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IoT&H/W BIZ DAY 5 by ASCII STARTUP第31回

1年間で6000社と話し、1000の出会いを創出してきたeiiconが語る共創ノウハウ

オープンイノベーションによる協創をスムーズに進めるためのポイント

2018年04月17日 06時00分更新

文● 松下典子 編集●ガチ鈴木/ASCII STARTUP

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パーソルキャリア eiicon founderの中村亜由子氏

 2018年3月22日、ハードウェアとIoTプロダクトの事業者が集結するビジネスイベント「IoT&H/W BIZ DAY 5 by ASCII STARTUP」が開催。セッションD「1年間で6000社と話し、1000の出会いを創出してきたeiiconが語る共創ノウハウ」では、大手企業がベンチャー、スタートアップとオープンイノベーションをするうえで、重要なポイントが語られた。

 eiiconは、企業間の出会いとコミュニケーションの場をウェブ上で提供する、オープンイノベーションのマッチングプラットフォームだ。2017年2月にサービスを開始し、わずか1年間で利用企業数は2300社を突破している。セッションでは、eiicon founderの中村亜由子氏が、これまで6000社以上の企業と話をしてきた経験から、オープンイノベーションを成功させるポイントを語った。

アクセラレーター募集の前に目的を明確にする

 オープンイノベーションをスムーズに進めるための第1のポイントは、目的が明確であること。企業がオープンイノベーションをする目的は、以下に大きく3つに分けられる。

1.飛び地の新規事業創出
2.既存事業の延長にある事業拡大のスピード化
3.日進月歩の技術に追いつく次世代技術の獲得

 しかし、目的が明確でないままスタートして失敗する事例が横行している。たとえばベンチャー企業を募集して自社のアセットと組み合わせて新規サービスを開発することを目的に行なわれることが多いアクセラレーションプログラム。オープンイノベーションを魔法のように捉え、門戸さえ開けばスタートアップ側が何かいいアイデアをもってきてくれるだろう、と考えている企業は多い。こうしたケースでは、社内での整合性がとれておらず、想定していたリソースが使えないなど、プロジェクトを進めるうえで障害が発生しやすい。結果、スタートアップからの印象も悪くなってしまう。

 目的が明確な募集事例として、2018年2月に協創する企業を発表した日本郵便のPOST LOGITECH INNOVATION PROGRAMを紹介。この募集テーマでは3つに絞っている。ポイントは、募集を始める前からどの分野で新規事業をやるのかを決めていること。この事例では、2017年9月に募集を開始し、約半年で実用化まで進んでいった。

1.ドローンやロボティクスなどを活かした新しい郵便・物流の仕組み
2.AIやIoTを活用した郵便・物流のスマート管理
3.郵便・物流のリソースを活用した新サービス

日本郵便のPOST LOGITECH INNOVATION PROGRAMの事例

「出島方式」で意思決定をスピード化する

 次に大切なのが独自決裁フローをもつことだ。進めていく段階では以下の3点がポイントとなるが、独自決裁フローをもっているかどうかによってスピードが大きく変わる。

1.体制構築・プロセス整理
2.協業判断基準の明快化
3.機動的な意思決定

 独自決裁フローをもつための手法としては、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の設立やアクセラレータープログラムの実施が一般的だが、もう1つの手法として、既存の部署に特別な決裁措置をもたせることで独自ルートを設ける方法もある。

 この独自ルートを使った事例として、サントリーホールディングスのベンチャー共創スキームを紹介。アクセラレータープログラムのように期間限定ではなく、既存の事業部の中に「ベンチャーコネクティングチーム」を設立。チームのメンバーの経歴や、提供できるリソース、資金、ノウハウなどの情報がウェブ上ですべてオープンになっている。

サントリーホールディングスのベンチャー共創スキーム

 独自決済フローをもたせるには、CVCやアクセラレータープログラムに比べると、独自決済フローをもつには事前の経営会議での調整が必要ではあるが、元手をかけず、いますぐにスタートできる点では有利だ。大企業では、決裁承認を受けるために十段階ほどの経営会議にかけるケースもあり、独自決裁フローをもっていないと、スピードは格段に落ちる。プロジェクトをスムーズに進めるには、決裁フローにはまることがないように対策を考えておくべきだろう。

スタートアップがオープンイノベーションをうまく利用するためのコツ

 最後に、スタートアップ側へのアドバイスとして、「書面の締結に関する話題を最初に切り出す」「目先利益主義からの脱却」の2つを提案した。

 書面の締結に関する確認を最初にしておくことで、企業側のイノベーション担当者に決裁があるか、決裁フローが把握できる。書面を締結する前に先んじて手配を進めたところ、予算が通らず、スタートアップが在庫を抱えてしまうケースも実際にあるそうだ。また、大企業側の担当者が異動になると、口頭で交わした約束は反故になる可能性も。大事な事項は、必ず書面で残すことが大切だ。

 もうひとつは、目先利益主義からの脱却。日々の資金繰りに苦労しているスタートアップは、明らかに不利であることがわかっている内容でも締結を急いでしまうことがある。規模やブランドに惹かれて方向性を曲げてしまったり、共創ではなく受発注の関係になってしまったりすることも。目先の利益にとらわれず、本質的にビッグインパクトを生む共創マインドをもって挑んでほしい。

サントリーホールディングスのベンチャー共創スキーム

 eiiconは、日本ならではのオープンイノベーションの創出をテーマにしたセッションと展示イベント「JAPAN OPEN INNOVATION FES 2018 in Summer」を、2018年6月8日に東京ミッドタウン日比谷BASE Qで開催する。eiicon会員は参加無料だ。ぜひこの機会に登録してみてはいかがだろうか。

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