このページの本文へ

軽トラ+98万円のキャンピングカー、安くて高性能で大人気

2017年11月02日 06時00分更新

文● 吉田由紀子(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

キャンピングカーブームで
軽トラが人気を誇るのはなぜか

 いま、キャンピングカーがブームになっている。日本RV協会が発行する「キャンピングカー白書」によると、現在、国内のキャンピングカー総保有台数は約9万5100台。主なユーザーは、子育てが一段落した50~60代のシニア層である。

この秋、軽トラキャンピングカーを購入した大阪の安井さん夫妻。思い出の地めぐりを楽しみにしているという

 中でも、爆発的に売れている車種がある。それは、軽トラックを利用したキャンピングカーだ。軽トラを改造し、居住空間を作ってキャンピングカーに仕立てたものである。

 大阪・富田林市の安田さん夫妻は、夫の定年退職を機に軽トラキャンピングカーを購入。若いころに行った思い出の場所や、西国三十三ヵ所めぐりを楽しみにしている。夫婦で楽しむきっかけになればと、退職金などを利用して購入した。

 軽トラを使うメリットは大きい。まずは費用が安いこと。通常のキャンピングカーは、安いもので450万円、平均700万円が相場だが、軽トラなら新車でも70~100万円。中古になると10万円前後からある。それを自分で改造すれば、格安でキャンピングカーを持つことができる。

 軽自動車なので当然燃費は良く、自動車税も安い。小回りがきくので、大型のキャンピングカーでは行けない山道や荒れ地でも運転が可能だ。ここ数年、軽トラの性能は格段に向上しており、AT車でも相当な馬力が出るようになっている。

 そんなブームを受けて今年3月、日本初の軽トラキャンピングシェル(シェルとは居住スペースのこと)専門店も登場している。神戸市にあるトラベルハウスへ取材に出かけた。

 さっそく軽トラキャンピングカーの現物を見せてもらった。ごく普通の軽トラに、シェルを乗せて固定するスタイルだ。驚いたのは内部の広さ。高さは1m73cmあり、車内で立つことができる。奥行2m98cm、幅1m25cm。軽トラとは思えないほど広々としている。

 4人まで寝ることができるので、家族のキャンプにも活用できる。電気のコンセントは3つあり、100ボルトが使用できる。照明はもちろん、電子レンジやドライヤーも使える。外部にもコンセントがついており、野外の照明もバッチリだ。オプションでシェルに専用タンクを付ければ、40Lの水を運ぶことも可能。運転席との間にガラス窓を付けることもでき、窓を開ければ車のエアコンを利用できる。

注文殺到で3ヵ月待ち!
シェルを庭に置く使い方もアリ

 シェルは簡単に脱着することができ、ホームセンターに売っている簡単な工具があれば、初心者で30分、慣れれば10分でできる。

 気になる値段は、98万円。この安さも手伝って、今年3月の開店から半年間で72台の受注があった。すべて手作りなので生産が追いつかず、現在3ヵ月待ちの状態である。

 「軽トラは本当にしっかり作られています。きちんとメンテナンスすれば、40万kmだって走れますよ。日本の自動車出荷台数は、ここ数年、減少傾向にありますが、唯一伸びているのが軽トラ。毎年10%の割合で販売台数が増えています。その背景には、AT車の性能が向上し、初心者でも運転しやすくなったことがあります」と説明してくれたのは、トラベルハウスを運営するJUSETZマーケィング株式会社の武智剛さん。

 「うちの製品は“旅する家”なんです。だから居心地には気を配っています。通常、車には断熱材が使用できないのですが、家というカテゴリーなので断熱材が使えます。そのため保温性に富んでおり、夏は涼しく、冬は暖かい。遮音性も高いので、サービスエリアの駐車場で仮眠する場合でも、外部の音はほとんど聞こえません。静かですよ」(武智さん、以下同)

 道路運送車両法によって、軽トラに搭載できるのは350kg未満のものと定められている。耐久性を追求しながらも、いかに軽く、安くするか苦心したという。

 電気や水が使えて独立した家なので、災害時の仮設住宅としても使える。たとえば、救援物資を乗せて被災地へ運び、シェルを取り外して、防災シェルターとして使ってもらい、軽トラは瓦礫や木材の除去、水や食料の運搬に活用する、といった使い方だ。

 「開店当初は50~60代のシニア層のお客さんが多かったのですが、最近は若い人たちも増えています。彼らはキャンプにも使いますが、自宅の庭に置いて自分の部屋としてリラックスしたり、オフィスとして使ったりするそうです」

キャンピングシェルの
自作講座も開催

下着の訪問販売を行っている岡山県の槌木さん。シェルを試着室に使っており、お客さんから好評を得ている

 仕事に使っているユーザーもいる。下着の訪問販売を行う岡山県の槌木さんは、お客さんの家に出向いて下着を試着してもらうのに、軽トラキャンピングカーを活用している。人が立てる高さなので、試着室代わりに役立っており、好評を得ている。

 こんなふうに、仕事や趣味に多彩な使い方を求めるユーザーも多いので、様々なリクエストが届いている。例えば、ピザの移動販売店からは、ボディの側面を開閉できるようにして、そのままキッチンカーとして使いたいというリクエスト。釣りが趣味のユーザーは、釣った直後に調理をしたいので、キッチンを付けてほしいという声もある。

「半年で3000件もの問い合わせをいただいているんですが、その中でダントツに多いのが、自分で作ってみたいという声です。それで、うちの職人と一緒に軽トラキャンピングカーを作る講座も始めました」

 10月からは、「一緒にトラベルハウスを作ろう!」と題した製作体験会も開催している。プロの職人の手ほどきを受けて、自分好みのキャンピングカーを作りあげる講座で、こちらも人気を集めている。

 シェルを購入するもよし、自分で作ってみるのもよし。便利で低コスト、機能性にも優れた軽トラキャンピングカーで、秋の野山を満喫してみてはいかがだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

QDレーザー販促企画バナー

ピックアップ