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3Dモデリングに義肢装具士の経験と勘が活かせる「OrthoVR」

義肢製作にVRを。

2018年03月09日 15時30分更新

文● HTC公式ブログ/Mogura VR

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※本記事は、2018年2月1日にHTC社公式ブログに掲載されたStephen Reid氏の記事を翻訳したものです。

 戦争、事故、あるいは先天性障害のために脚を失った人は世界中に大勢います。義足があれば歩けるにもかかわらず、それが手に入らないために不自由な暮らしを余儀なくされている人は少なくありません。特に発展途上国では、教育を受けたり、仕事に就いたり、社会行事に参加したりといったことすら非常に困難になる場合があります。本人にとってはもちろん、家族やコミュニティにとっても経済的、社会的な損失です。

 低コストな3Dプリント技術の登場で、今では世界中ほぼどこでも、使う人に合わせた義足を、従来より短期間で作ることが可能です。低中所得国の医療機関における義足や装具の製作を支援している非営利団体もあり、カナダのNia Technologiesもその一つです。デジタルスキャンから義足の設計、3Dプリント出力まで、発展途上国で脚を失った人々のケアに取り組む医療機関を技術面から支えています。

 問題は、3D設計は複雑で習得が大変なことです。

 義肢の製作や調整は従来、石膏型取り、やすりがけ、整形と手作業でした。それに携わる義肢装具士もそのように訓練を受けています。製作に3Dプリントを使うメリットは理解できても、実際にそうするためにはデジタルモデリングという全く異なる技術を覚える必要が出てきます。

 つまり、自分の手ではなく、マウスで義肢を作らなくてはならないわけです。スムーズに適応できる人もいますが、困難を感じる人も大勢います。昔の職人のように自分の手で義肢の形状を確かめ、微妙な調整を加えていくことに慣れているからです。そのため、3Dプリントで製作工程を短縮できるはずなのに、かえって時間がかかってしまうという事態も起こります。

 しかしVRを使えば、3D設計をより直感的な作業にして、彼らの経験と勘を活かした義肢製作を実現できる可能性があります。そして、まさにそれを目指しているのがOrthoVRです。

 OrthoVRは、VR for Impactイニシアチブの支援を受けたNia Technologiesが、VRスタートアップのGradient Space、トロント大学のCritical Making Lab、CBM Canadaと共同で開発を進めているツールです。

 義肢装具士にマウスと2D画面で義肢を設計する技術を一から覚えさせるのではなく、VR空間の中でViveコントローラーを使うことで、すでに身に付けた技術を活かして3Dプリンタ用のモデリングができるようにします。従来の製作工程に近い感覚で検討、成形、調整ができるため、試作から最終調整までの時間を大幅に短縮できます。もちろん、VR内で作成したものは3Dプリンタで出力して、現実世界に持ってくることができます。

 OrthoVRの臨床試験はまもなくタンザニアで始まり、ほかの発展途上国の医療機関でも実施される予定です。成功して世界各地で利用されるようになれば、より多くの人が脚の障害を克服できるようになるでしょう。

 OrthoVRは3Dプリントとバーチャルリアリティという2つの先端技術の組み合わせで、世界の義肢製作に革新をもたらす可能性を秘めたツールです。

 OrthoVRについて詳しくはプロジェクト公式サイトをご覧ください。VR for ImpactイニシアチブについてはVRforImpact.com、またはViveコミュニティフォーラムへどうぞ。

※本記事はMogura VRがHTC社から許可を受け、翻訳した記事です。Mogura VRとHTC社に許可を頂き転載しています。

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