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新TDC2はクラウド事業者向け、ハイパースケールにも対応

Coltの「新東京データセンター2」が完成、千葉県印西市まで見学に行ってきた

2017年10月30日 11時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 ColtグループのDCS(データセンターサービス)事業会社であるColtデータセンターサービスは10月25日、日本で5つ目にあたる「新東京データセンター2(新TDC2)」が完成し、正式に運営を開始したことを発表。同日、TDC2の内部を報道陣に公開した。

新東京データセンター2の外観

 Coltグループは、自社のファイバー網とデータセンターを中心にしたサービスを手掛ける。世界28カ国200都市を接続する海底ケーブルとローカルネットワーク、東京・大阪・名古屋を含む世界50都市に敷設したメトロ・ネットワークを自社で所有しているほか、ヨーロッパとAPACの29拠点で自社データセンターを運営している。

 29拠点のデータセンターは、Coltの自社ネットワークによって800以上の他社データセンター、2万4500棟以上の商業ビル、AWS/Azureなどのパブリッククラウドサービスと接続されている。一方で、Coltデータセンターは「完全なキャリアニュートラル」をうたっており、顧客がデータセンター内に引き込める回線提供事業者、ISPに制約はない。

 国内では、東京都の塩浜にマルチテナント型データセンター「TDC1」、東京都の大手町にCDN用途のデータセンター「TODC」、千葉県印西市の高密度・大規模データセンター「TDC2」、大阪のコロケーションデータセンターを構える。今回新たに、千葉県印西市のTDC2と同じ敷地内に5番目のデータセンター「新TDC2」が完成した。

新データセンターはクラウドサービス事業者向け

 同社が2008年に取得した印西市の敷地は、活断層がない強固な地盤の上にあり、津波のリスクも低い。東京都心と異なる地盤プレート上にあるため、東京と同時に地震で被災する可能性が低いながらも、東京駅から40分、成田空港から25分というアクセスの良さだ。

 この敷地の2つ目のデータセンターとして建築された新TDC2は、7階建ての建屋に、オフィススペースと、500平方メートルのデータホールが10カ所設けられている(総データホール面積5000平方メートル)。

新TDC2のデータホール

 新TDC2の位置づけについて、Coltデータセンターサービス バイス・プレジデントのクィー・グエン氏は、次のように説明した。「塩浜のTDC1は金融機関向けのデータセンター、印西市のTDC2はTDC1のDR(ディザスターリカバリー)拠点として建設した。今回TDC2と同じ印西市の敷地内に新設した新TDC2は、金融ではなく、大規模なクラウドサービスベンダー向けのデータセンターである」。

 大規模クラウドサービスベンダーのデータセンターへのニーズは、低コストと高集積だ。クィー氏によれば、データセンター利用料を抑えて少しでもサービスのコスト競争力を高めたいクラウドベンダーのために、新TDC2は、建築コストを他データセンターより3割削減しているという。

Coltデータセンターサービス バイス・プレジデントのクィー・グエン氏

 また、高密度なIT機器実装と大量の電力が必要な大規模クラウドサービスを支えるため、新TDC2は、66kVの特別高圧電源をクローズドループ方式で東京電力から2系統で受電し、1平方メートル当たり3000Wの電力を供給する(総IT電力量15メガW)。「塩浜のデータセンターの電力供給量は1平方メートルあたり700W。新TDC2は塩浜の4倍以上の集積が可能になっている」(クィー氏)。

特別高圧電源装置室

 データホールの床は、ラックの幅に合わせて1データホールあたり16列のピッチが掘ってある。1列あたり12ラックが設置できるので、1データホールあたり約200ラックが入る仕様だ。床の耐荷重量は1平方メートルあたり125トンで、かなり高密度なIT機器実装に耐え得る。

 データホールの片側に隣接して空調機械室がある。1データホールにつき13台の冷却装置が設置されており、データホールの片側壁面からサーバーラックの列と並行の向きに冷風が吹き込む(壁横吹出し空調)。この壁横吹出し空調と、ホットアイルキャッピング方式空調を組み合わせて、サーバーからの排熱を効率よく冷却している。冷却は、水を使わない冷媒方式を採用しているそうだ。

1データホールあたり16列のピッチが掘ってある。ラックの列と並行の向きに片側壁面から冷風が吹き込む。

 クラウドベンダー向けデータセンターとしてのColtの強みについて、クィー氏は、「Coltのデータセンターは、パブリッククラウドのハイパースケールデータセンターとして利用されている実績がある。各種認証も持っている。SLAや運用について、顧客のニーズに応じて柔軟に対応できるのも強み」と答えた。

 尚、同社は印西市の敷地内に3棟目のデータセンターを建設する計画を進めている。3棟目は、総データホール面積9000平方メートル、総IT電力量27メガWとより大規模なデータセンターになる予定だ。2018年に建設を開始し、2020年第1四半期の稼働を予定する。

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