IoTエンジニアを熱狂させるサービスの強みはますます健在

1万ユーザーを突破したソラコム、エンジニア向けイベントを開催

大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●山下智晃

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2018年4月26日、IoTプラットフォームを展開するソラコムはエンジニア向けイベント「SORACOM Technology Camp」を開催。開会宣言を行なったソラコム代表取締役社長の玉川憲氏は、ユーザーが1万を超えたことをアピールしつつ、新サービス・新機能について説明した。

SORACOM Technology Campに登壇したソラコム代表取締役社長の玉川憲氏

今朝、いよいよ1万ユーザーを突破!

 初の「SORACOM Technology Camp」はエンジニアにフォーカスしたイベントで、活用事例メインのDiscoveryに対して、組み込み機器やクラウドでの実装に特化したセッションが満載。また、導入前のユーザー向けにSORACOMのサービスや世界観をわかりやすく解説するセッションも用意され、抽選で選ばれた多くのエンジニアが会場に詰めかけた。

 イベントの開会宣言として登壇したソラコム代表取締役社長の玉川憲氏は、ハイプカーブの幻滅期にさしかかっていると言われるIoTが、クラウドやインターネットのように今後も爆発的に伸びていくと指摘。その上で、多くの企業が抱えている「エンジニア不足」という課題に対して、フルスケールエンジニアの重要性をアピールした。

フルスタックエンジニアとフルスケールエンジニア

 インフラやOS、ネットワーク、ミドルウェア、アプリケーションなどがクラウド化されたことで、多くのエンジニアは少ない人数で大規模なサービスを扱える「フルスタックエンジニア」として成長することができた。そして来たるべきIoTの時代においては、ハードウェアや組み込み機器についての知識やノウハウまで含めたフルスケールエンジニアになる必要があるという。今回のSORACOM Technology Campもエンジニアをフルスケール化するのが目的で、テクノロジーにフォーカスしたセッションを数多く用意したという。

 続いて玉川氏は、ソラコムのここまで沿革を説明する。2015年に創業されたソラコムはステルスで開発した通信サービス「SORACOM Air」を同年9月に開始。以降、通信やセキュリティ、デバイス管理、クラウド接続などをIoT開発の課題を解消するサービスを次々と拡充してきた。

IoT市場を駆け抜けてきたソラコム3年間の沿革

 2016年には30億円を新たに調達し、2017年にはグローバルSIMの販売を開始するとともに、セルラー通信以外のLoRaWANやSigfoxにも対応。夏にはKDDI傘下となり、現在はグローバル展開をますます強化しているさなかにある。顧客数に関しても、大手企業やスタートアップなど幅広い業種業態で伸張し、グローバルでも順調に推移。「今朝の時点でちょうどユーザーが1万を突破した」と玉川氏は高らかに宣言した。

ユーザーはついに1万を突破

Inventoryがパブリックβ版へ PoCの障壁を下げるサービスも続々投入

 ソラコムのサービスはユーザーの実現したいことやフィードバックを聞き、プラットフォームとしてどうすれば役に立てるかを考え、最小限の機能をまず実装。その後リミテッドプレビューやβ版として展開するというサイクルを2週間単位で行なっているという。開始以来、サービスのリリースは19個、新機能は74回を数え、圧倒的なスピードでサービスを成長させている。

 ますます進化し、深化し続けるソラコムのサービス。玉川氏は矢継ぎ早に新発表について解説した。

 まずリミテッドプレビューだった「SORACOM Inventory」のパブリックβ版が開始された。SORACOM InventoryはLwM2Mというプロトコルでデバイスを管理するサービスで、Inventoryエージェントのデバイスからメトリクスを取得したり、Inventoryサーバー側からコマンドを実行できる。新たにInventryエージェントのイベントをSORACOM Beam/Funnel/Harvestに送り込むことが可能になったほか、デバイス固有のカスタムモデルを定義できるようになった。

InventoryエージェントのイベントをSORACOM Beam/Funnel/Harvestへ

 また、収集データの可視化を行なうSORACOM Harvestでは、新たに位置情報データをサポートし、地図上への可視化が実現する。さらに要望が多かったユーザーコンソールのMFA(多要素認証)に対応し、セキュアなログインが可能になった。

SORACOM Harvestで位置情報をサポート

 ハードウェア系の新発表もいくつか行なわれている。従来、リール(3000枚)単位だったチップ型SIM(eSIM)の10個入りサンプルパッケージの提供を開始。フットプリントも小さく、耐障害性の高いeSIMで、試作機開発や表面実装が手軽に試せるようになった。組み込み用途でのPoCの障壁を下げる取り組みと言える。

eSIMのサンプルパッケージが提供開始

 また、7種類のGroveセンサーとSIMを同梱し、手軽にIoTを試せる「Grove IoTスターターキット for SORACOM」も1万5980円(税別)で提供開始。セルラー通信モデム搭載のマイコンボードのラインナップも拡充し、グローバル向け3G/GSMモジュールを搭載したマイコンボード「Wio 3G SORACOM Edition」を追加した。その他、5年間稼働可能なバッテリを搭載したオプテックス製のドライコンタクトコンバーターも、3万9800円から1万4980円(1年間の通信料込み)に値下げ。企画書や構成図に利用できるSORACOMアイコンセットも1.4にバージョンアップし、eSIMやセンサー、Wio、機械学習などのアイコンが追加された。

Wio 3G SORACOM Editionを追加。スターターキットも今後追加予定

 KDDI傘下に入っても、「多くのIoTプレイヤーを生み出すプラットフォームとして成長させたい」というソラコムのビジョンはまったく変わらない。相も変わらず多くのエンジニアを熱狂させ、IoT市場を牽引し続けるソラコムの健在ぶりがうかがえた10分だった。エンジニアにフォーカスしたセッションの一部は後日、レポートする。

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