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みずほ銀がAirbnbと連携し空き社宅を民泊化する真の狙い

2017年07月31日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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7月25日に業務提携を結んだ、山田大介・みずほ銀行常務(写真左)と田邉泰之・Airbnb日本法人代表(右)

 7月25日、みずほ銀行が全世界で民泊仲介サービスを提供するAirbnb(エアビーアンドビー)と業務提携を結んだ。

 民泊とは、一般の民家に宿泊することを意味するが、近年、民家やマンションの空き部屋を、ホテルや旅館より安い料金で旅行者に貸し出して収益を得るビジネスが、人気を博している。

 民泊事業を牽引する存在が、最大規模の民泊仲介サイトを提供するAirbnbだ。貸し手が自分の保有する宿泊先をサイト上に掲載し、その中から借り手が希望に沿った宿を選ぶという仕組みで、その取引量が「市場規模の8~9割を占める」(業界関係者)ほど、民泊市場を席巻している。

 今回のみずほ銀行とAirbnbの業務提携では、みずほ銀行が持つ取引先企業のネットワークを活用。社宅の空き部屋を抱える企業に対して、Airbnbに登録して民泊の宿泊先として利用するよう提案を始める。銀行としては、施設のリノベーション費用の融資によって利益を得る考えだ。

 社宅以外にも、寺や無人駅の駅舎といった、活用されていない資産を宿泊先に作り変えることも検討している。防犯対策が難しい空き家を減らしつつ、宿泊施設の増加によって、地域の観光産業を拡大させることが狙いだ。

Airbnbとの業務提携の先にある二つの狙い

「住宅のリノベーション資金だけで大きなビジネスになるとは思っていない――」

 山田大介・みずほ銀行常務執行役員がこう述べるように、みずほ銀行はこの提携によって二つの波及効果が起きることを期待している。

 一つ目が、銀行の顧客ネットワークのさらなる開拓だ。

 取引先の企業に対して、民泊という新たな成長分野を提案することで、それを足がかりにビジネスの機会を「重層的に伸ばしていく」(山田氏)ことを目指す。

 二つ目が、民泊以外のサービスを提供するスタートアップ企業(新しいビジネスモデルを提供する新規企業)とのさらなる連携だ。

 今回の提携には、6月30日にみずほ銀行がベンチャー投資会社のWiLと設立した新会社のBlue Labも参画する。

 もともとBlue Labは、先端IT技術を駆使して異業種との間に新事業を作ることを目的に設立され、前出の山田氏が社長を務める。民泊に付随する新事業の創出のために、第1号の業務提携契約を結んだ。

 今回の業務提携で一定の効果が出れば、それが“呼び水”として、「民泊の次のアイデアを持った企業がBlue Labに集まってくる」(山田氏)という可能性を期待しており、そこから新しい事業領域に進出する考えだ。

銀行の“外”だからこそ成立した業務提携

 実は、このBlue Labこそ、みずほ銀行とAirbnbを結びつけた存在であった。

 Airbnbが日本の銀行と連携するのは初めてであり、連携に踏み切った背景に「みずほ銀行の客基盤の広さに加えて、Blue Labの先進的な取り組みを評価した」(田邉泰之・Airbnb日本法人代表)という事情がある。

 一方のみずほ銀行にとっても、Blue Labは提携に必要不可欠な存在だったと見られる。

 そもそもBlue Labは、みずほ銀行の持ち株会社であるみずほフィナンシャルグループの出資比率を15%未満に留め、グループ外の企業として打ち出された。

 それゆえ、既存の制約に縛られずに企業と連携することが可能であり、山田氏も「銀行主体で行うと、銀行の取引先にホテルがいるのに民泊を支援してよいのかという意見も出たはず。銀行主体では、これだけ素早く業務提携できなかったのではないか」と果たした役割の大きさを指摘する。

 3社連携の詳細な枠組みはこれから固める予定だが、「(みずほ銀行が取り組む)社宅を含めた空き物件の仲介そのものは、奇抜なスキームではない」(前出の関係者)という意見もあり、この連携が他社にはない相乗効果を生み出せるかは未だ不透明だ。

 銀行の“外”に出たことの意味を示すためにも、成功事例を早急に生み出すことが必要だろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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