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宅配業界の人手不足に勝機!段ボール首位レンゴーの秘策

2017年05月16日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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自社開発した「商品に合わせて箱の高さを自在に変えられるシステム」(上)。箱を開けてすぐに陳列棚に並べられるパッケージ(下) 写真提供:レンゴー

 今や、社会現象にまでなった“宅配クライシス”。そんな中で、満を持して事業機会をうかがう老舗メーカーがある。国内トップの総合パッケージ・メーカーのレンゴーだ。

 世間で宅配業界の人手不足問題などが注目される中で、あらためて脚光を浴びているのが、レンゴーが数年かけて自社開発した外販用の新型マシンだ。近年、急増するインターネット通販で、商品を出荷する前に段ボール箱を最適の形状に整える自動梱包システムである。これで、宅配ドライバーがトラックに荷物を積み込む際の“積載効率”はぐんと上がる。

 例えば、(1)商品に合わせて箱の高さを自在に変えられるシステム、(2)内容量に合わせて箱の大きさを調整できるシステム、(3)内容量に合わせて中の蓋(ふた)を固定できるシステム、(4)内容量に合わせて四隅に切り込みを入れて畳むように包み込むシステム、などがある。

 「ある程度の数量がまとまれば、新型マシンが20~30人分の仕事をしてくれる」と同社は性能に自信を見せる。確かに、導入すれば、物流センターでの慢性的な人繰り難は緩和されるだろうし、何より生産ラインの効率化が進む。

 昨年の秋から問い合わせが絶えない自動梱包システムだが、初期投資の目安として8000万円以上掛かる。そこで、現在では半額程度の廉価版も投入している。

進化し続ける段ボール

 一方で、消費者に身近な郊外の量販店やスーパーマーケットなどの現場(店舗販売)向けにもユニークな製品を提案している。

「運ぶ+並べる=売れる」という触れ込みで、すでに1800社以上で採用された。「シェルフ・レディ・パッケージ」と呼ばれる製品は、物流センターから店舗に送られてきた段ボール箱を切り込みに沿ってパカッと剥がせば、そのまま陳列棚に並べられる箱になる。

 一般的な段ボール箱は、人がカッターで切って開梱する必要があるが、同社の製品なら作業の習熟度に関係なく、時間が短縮できる。このパッケージの開発は、同社の保守本流である包装技術部門、ほぼ女性ばかりで構成されるデザイン・マーケティングセンター、素材や技術を探究する中央研究所が、横断的に協業したプロジェクトで、社内の期待は大きい。

 2000年に住友商事の副社長から転じて以来、レンゴーをけん引する大坪清会長兼社長は、原紙から段ボールまでを一貫生産するばかりでなく、あらゆる産業の全ての包装ニーズに最適なシステムを提案するとして、「世界一のゼネラル・パッケージング・インダストリーを目指す」と標榜してきた。わざわざ社名の前にGPIと冠すほど、経営は前のめりである。

 段ボールは、世の中に登場して100年以上がたつコモディティだが、過去9年で需要は187%伸びた。まだまだ、工夫の余地はありそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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