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KTUの自作キーボー道 第3回

オープンソース系自作キーボード「Iris」のビルドに挑戦

2018年03月14日 12時00分更新

文● 加藤勝明 編集●北村/ASCII編集部

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Step 4 Pro Micro用のピンヘッダーを固定する

 キースイッチを固定して即基板にハンダ付けするのは、この手のキーボード(Let's SplitやNyquistなども含む)自作における最大の落とし穴だ。キースイッチをハンダ付けする前に、Pro Microを固定するためのピンヘッダー(Pro Microに同梱)を固定する必要がある。

 ピンヘッダーのような背の高いパーツを固定する際は、基板から浮いた状態で固定するのは好ましくない。ピンヘッダーの黒いプラスチック部分をぴったりと基板に密着させた状態で固定しよう。

 浮いてしまうとケーブルの着脱に支障が出たり、ケース(サンドイッチプレート)の固定に使うスペーサーの長さが足らなくなるからだ。

次の作業のために一度基板とプレートを合体させる(注意:この段階では絶対にはんだ付けしないこと!)。写真のようにダイオードが実装された面を表にしてしっかり奥まで押し込む

リセットスイッチ脇にあるPro Microのパターン内部にあるキースイッチ2個に注目。キースイッチのピンがスルーホールから頭を出しているはずだが、これをニッパーで短くカットしておく。この作業が終わったら基板をプレートから引き剥がす

Pro Microに付属しているピンヘッダー2つを基板に差し込み(長い方が基板側の方がいい)、その上からPro Microを置いてからテープで固定する(押しても抜けない程度の粘着力が欲しいところ)。この段階のPro Microはピンヘッダーがナナメにヨレてしまわないよう、ガイドとして使っている

そのまま基板を裏返してピンヘッダーのピン24本をはんだ付け。最初に4スミにはんだを入れ、固定されたところでPro Microを外して残りを片付ける。余ったピンは短くカットしてしまおう

Step 5 スイッチ&Pro Microのはんだ付け

 ここまで来たら先にスイッチ、最後にPro Microをはんだ付けすればコアな作業は終了。先にPro Microをはんだ付けすると、Pro Microに隠れるスイッチがはんだ付けできなくなるので、作業の順番は厳格に守ること。もし間違えた場合は最悪Pro Microを破壊して新しいものを付け直す必要がある。

再度プレートと基板を合体させる。すべてのキースイッチから生えている2本のピンが、全て基板のスルーホールから見えているか、折れているものはないかなどを確認しよう。基板とキースイッチ底部が密着するようしっかりと押し込む

 細かい話になるが、この作業ではプレート〜Pro Micro間の距離をなるべく抑えることが重要になる。Iris(Let's Splitなども含む)ではメインの基板の下にPro Microを固定するが、2枚のプレートを固定するスペーサーの長さがこの距離で変わるためだ。

 はんだ作業に慣れていないと中途半端に浮きあがって固定してしまうことがあるが、浮きがあるとスペーサーの長さが足りなくなる。しっかり押さえつけつつ、かつ基板側の端子にギリギリ接触しないラインを見極めて固定しよう。このあたりのアナログな作業がオープンソース系キーボードのおもしろさでもあり、難所でもある。

 さらにPro MicroはマイクロUSBコネクターを備えているが、このコネクターの強度はそれほど高くないのではんだ付け前にひと仕事加えておきたい。そのあたりの情報も含め、少々寄り道しながら解説することにする。

キースイッチのピンをはんだ付け。スルーホールは大小あるが、大きい方の穴すべてをはんだで埋める必要はない。写真のように壁3方とスイッチがはんだで一体化していればOK

ピンヘッダー内側にあるキースイッチの端子はPro Microが接触しても通電しないよう、テープで絶縁しておくと安心

ここでPro Microの向きをチェックする。基板のシルク印刷にある「TX0」とPro MicroのTX0を合わせるように置くのが正解だ。基板の左と右では「TX0」の位置が違うため、Pro Microの向きも変わる

 Pro Microを固定する前にPro Microのコネクターを補強しよう。前述の通りPro MicroのUSBコネクターは案外もろく、ケーブルの着脱が荒いとポロッともげてしまう。

 こうなるとPro Microを基板から外して交換する必要があるが、24本のピンのはんだを除去するのはかなりの手間だ。そこで、Pro Microを取り付ける前にマイクロUSBコネクターの根元を強力なエポキシ接着剤で固める。こうすることでかなりの強度アップが期待できるだろう。

 2液を混合して使うエポキシ接着剤は完全硬化にたっぷり24時間はかかるが、その分強度が期待できる。接着剤がコネクター内部に入らないのはもちろんだが、コネクター上部に盛り上げてしまわないよう注意して作業しよう。

Pro Microのコネクターの根元にエポキシ接着剤を持って強度を稼ぐ。コネクターの側面に穴が空いているので、そこから接着剤が侵入しないよう注意

Pro Microを接続するマイクロUSBケーブルをマグネット化するのも有効な手だ。こうすればPro Microのコネクターに極力負担をかけずに運用できる。スマホ用マグネットケーブルで良いが、データ通信対応であることは必ず確認しておきたい

Iris自作に必要なスペーサーの高さはPro Microを固定するピンヘッダーの設計で微妙に変化する。デフォルトのピンヘッダーを使う場合、黒い部分が2.5mm程度、この上にPro Microを設置するとキースイッチをホールドするプレートの裏から最大11.5mm程度の高さになる。つまりスペーサーは12mmあればよい(ケースが1.5mm厚ステンレスプレートの場合)

ピンヘッダーをロープロファイルなものに交換、あるいはダイオードの足を利用して最短距離で配線すれば、10.5mm程度まで狭めることができる(これ以上は無理)。写真はヒロスギネットで購入できる超ロープロファイルピンヘッダ「PSS-40153-12」を使った場合。これだと11mmスペーサーでOKだ

Pro Microをソケット化すると万が一の破損でも簡単に交換できる。だがスペーサーの長さは最低15mmになるため、キーボードとしては若干使いにくくなる。図はヒロスギネットで購入できる「FSS-40135-12」と「PSS-40153-12」を組み合わせた場合

Pro Microの向きを間違えないようにはんだ付けする。とりあえずこれでキーボードのコア部分は完成だ

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