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東北と熊本の起業家交流からはじまる、復興を超えた地方創生

連載
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 こんにちは、一般社団法人MAKOTOの竹井です。熊本地震から約1年が経過した4月中旬、私たちは熊本の起業家と東北の起業家を結ぶ『熊本・東北の復興リーダー交流プログラム』を開催し、共に熱い4日間を過ごしました。今回は、このプログラムについてご紹介します。

 これまで私たちは東北の志の起業家の皆さまを支援してまいりました。そんな中、2016年4月、熊本地震が発生。何かお手伝いできることはないかと何度か訪問する中で、多くの熊本起業家と出会いました。東日本大震災の後、東北地方で多くの起業家が誕生したように、熊本においても復興の志士が生まれていたのです!

 熊本と東北の両地域で、使命感に燃えた熱い復興リーダーが生まれていることは希望と言っていいと思います。日本の北と南から、地域を変え、日本を変える、大きなうねりが生まれつつあるのです。

 そこで私は、熊本・東北、両地域の復興リーダーが語り合い、刺激し合い、学び合えば、地域を越えた新しい地方創生が始まると確信しました!

 そしてこの度、日本航空様と弥生様のご支援により、開催に至ったのです。

プログラムがキックオフ!

 2017年4月20日18時過ぎ、熊本から10名の起業家が仙台駅に到着しました。そして息つく間もなく、仙台駅近くのスペースを貸し切ってのキックオフイベントが開幕しました!

 この場では、熊本・東北、両地域の起業家からそれぞれの事業にかける想いや本プログラムへの意気込みが次々と語られ、会場は熱気に包まれます!

 熊本側の事務局を務めていただいた一般社団法人フミダス代表理事の濱本伸司様は「東日本大震災を乗り越えた東北から学ばせてもらいつつ、東北の起業家の皆様と一緒に取り組むことを3つでも4つでも作り出して熊本に帰りたい」と語られました。

 その他にも、東北での学びを熊本に伝えるだけでなく、経営者として培った経験を東北に還元できないか見定めたいという声も多く聞かれました。

 参加者全員の本プログラムへの参加目的が明らかになり、お互いの親交も深まったところで、初日のキックオフイベントは盛況のうちに幕を閉じました。

東北リーダーズ・カンファレンスへ

 翌朝、熊本起業家は仙台駅から一路、女川町へ向かいました。

 4月21日、22日に開催される“東北リーダーズ・カンファレンス”に合流するためです。こちらは、東北での震災以降の活動を通じて形成された、東北各地の地域リーダーや東北で活動する企業やNPOなどのビジネスリーダーが一堂に会し、各分野・各地域の課題を共有し、解決を図るとともに、新しい東北の創造と発信を世界に向けて行なうものです。

 会場となった女川まちなか交流館には100名以上の参加者が集まりました。今回の目的はコミュニティ・ビルディング。リーダーが集まり、出る杭を伸ばし合い、それぞれに突き抜ける"何かを成し遂げる人どうしをつなげる会"と位置付けられています。

 特に白熱したのは、ピッチ&キャッチというコンテンツ。各分野からのリーダーから新規事業やそれに伴う課題をピッチ形式で発表し、その直後に参加者から率直な感想や協力の提案が矢つぎ早に返されていきます。このような、互いの事業や課題の共有、解決策や提携の提案が深夜まで続きました。

 東北リーダーズ・カンファレンスの最終日には、この会を通じて生まれた多くの提携がアクションプランという形で発表されました。そのアクションは会場前方に掲示されたカレンダーに書き込まれていき、来年の岩手県釜石市で開催される東北リーダーズ・カンファレンスに引き継がれます。

 こうして興奮冷めやらぬ中、東北リーダーズ・カンファレンスが幕を閉じました。

熊本起業家は何を感じ、何を持ち帰るのか

  熊本・東北の復興リーダー交流プログラムも終盤の3日目深夜。宿泊先の一室にて、熊本起業家と私は、東北起業家と交流した3日間を振り返っていました。

 万葉福祉会の山田朝日取締役は、「東北の熱い気持ち、強い連帯感が伝わってきた。東北には起業家だけでなく行政や民間、第3セクターが一体となれるコミュニティーの存在を知った。セクターや地域をまたいで関われているのが羨ましい」と東北のリーダー達が組織や地域という枠組みを越えて、協力し合う姿に感銘を受けたようでした。

 また、「私たちが本プログラムに”参加”するだけでは意味がない。半年後、1年後に向けて、何を思って、どう成長したのか。その成果を見せることが重要。熊本地震をきっかけに熊本の人々は新たなステージを踏み出した、というメッセージを出していきたい」と熊本に戻った後の目指す姿を熱く語られました。

終わりに

 熊本に戻った起業家の動きは非常にスピーディ。本プログラムに参加した熊本起業家を中心に、熊本の起業家コミュニティが発足しました!

 毎月定例会を開催し、個々の起業家だけでなく、熊本から1つでも多くのアクションを起こしていくとのこと。

 それぞれの事業やバックグラウンドも異なる中、本プログラムを通じ、目指すべき熊本の未来像を共有できたのかもしれません。熊本起業家と東北起業家の新たな連携も生まれました。

 今後も一般社団法人MAKOTOは熊本と東北の起業家交流を通じて、志の起業家を応援していきます!

■関連サイト
一般社団法人MAKOTO

竹井智宏(一般社団法人MAKOTO代表理事)

著者近影 竹井智宏

1974年生まれ。東北大学生命科学研究科博士課程卒。2011年7月東日本大震災を契機に一般社団法人MAKOTOを設立。同月、米国カウフマン財団のカウフマンフェローに選出される。東北の起業家支援に力を入れ、日本初の再チャレンジ特化型ファンド「福活ファンド」を組成し、起業家の投資育成活動を展開。起業環境作りとしては、世界の若手起業家約12000人でつくる「EO(アントレプレナーズ・オーガニゼーション)」の東北支部「EO東北」の立上げに尽力。2015年、日本ベンチャーキャピタル協会より「地方創生賞」を受賞。2016年、日本財団より、日本で10人の「ソーシャルイノベーター」に選出。東北大学特任准教授(客員)。

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