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ムダばかりの「ブラック会議」を強くする、ほんのちょっとの視点 第7回

会議室の稼働率を上げよう

本末転倒!? 会議室が空いてないから大事な会議を「先送り」する

2018年02月28日 09時00分更新

文● 橋本雅司/内田洋行

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 「よし!これは、今すぐ動けばライバル企業から大きなアドバンテージを取れるぞ。そうと決まったら、プロジェクトメンバーで緊急会議だ!メンバーを招集してくれ!」
 「あのー、会議室の予約表見ると再来週まで埋まってますー」
 「なにっー!会議室が空いていないだと!? ……ムム、しようがないな。じゃあ、再来週で会議を予定してくれ。」「それから、総務部に会議室が足らないから増やして欲しいと要望を入れておいて」

 チームのメンバーと急ぎの議論や判断が必要な局面なのにもかかわらず、肝心の会議室の予約が取れなくて、仕方なく会議の開催を先送りにせざるを得ないことになってしまいました。会議室の空き状況に合わせて、重要な会議の予定を先送りするというのは本末転倒ですよね。

 しかし、この話には続きがあるのです。実はその時間に使われているはずの会議室は、無人で誰も使っていなかったのです。会議室予約表では、誰かが予約を入れていたために使えなかったのですが、実際には予約した人は会議室を使わないことになったにもかかわらず、予約表のキャンセルをしていなかったのでした。

 私の会社では、過去に会議室予約とその利用状況の調査をしたことがあります。データを分析すると、会議室の予約を入れた会議予定のうち、実に24%の予約が実際には利用されていなかったことが分かりました。私たちがご支援しているお客様の会議室でも、同程度の比率で利用されない会議室予約があるということが少なくありません。このような状況では、無駄に会議室が満室になっていることが多くなり、肝心の会議をタイムリーに開催することができなくなってしまうのです。

 私は、予約をしているにもかかわらず実際には使用されない会議予約を、会議室の「カラ予約」と呼んでいます。「カラ予約」は、冒頭のように大事な会議を先送りすることになるだけでなく、オフィススペースの1割以上を占めると言われる会議室の地代家賃を非効率に運用することにもつながるのです。

 今回は、「カラ予約」をできるだけ排除して、タイムリーな会議開催やオフィスファシリティの効率的な運営に役立つ「会議室予約管理システム」をご紹介します。

 会議室予約管理システムは、その名のとおり会議室の予約だけではなく、利用や運用状況の管理まで行うことのできるシステムです。ポイントは、会議室の前にタブレット端末を設置することで、予約状況の表示案内だけでなく、利用の際に部屋前の端末を操作させて、利用状況をシステム側で把握できるようにしていることです。この利用時の部屋前端末操作の有無によって、無駄なカラ予約を排除できるようになっています。

 会議室の予約は、グループウェアのスケジューラや専用のWebサーバへアクセスして行います。ここで例に挙げたものは、グループウェアのスケジューラ(画面はMicrosoft Exchangeの場合)に連携するタイプです。

 予め、会議室予約管理システムの管理対象の会議室を、Exchangeの会議室リソースに割り当てておけば、利用者はいつも通りのスケジューラの操作で会議室の予約ができます。第2回の連載(「ダラダラ会議の撲滅」)でご紹介した議題と会議目的の設定内容をスケジューラの予約時にメンバーに案内すれば、メンバー招集・会議室予約・議題と目的の周知が一度に効率的に行えます。

スケジューラでメンバー招集、会議室予約、議題の案内までできる。

予約した内容は、スケジューラの予定表に反映される。

 スケジューラで行った予約は、会議開催時間前になると会議室の前に設置された部屋前端末に表示されます。表示される内容は、会議の内容、会議開始時刻・終了時刻、参加者です。会議室が複数ある場合は、参加者が表示内容を確認することで開催場所を間違えずにすぐに部屋へ入れます。

タブレットタイプの部屋前端末

会議時間になると予約内容と入室ボタンが表示される。

 部屋前端末は、会議開始時間前になると図のような表示に変わりますが、その際に画面右端に「入室」というボタンが表示されます。このシステムの最大の特長は、会議室利用者が会議開始時に部屋まで行って、この「入室ボタン」を押して初めて会議予約の利用が確定するということなのです。もし、会議開始予定時刻になってもこの「入室ボタン」が押されなければ、その時点でこの会議予約は自動的に強制キャンセルされる仕組みです。もちろん、サーバ側のデータもキャンセルされますので、皆が見るスケジューラ上も、会議室は空いている状態になり、誰でも予約できるようになります。※自動キャンセルまでの猶予時間は、任意に設定できます。

 会議終了後は、「退室」ボタンを押します。予定時刻より早めに会議が終わった場合に、「退室」ボタンを押して終了すると、その時刻で会議室がリリースされますので、他の人が使える状態になります。

会議が終わって、退室ボタンを押せば会議室はリリースされる。

 急ぎで集まってミーティングしたい時に「空室」表示の部屋があれば、その場で「今すぐ利用」ボタンを押して会議室を利用することもできます。自席のパソコンまで戻らなくても良いので便利です。無駄な時間を発生させずに、すぐに打合せを始められます。

空室表示であれば、その場で予約も可能。

 前半で書いた私の会社でも発生していた24%のカラ予約は、この会議室予約管理システムを導入した後の利用ログデータを分析すると、そのうちの約半分の12%は自動キャンセル後に他の人が利用していることが分かりました。

 従来の運用方法のままだと、冒頭のストーリーのように会議の先送りばかりが発生していたかも知れませんが、システム導入後はいくらかの会議はその場で開催できるようになったのです。

 皆さんのオフィスでは、「先送り会議」は発生していませんか?

橋本 雅司

株式会社内田洋行 ICTリサーチ&デベロップメントディビジョン ICTプロダクト企画部プロダクト2課 課長

内田洋行 オフィスエンジニアリング事業部営業部門を経て、2008年より会議やコミュニケーションの活性化や効率化を支援するICTソリューションの企画業務に携わる。現在は、営業統括部門のスタッフとして、教育・公共・民間のすべてのマーケットに対するICT商品・ソリューションの企画を担当。

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