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Windows Info 第122回

間もなく登場のWindows 10 RS4の次、RS5では過去の複数アプリでの作業をタブ表示可に

2018年04月08日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII編集部

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間もなく正式リリース予定のWindows RS4
さらにその次、RS5では「Sets」が導入予定

 マイクロソフトは、次のFuture UpdateであるWindows 10 Ver.1803(Redstone 4。以下、RS4と略す)で、Windows Timelineを導入する。

Windows Timelineは、ユーザーのアクティビティを時間順に表示する

 Timelineについては本連載でも解説をしているが、これはアプリ操作の履歴をさかのぼれる機能だ。さらに次のRS5(Redstone 5、Windows 10 Ver.1809になる予定)では、Sets(仮称)と呼ばれる機能を導入する予定となっている。

Timelineはある1つの作業において同時に利用するアプリを1つのウィンドウの中にタブで表示する。ここではメモ帳、ウェブブラウザ、OneNoteが1つのウィンドウにタブで表示されている

 この2つの違いを簡単に言うならば、Timelineはアクティビティの履歴であり、Setsは関連するアクティビティを1つのウィンドウ内にタブで表示するものだ。Timelineが時間軸に沿った配置なら、Setsは時間軸に直交するようにある時点のアクティビティをまとめたものだ。単なる履歴と違うのはアクティビティは再現が可能という点である。

 アクティビティとは、アプリケーションが登録する作業の対象を記録する。表計算やワープロならばデータファイル、ウェブブラウザならばURLが、アクティビティには登録されている。

 アクティビティでは、こうした対象を「URI」(Uniform Resource Indicator)として表現する。URIは、簡単にいうとURLを一般化したようなものと考えればいいだろう。実際、ウェブページが対象ならそのURLがそのまま使われる。また、対象がどのような属性を持つか、形式は何か、といった情報も記録される。アプリケーションは、自身が作業状態を復元するために必要な情報を記録しておける。

 Windowsのアクティビティは、画面に表示可能にするために「視覚要素」も同時に登録する。また、Windows以外のプラットフォームでの利用を考え、対象を扱えるアプリケーションが存在しない場合に利用するURIなども指定できる。また、アクティビティ情報は、汎用的な情報表示形式であるJSONでも表現することが可能だ。

 Setsについては、現在公開中のプレビュー版で、未完成ながらある程度体験できる。ただし、そのためには、Windows Insiderとして登録し、Insider PreviewでSkip Aheadを選択する必要がある。残念ながら、原稿執筆時点ではRS4の完成直前のため、Skip Aheadへの参加が閉じられている状態。おそらくは、RS4の一般配布が始まる頃には参加が可能になると思われる。

Edgeのように複数のアプリをタブで表示
過去の操作を再現できる

 Setsでは、同一のウィンドウに複数のアプリをタブで表示する。また新規タブページはEdgeのそれに似ているが、検索ではローカルファイルやアプリなども提示される。アプリは、UWPだけでなく、メモ帳のようなデスクトップアプリケーションにも対応する。

 ただし、アクティビティの登録は、アプリ自身がする必要があり、そのためにはデスクトップアプリケーションも、アクティビティAPIの呼び出しなどの対応が必要となる。Windows付属のメモ帳も、RS4に付属しているものは対応がなされていて、テキストを編集したときのアクティビティがTimelineに表示されるようになっている。

 アプリをタブに表示する部分に関しては、特に対応が必要といったドキュメントは見つけられていないが、Win32 APIでは、タイトルバーなど、ウィンドウの外側の部分は、Windowsが管理しているため、おそらく対応の必要はないと思われる。

 Setsによるウィンドウ操作は、基本的には、Edgeなどのタブ対応ブラウザの操作を継承したものになるようだ。Setsのタブや独立したウィンドウをドラッグして、他のSetsウィンドウに重ねることで、Setsを構成できる。また、エクスプローラーやEdgeなどのアプリは、メインメニューやコンテキストメニューなどでSetsを新規に作ることなどが可能なようだ。

 Setsを再開するには、Setsに含まれていたアクティビティを再度開く。すると「Setsを再現するかどうか」といったメッセージが表示され、ユーザーが確認するとSetsが再現される。現時点では、Setsのリストを出してそこから選択したり、Setsをどこかにピン留めしておくといった機能はないようだ。

一回Setsを作ると、Setsに含まれていたアクティビティを再度開くと、Setsを開くかどうかを聞いてくる。これによりユーザーは作業環境を復元できる

 ただEdgeは、他のブラウザと比べると、タブ関連の機能が多い。タブをプレビューして見るだけでなく、タブをまとめて保存する機能などがある。現時点のSetsでは、Edgeのようなタブ機能はないが、Edge自体がSetsの中で動作することを考えると、同等のタブ機能が搭載される可能性はあるだろう。また、Edgeが持つタブの保存機能なども、Setsに使われる可能性があるだろう。

TimelineやSetsが利用できるのは対応アプリのみ
他社がどこまで対応してくれるか

 TimelineやSetsの組み合わせには、どこでも仕事を再開できる、動画などの各種メディアの継続視聴をプラットフォームを超えてできるといったメリットがある。

 反面、対応できるのは、アクティビティを扱えるアプリケーションに限られる。つまり、対象となるのは、アクティビティAPIを使うように開発されたアプリケーションだけだ。マイクロソフトはWindowsの同梱アプリやOfficeなど自社のアプリケーションへの対応を進めるが、サードパーティ製のアプリケーションについては、アクティビティに対応しない限り、TimelineやSetsの恩恵を受けることができない。

 かつては、Windowsといえば、ソフトウェア企業にとっての1stプラットフォームだったが、現在の多くの開発者やソフトウェア企業の目はスマートフォンへと向いている。この先、どれだけのアプリケーションがアクティビティに対応するかは不明だ。

 なお、マイクロソフトは、昨年のBuild 2017で、Timelineをスマートフォン側から利用するアプリとして、コルタナを利用していたが、Microsoft Launcherと呼ばれるアプリでも「最近使ったもの」としてファイルなどが提示される。ただ、スマートフォンの場合、一度に表示できるアプリは限られる場合がほとんど。このため、現時点ではSetsをスマートフォンやタブレット(非Windows)で利用することはできない。

 ただ、一部のスマートフォンでは、外付けディスプレイを接続したときに、ウィンドウでアプリを操作できるものがある。実際に一部のAndroidスマホでは、液晶ディスプレーやキーボードなどを接続することで、Windows 10 MobileのContinuumに似たPCライクなマルチウィンドウ操作ができる製品がある。こうした機種では、将来的にSetsが導入される可能性はある。

 一般にウィンドウの管理はOS側でするため、実現には、スマートフォンプラットフォームの開発元であるGoogleやAppleの協力が不可欠だろう。もっとも、モバイル版Officeなどマイクロソフトが提供しているモバイル用アプリケーションにSetsを組み込んでしまうという方法も実現可能性がないわけではない。

RS5は3年続いたRedstoneシリーズの最後
来春には新たなシリーズでアップデートか

 Setsが実装されるRS5は、Redstoneシリーズの最後のFuture Updateとなる。Windows 10では3年間を単位に「長期チャンネル」(Long Term Support Channel=LTSCで、従来LTSBと呼ばれていたもの)を提供しており、RS5が今年9月に提供されるとRedstoneシリーズが終わる。

 来年の3月には、新しいシリーズが登場する。最初に登場したThresholdシリーズは、最初のTH1がLTSC(当時はLTSB)となり、次のLTSCはRS1だった。このため、次のLTSCは、RS1から3年後の来年3月に登場しなければならない。

 Windowsは以前は3年ぐらいをメドにメジャーバージョンアップをリリースしてきた。もちろん、計画通りにはいかないこともあったが、最初に発表される計画は、常に3年後のメジャーアップデートだった。つまり、3年周期の「シリーズ」は、従来のバージョン(メジャーアップデート)に相当するわけだ。

 このため、来年3月から始まる新シリーズは、Windows 10の2回目のメジャーバージョンアップにあたる。もっとも、Windows 10では、年2回、新機能が提供されるFuture Updateで3年間かけて段階的に完成させることになっているため、来年3月のFuture Updateは、RS1同様、あまり派手なものにならないだろう。とはいえRedstoneシリーズが、RS4/RS5でTimelineとSetsを導入するように、次のシリーズでも大きな機能が導入されることは考えられる。

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