渋谷区×BtoCサービス ロッカー難民を助けるecbo cloak
皆さんこんにちは、合同会社pilot boatの納富隼平(のうとみじゅんぺい)です。先月で前職を退職しまして、7月から独立しました。あらためてよろしくお願いします。さて、今回は6月に開催したsproutの様子をお届けしたいと思います。
sproutはBtoCベンチャーだけが登壇するピッチイベントで、筆者も主催者のひとりです。他のピッチイベントではビジネスモデルや市場規模の話も重要ですが、sproutはサービスそのものをユーザーに説明してサービス自体をアピールする、というのが特徴です。
最優秀賞は荷物難民を解決する「ecbo cloak」
この日最優秀賞を獲得したのはecbo cloak(エクボクローク)を展開するecbo。荷物を預けたい人と荷物を預かれる店舗のマッチングサービスです。
渋谷に何個コインロッカーがあるかご存知でしょうか? 答えは1400個。そのうちスーツケースが入るものに限るとわずか90個で、サイズが合わずに入らない可能性だってあります。それ以前にコインロッカーはどこにあるかわからないし、空いてないかもしれない。
そこで登場するのがecbo cloak。カフェや施設などの荷物を預かれるところが、旅行などで使っている大きなスーツケースを預かってくれるサービスです。預かる側の導入コストは無料で、ユーザーはスマホさえあれば利用可能。現在は東京・大阪・福岡でサービス展開しており、カフェのほか、着物屋(外国の方が着物をレンタルすることもあるそうです)やカラオケ、一部のTSUTAYAでも荷物を預かってくれるそうです。
女性とまちの安全を守るお守り防犯アプリ「Moly」
コーデセブンが提供するのはお守り防犯アプリMoly(モリー)。女性が自分で自分の身を守るためのスマホアプリです。
日本全体の犯罪は年々減少しているのですが、女性の犯罪被害は減少していないそうです。被害届がでているだけで年間1万1千件、しかも80%以上は見届けで実際にはこの何倍も被害があるはずとのこと。こんな状況を解決したいと開発されたのがMolyです。
Molyには警察、ネットの情報、ユーザーから投稿された犯罪情報が地図にマッピングされ掲載されています。犯罪があったそばに近づくとMolyからプッシュ通知がきて、ユーザーはそこを回避しよう、となるわけです。
鍵となるのはユーザーの投稿データ。Molyのユーザーが増えれば増えるほど犯罪情報は正確になり、街や市民の安心につながります。海外には治安がよくない場所も多々あり、この手のサービスが珍しくはないのですが、日本にもやっと登場してきてくれました。
世界中の人とセッションを「nana music」
続いて登場したのはnana music。音楽を重ね録りして世界中の人とセッションができるスマホアプリnanaを運営しています。
nanaの魅力ははスマホを使って、合唱やセッションなどをどんどん重ねていき、ひとつの音楽を作ることです。着々とユーザーを伸ばしており、2017年06月には登録ユーザー数は400万人を超えたそうです。ユーザーも日本だけではなく世界各地におり、110カ国以上から投稿されてるんだとか。
2015年からはnanaフェスと名付けたリアルのライブを開催。昨年は1500人があつまる規模のイベントになっているそうで、nanaが単なる音楽アプリではなくひとつのコミュニティー形成をしているところもスゴいです。
まちのファンがつくる自転車おでかけカタログ「FRAME OUT」
遊休スペースを活用した月極め駐車場であるpedalrest(ペダレスト)を運営する自転車創業の次なるサービスとして登場予定なのが「FRAME OUT」(7月末 オープンβ版ローンチ予定)。
FRAME OUTは「まちのファンがつくった 自転車おでかけカタログ」。住人が近所の自転車で行きたくなるようなスポットを投稿する。ユーザーはそれをみて、レンタサイクルなども使いながら色々なところに行ってみる、というサービスです。
国内最大級の自転車メディアを運営していたり、既にある自治体とのネットワークを活かしながらこれからサービス展開を計画しているとのことです。FRAME OUTも既に京急電鉄と組んで三浦半島を題材にクローズドβを運用した実績もあるとのこと。
世界を旅する旅人と仕事を結ぶマッチングサービス「SAGOJO」
SAGOJOは「すごい旅人求人サイト」を謳う、旅人と企業のマッチングサイト。旅人に写真・動画撮影やライティングなどのお仕事を任せられるというサービスです。企業が旅人に仕事を発注し、旅人は旅をしながらそのリクエストに答えてマネタイズをしていきます。
日本だと長期の旅は学生までに済ませておく、といった傾向があるそうですが、欧米ではキャリアを一旦中断して旅をするというのも珍しくないそうです。それも影響してか、SAGOJOユーザーの平均年齢は29歳。30前後でキャリアについて考えている方が多いようです。
仕事の中身は多様化していて、最初は写真・動画撮影が多かったものの、最近ではバイヤー業務や調査業務までどんどん幅広くなっているそうです。今後は企業ニーズにも対応して、物流などの領域に進出することも検討しているそうです。
人工知能+グルメからのリコメンドでお店を検索「ペコッター」
ブライトテーブルが運営するのはグルメQ&Aアプリ「ペコッター」。希望を伝えたらグルメな人からお店を教えてもらえて、予約までとってくれるというサービスです。
例えば「彼女との記念日デートです! 表参道でゆっくりできるところ!」なんて質問を投稿すると、いくつもの回答がすぐに返ってくる、といった感じで使用できます。「せっかくなんで、珍しいもの食べたいです。」なんていうときもあると思いますが、自分で調べるのは大変です。そんなときもペコッターならすぐに簡単にお店を見つけることが可能です。しかも予約までしてくれるという優れもの。15時にランチ食べようとしたら「遅いペコな」何ていう風にコメントしてくれるのもかわいいポイントです。
回答はメカペコ君という、今までの回答を学習した人工知能も回答してくれるようになっています。人工知能なので5秒程度で回答可能で、その回答を確認しているうちに次の回答が届いているというシステムです。便利。
審査員賞もecbo cloak、今後渋谷区との取組みも!?
sproutはユーザーのためのイベントなので普段審査員はいないのですが、今回は渋谷おとなりサンデーというイベントとのコラボ企画だったので、特別に審査員をお招きし渋谷区賞が贈呈されました。こちらも受賞したのはecbo cloak。「たかがコインロッカーと思いそうなものだが、その課題認識がよかった。渋谷は区を挙げてシェアサービスを応援していく」とは澤田渋谷区区長。sproutから渋谷区との提携も出てくるかもしれません!
納富隼平(トーマツベンチャーサポート)
1987年生まれ。2009年明治大学経営学部卒、2011年早稲田大学大学院会計研究科修了。在学中公認会計士試験合格。大手監査法人で大手電機メーカーを中心に会計監査に携わった後、トーマツベンチャーサポート株式会社に参画し、ベンチャー支援に従事。毎週開催ピッチイベントMorning Pitchをはじめ、300超のピッチ・ベンチャーイベントをプロデュース。2017年独立して合同会社pilot boatを設立。現在もBtoCベンチャープレゼンイベント「sprout」、ベンチャーでの働き方イベント「faces」を主催する。得意分野はFashionTechをはじめとするライフスタイル系BtoCサービス。
2016年NHK「日本のジレンマ」出演。
2017年よりASCII STARTUPでBtoCベンチャーのコラムを連載中。
■お知らせ
次回のsproutは2017年8月3日(水)の予定です。気になる方はsproutのFacebookページにいいね!をしていただければ通知がいきます。それでは次回は会場でお会いしましょう!