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柳谷智宣のkintoneマスターへの道 第23回

kintoneの導入相談カフェで根掘り葉掘り質問してみる

2017年10月05日 11時00分更新

文● 柳谷智宣

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サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。
本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第23回では、kintoneの導入相談カフェで根掘り葉掘り質問してみる。

 サイボウズは、kintoneの導入を検討している人向けに、東京と大阪で「kintone導入相談カフェ」を開いている。無料ではあるが、事前予約制で時間は90分と本格的。

 試しに行って話を聞いてみたいと思ったら、すでにkintoneを契約しているユーザーはNGとのこと。そこで、筆者の経営する飲食店で導入する、という切り口で申し込んでみた。もちろん、とってつけた言い訳ではなく、5店舗目の海外進出タイミングで本当に導入することが決まっているからだ。

 まずは、ウェブから申し込み。会社や名前、電話番号、メールアドレスに加え、従業員数、利用人数、求める機能などを記載し、参加希望日時を指定する。日時は第1希望と第2希望まで設定できる。すると、日程調整し、メールが送られてくる。

「kintone導入相談カフェ」のウェブページ

まずは予約する

会社や自分の情報を入力

希望日時と人数などを入力

内容を確認したら送信する

送信完了。2営業日以内に返信がある

 今回は、第1希望の9月25日の10時から予約ができた。決定した日時のメールにサイボウズがある東京日本橋タワーへの入館方法が記載されている。アポがあるからいいだろうと突撃すると、筆者のように入り口でうろうろし、QRコードを読み込まさなければならないゲートにバーコードをかざして、ほかの人の邪魔になってしまうので注意すること。

 まずは、入り口フロアの窓際にある端末で受付を行ない、エントリーするための紙をゲットしなければならないのだ。受付には、サイボウズからのメールではなく、別途送られてくる「東京日本橋タワーからのお知らせ」というメールに記載されているバーコードが必要になる。あらかじめ印刷しておくか、スマホでメールを表示できるようにしておこう。入館証をゲットしたら、ゲートのセンサーにQRコードをかざすと入館できる。そのままエレベーターで27階に上がる。すると、すごいおしゃれなエントランスなので目を引かれることだろう。左手に受付端末があるので、「導入相談Cafeご来店」をタップして受付する。

日時が確定。入館方法をチェックしておこう

東京日本橋タワーの入り口で入館手続きを行なう

発券された紙のQRコードで入館する

サイボウズのエントランス

端末から「導入相談Cafeご来店」をタップ

 すると、カスタマー本部ダイレクトマーケティング部の橋本かおりさんと梅野元樹さんが登場。お二人で相談に乗ってもらえるとのこと。このフロアには導入相談Cafeで利用できるスペースが3ヵ所あるが、本日は窓際で眺望のよいSORAに案内された。その際、自動販売機で好きなドリンクをもらえた。

入り口にある自動販売機はなんと無料。奥も導入相談Cafeの「TORI」

当日は「SORA」で相談に乗ってもらった

カスタマー本部ダイレクトマーケティング部の橋本かおりさんと梅野元樹さん

 早速、わがまま三昧の相談をさせていただく。筆者が経営している飲食店は、五反田に2店舗、赤坂見附、銀座にあり、年内にはモンゴルのウランバートルに5店舗目を出店する予定。この拠点の情報をシームレスにペーパーレスに共有管理したい。現在は、「サイボウズLive」というグループウェアを使っているのだが、無料なだけにできることがシンプルなのだ。

 お金が厳しいので5拠点で5アカウント運用したいと質問すると、「あり」とのこと。当然、従業員ごとの使い分けという点では格段に面倒になるが、まずはアカウント数を減らせるのはありがたいところ。ただ、実際はケースバイケースで、「実際は安心に利用いただきたい観点から、1ユーザー1アカウントでの契約をお願いしたい」「ランニングコストが障壁の場合は、まずは主要なメンバーで定着に向けてスモールスタートしていくのもあり」「店舗単位での利用希望など要望は相談できる場合がある」などのアドバイスをいただいた。

 kintoneで実現したいのは、ペーパーレス化によるドキュメントの管理、店舗ごとのシフト管理、従業員の勤怠管理、顧客名簿管理、日報、顧客アンケートの6つ。

しっかりと話を聞いてくれて、何を聞いても即答してくれるのが頼もしい

 日報は、売上金額や担当者、来客数、特記事項などで、可能とのこと。アカウントとは別にスタッフのマスターを作り、入力時に選択すればよさそう。金額もリアルタイムでグラフ化できるし、データが蓄積すれば経営判断にも利用できそうだ。

 顧客名簿管理も問題なさそう。アプリの設計はもちろんできるし、そもそも「顧客リスト」や「美容室顧客管理」「建設業顧客管理」といったアプリも用意されている。知りたかったのはセキュリティー。アカウントさえきちんと管理すれば、顧客情報が守られるかどうかという点だった。回答はもちろん問題なし。サイボウズでさえ、ユーザーのデータを直接覗くことはできない設計になっているという。

 顧客アンケートは、サイボウズスタートアップス株式会社が提供している「フォームブリッジ」という連携サービスを利用すれば実現できるとのこと。

 次は、ドキュメント管理。飲食店なのでそこまで書類は多くないのだが、インターネット回線の契約書や備品の保証書などが必要な時に見つからない、ということがよくあるので電子化しておきたい。また、新商品が入荷したり、面白いメニューが開発できたときに写真を撮って保管しておきたいということもある。

 管理アプリを作って、ファイルをアップロードできるようにすればいいだけなのだが、その際ファイサイズを自動でコンパクトにしたいのだ。kintoneは5GB×ユーザー数という容量を利用できるし、追加も可能なのだが、アップロードするファイルサイズはコンパクトにするに越したことはない。しかし、ユーザー側にリサイズを強要するのも無理がある。

 回答は標準機能では無理とのこと。JavaScriptで作れば可能だが、そのようなプラグインも今はないという。誰かに作ってもらうしかないか。

わかりやすく丁寧に教えてくれる

 最後に、勤怠管理とシフト管理。飲食店なので各店舗ごとに出勤する人と時間を管理し、現場でもタイムカードによる打刻が必要になるのだ。kintoneアプリストアには「タイムカード」アプリがあるので使ってみたのだが、自分で入力する自己申告制でちょっと飲食店には利用できない。一般的なタイムカードのようなアプリが欲しいと伝えると、ないという。機能的にはシンプルなのでJavaScryptで作ることはできそう。ちなみに、サイボウズでは、この「タイムカードアプリ」をカスタマイズして勤怠管理に使っているそう。さすがだ。

 またシフト管理も問題あり。カレンダー形式で情報を表示することができるのだが、表示できる情報が2種類、件数は3件以上はまるまってしまうという。つまり、「出勤18時 退勤22時 柳谷」とは表示できず、3人以上の出勤だと2名分だけ表示されてそれ以上が「その他2件」のようになってしまう。会話だけでは理解できず、ディスプレーに実際に表示してもらって納得した。これは設定ではどうしようもなく、JavaScriptで作らなければならないようだ。

壁のディスプレーにkintoneを表示させて実際に動作を見せてくれる

 90分、高速で質問しっぱなしで、できることできないことが整理されすっきり。どちらにせよ導入するつもりではあるので、参考になった。

 導入相談Cafeは、できないことはできないときっぱり言ってくれるので、こちらとしても判断しやすいのが○。kintoneを契約していないユーザーはぜひ相談に行くことをお勧めする。

いろいろな資料も用意されており、検討しやすい

帰りにノベルティーのお土産をもらってしまった

最後に、このCafeのアンケートに回答する。もちろん、大満足

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