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任天堂スイッチ大ヒットが玩具クリスマス商戦の逆風になる理由

2017年12月05日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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クリスマス商戦を目前にしてなお、スイッチは品薄だ Photo by Wakako Otsubo

 街中には、イルミネーションが点灯され、クリスマス商戦が本格化する。玩具業界では、クリスマスと年末年始で年間売上高の4割を稼ぎ出すといわれている。

 今年の商戦はどうなるのか。その試金石として注目されているのが、「ニンテンドー3DS」向けの新作ゲームソフト、「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」。ゲーム専門誌「ファミ通」の調べでは、発売から3日間で120万本を売り上げたという。発売直後の動きとしては大型タイトルに匹敵する。ポケモンシリーズは小中学生男子に人気の高いゲームソフトだけに、「クリスマスギフトとして、売り上げはさらに加速する」(量販店の売り場担当者)と流通業界からの期待も大きい。

 ゲーム業界では、今年3月に発売された「ニンテンドースイッチ」が大ヒットし、据え置き型の「プレイステーション(PS)4」も好調だ。3DSソフトでもポケモンなどがヒットしており、商戦は盛り上がりつつある。

スイッチの品切れが試練

 にもかかわらず、ある玩具専門店の役員は浮かぬ顔だ。「お客は、玩具専門店なら何でもそろうはずと期待して来店するのだが、ニンテンドースイッチを置いていなかったら、店のイメージダウンにつながるかもしれない」と嘆く。

 任天堂はスイッチの増産を公表しているが、品薄状態は続いている。都内の量販店でも「品切れ」を余儀なくされている店が多い。

「任天堂さんとしては、自社サイトに優先して商品供給するから、玩具店にまで手が回らないだろう」(玩具店)とみられている。自社サイトのマイニンテンドーストアですら12月26日まで予約できない状況だ。子供を喜ばせたい親を当て込み、オークションサイトで高値で販売するケースもあり、この混乱はしばらく続きそうだ。

 玩具の流通は、3カ月前発注が業界の慣習となっている。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で人気に火が付くことが多い中、市場動向に合わせた機動的な品ぞろえがしにくい構造になっている。また新製品であっても人気がなくなればすぐにオンラインで値引き販売されてしまうため、玩具店にしてみれば、価格競争は激化する一方だ。

 さらに頭が痛いのは、消費者の購入行動が変わってきたことだ。「ガンプラ(ガンダムのプラモデル)などのクリスマスギフトを、量販店のポイントを使ったり、ウェブで価格を比較したりして購入する親が多い」(前出の玩具店)との声も聞かれる。

 玩具業界には、「仮面ライダー変身ベルト」(バンダイ)や「うまれて!ウーモ」(タカラトミー)、藤井聡太四段にあやかった将棋ゲームなど、期待が大きい商品もある。スイッチに振り回されるのか否か、クリスマス商戦で生き残り戦略が問われている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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