このページの本文へ

緊急避妊薬のOTC化、圧倒的世論を受けてもやはり不可

2017年11月16日 11時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 性交から72時間以内に飲むことで妊娠を回避でき得ることから“アフターピル”とも呼ばれている「緊急避妊薬」。OTC(大衆薬)化の可否判断は、賛成大多数のパブリックコメントを受けても、やはり「不可」だった。

 15日に厚生労働省で開かれた「第3回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」。現在医療用として流通する医薬品のOTCへの転用可否を検討する会議だ。OTCへ転用されれば、医師の処方箋が不要となり、薬局などで購入可能となる。

 可否を判断する会議メンバー16人のほとんどは医師か薬剤師。7月の第2回会議で緊急避妊薬のOTC化案は反対意見多数だった。

 この時に上がった意見としては、「医師による性教育の機会が失われる(日本医師会)」「薬剤師が説明できるとは思えない(産婦人科医)」「将来的にインターネット販売可なので難しい(日本薬剤師会)」など。その結果、「時期尚早で否」(座長)の結論ありきという、異例のパブリックコメントが募集されることとなった。

 否ありきの姿勢に、ドラッグストアの業界団体や一部薬剤師らが反発。一部の産婦人科医からも、「緊急避妊薬は早ければ早いほど効果があるのに、休日で病院が閉まっていたらどうするのか。避妊という女性の権利を守る視点が無い」と疑問の声が上がっていた。

 緊急避妊薬に関するパブリックコメントは9月11日から1ヵ月間受け付けられ、全部で348件。賛成が320件、反対はわずか28件だった。パブコメを募集した他の医薬品(成分)に対してはいずれも数件の意見だったことからも、緊急避妊薬に対する世間の関心の高さがうかがえた。賛成意見は「女性の権利」「来院はハードルが高い」「海外では購入できるのにおかしい」——など。反対意見は「薬剤師の知識が不十分」「生命軽視につながる」——などだった。

 条件付きでOTC化賛成派の産婦人科医、北村邦夫・日本家族計画協会クリニック所長(非会議メンバー)は本誌の取材に、「パブリックコメントの募集は形式でしかないのか」と疑問を呈し、「今後この国民の声をどう反映するかは国の責任」と話す。

 2016年から始まったこの会議はそもそも、国による「セルフメディケーション推進」の御旗の下、OTC化を促進するためにできたもの。高騰する医療費抑制の一助とする使命も帯びていた。一方、市場規模が伸び悩んでいるOTCメーカーからすれば「市場規模拡大の一手」(某メーカー首脳)と期待されていた。

 しかし、緊急避妊薬はパブコメを受けても結論は不変。この日の会議のもう一つの目玉、片頭痛薬(5成分)のOTC化案も「不可」となった。

 会議開催はまだ3回だが、今後の「OTC化の促進」は、早くも暗雲が立ち込めている。

(週刊ダイヤモンド編集部・土本匡孝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

ピックアップ