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IHIが造船株の売却で業界再編の引き金を引くのはいつか

2018年05月15日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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IHIが出資するジャパン マリンユナイテッドは巨額の最終赤字を計上
IHIが出資するジャパン マリンユナイテッドは2017年度、売上高2987億円にして694億円という巨額の最終赤字を計上したが、まだ資本増強などが必要な段階ではないという Photo:Haruyoshi Yamaguchi/アフロ

「あまりにも損失額が大き過ぎましたよ」。満岡次郎・IHI社長が天を仰ぐのも無理はない。

 同社の2017年度の決算は散々だった。JFEホールディングス(JFE)と“二大株主”として45.93%ずつ出資している造船専業会社のジャパン マリンユナイテッド(JMU)が、17年度に694億円もの最終赤字を計上。これに伴って320億円の投資損失を被り、期初に予定していた経常利益が半分以上吹っ飛んだのだ。

 JMUの赤字の原因はまず、4隻まとめて受注した液化天然ガス(LNG)船にある。LNGを貯蔵するタンク周辺の限られたスペースで行う防熱工事にてこずり、工程が遅れてしまった。また、円高による外貨建て工事の採算悪化などにも直面した。

 JMUはIHIや日本鋼管(現JFE)などの船舶部門が源流だ。しかしIHIは昨年、浮体式石油貯蔵積出設備(FPSO)船体やLNGタンクなどの建造からの撤退を決定。造船会社が上得意先であるJFEと違って、JMU株を大量保有する意義が薄れていた。

拠点統廃合の決断が焦点

「JMU株については売却の検討もしなきゃいけない」。収益拡大のために事業の選択と集中を進め、身を削っている最中だけに、IHIの経営陣は異口同音にこう語るようになっている。

 ただ、「手離すのは今じゃない」と付け足すのも忘れない。というのもIHIは、JMUが建造するLNG船向けのタンクの納品を遅延しており、LNG船に関してはJMUに迷惑を掛けた“負い目”がある。何より、この大赤字の局面で株の売却に動いたところで、うまく売れるはずがない。

「これまでJMUの経営はJMUが自己管理して進めてきたが、今後はわれわれ株主も一緒になって進めていく」(満岡社長)。IHIはJFEと共にJMUの経営に深く関与し、まずは同社の立て直しを急ぐ。「そもそも、円高ですぐに赤字になる体質からしておかしい」(JFE役員)と、両社は怒り心頭に発しているのだ。

 造船業界は競争環境も厳しい。中国では国営造船グループが統合に向けて動いているとされる。韓国では政府がせっせと自国の造船会社の支援に当たっている。

 経営基盤の強化が一刻を争う状況の中では、固定費の削減や適正受注の徹底はもちろん、拠点の統廃合をするかどうかも焦点となる。JMUは13年の誕生以降、同社を率いてきた実力者、三島愼次郎前社長が雇用の確保を重んじ、事業所の維持にこだわってきた。だが、その三島氏も3月で特別顧問に退き、造船業界ではいよいよ“聖域”にメスが入るとの見方が出る。

 業界再編のトリガーとなり得るIHIのJMU株売却案は、こうした構造改革を経て具体策が練られることになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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