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コンビニ商品のドローン配送が実現…楽天・ローソンが実験開始

2017年10月11日 07時14分更新

記事提供:通販通信

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物流の未来の形であるドローン配送の実現が、一挙に近づいてきた──。楽天(株)と(株)ローソンは6日、コンビニエンスストア「ローソン南相馬小高店」(福島県南相馬市)の商品を、楽天のドローンで配送する実験を31日から開始すると発表した。楽天はこれまでゴルフ場や地方自治体と、ドローン配送の実証実験を進めてきたが、ドローンによる商品の配送は初となり、ドローン配送のサービス実現化に向けた第一歩を踏み出した。

(左)楽天・三木谷浩史社長兼会長、(中)南相馬市・桜井勝延市長、(右)ローソン・竹増貞信社長

三木谷氏「海のドローン、超小型自動運転車などにも取り組む」

 今回の取り組みは、移動販売車で商品を販売するローソンの移動販売と、ドローン配送を連携させたもの。ドローンで運ぶ商品は、唐揚げ5個をセットにした「からあげクン」など、移動販売車両で運ぶことができない温度帯の食品や、文具など移動販売車両で販売していない商品となる。移動販売車の利用者から注文を受けてから、南相馬小高店に注文を電話で連絡し、南相馬小高店から商品を運ぶ。実験では、南相馬小高店から約2.7km離れた小谷集落センターまで、ドローンが注文商品を約7分で届ける。1度に運べる商品は2kgまでで、実験ではドローン2台が稼働する予定。試験運用を半年間実施し、検証した結果を受け、サービスの継続を検討する。移動販売は週2回行われ、このうち1回でドローン配送を組み合わせる。安全性を優先するため、気象状況によって運行しない場合もある。

 楽天の三木谷浩史社長兼会長は6日の記者会見で「特に過疎地域や山間部、離島などは、人間が物を届けるとコストが合わないという現状があり、ドローンは今後ますます発展していくだろう。ただ、ドローンには重量制限など、規制が多く、今後解決していかないといけない。空を飛ぶドローン以外でも、例えば、海のドローン、道を走る超小型の自動運転車などにも取り組んでいきたい。今回の取り組みは、ドローン配送の社会実装に向けた大きな一歩であると思っている」と実験の意義を強調した。

「楽天ドローン」専用のドローン「空楽」

移動販売+ドローンで買い物弱者を救済

 実験の舞台となる南相馬市小高区は、東日本大震災の影響で1万4000人が避難し、2016年7月に避難指示区域の指定が解除されたが、帰還住民は2500人あまりだった。地域では高齢化も進み、買い物弱者が増えていることが深刻な問題になっていた。南相馬小高店は、10月にオープンし、地域生活を支えてきた。

 ローソンは2013年から移動販売を開始し、地方の中山間地域などを対象に約80店舗で実施している。楽天は2月に南相馬市とドローンを活用した新物流システムの構築二関する協定を締結し、実証実験を行っていた。ドローン開発を促進したい楽天と、ドローンを活用した移動販売サービスと移動販売事業を拡大したいローソンが組み、南相馬市の買い物弱者救済、住民のコミュニティ創出につなげる。

 ローソンの竹増貞信社長は「地域の暮らしをサポートしたい。利益が目的ではなく、実施する意義がある」とコメントした。

ローソンの移動販売車両

(山本 剛資)

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