活動のランクに応じて特典(飛行機やホテルの割引、スポーツウェアやシューズなどのプレゼント)がある保険だ。運動と健康増進の関係について知見を持つ南アフリカのDiscovery社と提携して商品開発した。

 「日本と、提携企業のある南アフリカ、(開発拠点の)インドにまたがって世界規模でシステムを開発・運用できる基盤としてAzureを採用した。契約者の健康データを扱うため監査当局から厳しい基準を課されるので、Azureの豊富なセキュリティオプションと監査対応力も採用の決め手になった」(住友生命情報システム部 担当部長 兼 代理店事業部 担当部長 岸和良氏)。

住友生命は健康増進型保険「Vitality」のサービス基盤にAzureを採用

 地方銀行向けには、日本ユニシスが地銀向け勘定系システム「BankVision」をAzureから提供する計画を打ち出しているほか(関連記事)、北國銀行がAzureを基盤としたインターネットバンキングサービス「北國クラウドバンキング」を開発中(関連記事)であるなど、大規模なAzure移行プロジェクトが進んでいる。一方、メガバンクにとって勘定系のクラウド化は「まだ遠い未来のこと」(三井住友銀行 システム統括部 部長 高橋健二氏)だが、三井住友銀行ではAzure上に社内人事業務を自動化するチャットボットを構築したり、Azureのリモートデスクトップサービスを使ったシンクライアント環境を導入するなど、働き方改革の軸でAzureの採用を進めている。

三井住友銀行はチャットボットやシンクライアント環境の構築にAzureを利用三井住友銀行のチャットボット

RHELの2社サポートが金融機関から評価された

 金融機関でAzureの採用が増えている理由として、日本マイクロソフト 綱田氏は、(1)金融業界から多くの人材を採用し金融機関のAzure利用支援チームを200人体制で組織したこと、(2)Red Hat Enterprise Linux(RHEL)をレッドハットとマイクロソフトの2社で統合サポートしていること、(3)他社クラウドに先駆けて2014年2月から東日本/西日本の両リージョンでサービス提供してきたこと、(4)金融機関向けの特別対応メニューの用意やFISC安全対策基準への対応---の4つを挙げた。

金融機関でAzureの採用が増えている理由金融機関向けにAzure初期フェーズの支援を無償提供

 特に、RHELについては、「マイクロソフトサポート部隊の中にレッドハットのサポート部隊が常駐し、ユーザーに一貫したサポートを提供している。金融機関ではRHELの利用が多く、これがAzure採用の決め手の1つになっている」(綱田氏)という。

 今後の金融機関向けの施策として、同社は、Azure移行の3フェーズ(計画、検証、展開)のうち、最初の計画フェーズの支援サービスを無償化する。「クラウド化の阻害要因には、技術的側面と、組織的側面がある。最初の計画フェーズにおける技術的側面(適切なクラウド化方針の選択)と組織的側面(組織の近代化による全社的クラウド推進)の両面の課題解決を、無償で支援する」(綱田氏)。具体的には、FIXERが提供している金融向けサービス、またはMicrosoft Enterprise Servicesの一部を、金融機関向けに無償で提供する。

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