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ERPの膨大なデータをマシンラーニングに生かす、「第2の創業」と語るインパクト

「ビジネスの“第2の柱”」SAPジャパンが「Leonardo」の価値を語る

2018年02月14日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 SAPジャパンは2018年2月13日、同社がビジネスの“第2の柱”と位置づける「SAP Leonardo」およびAI戦略についての記者説明会を開催した。

「SAP Leonardo」の位置付け
SAPジャパン 常務執行役員 デジタルエンタープライズ事業副統括の宮田伸一氏SAPジャパン プラットフォーム事業本部 エバンジェリストの松舘学氏「

 SAPジャパン 常務執行役員 デジタルエンタープライズ事業副統括の宮田伸一氏は、「SAP Leonardoの登場は、SAPにとって『第2の創業』と言えるものだ」と、そのインパクトを説明した。

 「SAPは、『S/4 HANA』をはじめとする従来のビジネスである“Run”と、SAP Leonardoによる“Win”という2つの方針を打ち出している。Runで生まれた大量のデータに基づいてWinでインサイト(洞察)を生み、それをまたRunに返す。この“インフィニティループ”によって、よりよいビジネス環境が提供できると考えている」(宮田氏)

 宮田氏は、従来のSAPでは個々の製品ごとに、担当部門が独立独歩でビジネスを展開してきたが、今後は「RunとWinの組み合わせ」によるエンドトゥエンドソリューションとして、顧客に対してトータルバリューを提供していく方向性だと語る。

 SAPでは昨年(2017年)から、AIやマシンラーニング(機械学習)をはじめ、ビッグデータアナリティクス、ブロックチェーン、IoTといった新分野での取り組みを“SAP Leonardoブランド”で包括し、先進的なSAP像をアピールしている。レオナルド・ダ・ヴィンチの名を冠し、「デジタルルネッサンスへのナビゲーションや、企業のデジタルビジネスへの転換を支援する」製品群と位置づける。

 宮田氏は、AIに関しては毎月数多くの新機能をリリースしており、しかもそれがすぐに業務利用できる品質のものであることを強調した。「SAPは企業向けAIのトップランナーと言える」(宮田氏)。

 SAPジャパンでは昨年10月から、国内におけるSAP Leonardoの本格展開をスタートしており、700以上で構成される製品導入の支援サービスを展開している。「SAP Cloud Platform」上で、IoT、マシンラーニング、ビッグデータ、アナリティクス、ブロックチェーン、データインテリジェンスなどの技術を統合/提供するとともに、デザインシンキングの方法論やSAPの専門知識を提供することで、新たな機能やビジネスモデルの速やかな導入を支援し、デジタル変革を推進できるという。

 「他社にはないSAP Leonardoの最大の特徴は、デザインシンキングの手法を用いて、顧客企業が本当にやるべきことは何かを導き出すことができる点。そして、イノベーションセンターネットワークを活用することで、約200にのぼるERPに関するアイデアを具現化するための仕組みを持っている点だ」(宮田氏)

SAP Leonardoのソリューションポートフォリオ

 今回の会見では、SAP Leonardoで提供されるマシンラーニングの具体的な活用事例についても説明された。たとえば、企業財務部門が利用する「SAP Cash Application」では、銀行の電子取引明細書の履歴に基づく消し込み作業を行う部分でマシンラーニングを活用している。実際に、このアプリケーションはシンガポールのSAP South East Asiaでも利用されており、自動化によって年中無休で消し込み作業ができるようになったという。

 この機能について、SAPジャパン プラットフォーム事業本部 エバンジェリストの松舘学氏は「過去の履歴データを基に、入金と請求書の照合処理においてパターンを学習し、消し込み処理を自動的に行う」ものだと説明した。完全にマッチしなかったものについても、照合の可能性が高いものをマシンラーニングが提案する。

「SAP Cash Application」のマシンラーニング機能により、大量の消し込み処理を自動化できる

 SAP Cash Applicationを導入したスイスのエネルギー企業、ALPIQでは、消し込み作業の92%を自動化できたという。同アプリケーションでは今後、買掛金の領域などにも自動化の対応範囲を拡大していく。

 また、横浜F・マリノスやAudiが、試合中継においてスポンサーのロゴマークがどのくらい映像に表示されているのかを算定し、スポンサードの効果を算定しているというマシンラーニングの事例も紹介された。またスワロフスキーでは、製品修理を受け付けるリペアセンターにおいて、持ち込まれた製品の撮影画像をマシンラーニングに基づき製品カタログと自動照合することで、短時間で修理に必要な日数や費用を算出しているという。これまでは人手でカタログを参照しており、時間がかかっていた。

Audiでは、レース映像から各スポンサーロゴの表示時間を自動的に算定、スポンサード効果を測るためにマシンラーニングを活用
スワロフスキーでは、修理に持ち込まれた製品の撮影画像からカタログを検索するアプリケーションでマシンラーニングを活用

 現在、SAP Leonardoのマシンラーニング機能は、各種ビジネスシナリオに基づく「テキスト」「画像/動画」「スピーチと音声」「表形式のデータ」4カテゴリーの事前定義サービスとしてAPIが提供されている。

「SAP API Business Hub」で提供されているLeonardoのマシンラーニング機能

 松舘氏は、SAP ERPに蓄積された膨大なデータが、そのままマシンラーニングの学習に利用できる点が強みだと説明し、今後は「インテリジェントエンタープライズ」にも取り組んで行くと語った。

 「たとえば、食品の生産工程における材料の投入量。現在は手書きで投入量を記しておき、製造作業が終わった後に人手でERPにデータ登録する企業が多い。マシンラーニングを活用すれば、投入時のカメラ映像に基づいて、どのくらいの材料を投入したのかというデータを自動入力できるようになる。つまり、現場とERPをつなぐためにマシンラーニングが活用できる」(松舘氏)

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