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コストコのガソリン激安販売がピンチに陥った理由

2017年05月08日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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業転玉の減少が、ガソリン価格の上昇圧力につながっている Photo:JIJI

 コストコホールセールのガソリン販売がピンチだ。販売するガソリンや軽油、灯油等の石油製品の仕入れが難しくなっているというのだ。ある業界関係者は「4月以降、コストコが玉(石油製品)を融通してくれないかと、方々に問い合わせをしている」と打ち明ける。

 コストコは郊外にある会員制の倉庫型小売店。中間流通業者を介さない、独自の仕入れ方法によって得られる価格競争力が強みだ。

 生鮮食品や家電、日用品などを扱っているが、2015年6月からガソリン販売もスタート。現在、全25店舗中6店舗が店舗敷地内でガソリンスタンドを運営している。売りはやはり低価格。近郊のガソリンスタンドと比較して1リットル当たり7~8円前後安いことはざらで、車で訪れる買い物客の“ついで給油需要”を取り込んでいる。今やコストコはガソリン市況の価格破壊者となっている。

元売りも圧力?

 そんなコストコのピンチを知って、石油業界関係者は留飲を下げている。

 最大の要因は旧JXホールディングスと旧東燃ゼネラル石油の統合会社で、販売シェア50%超となったJXTGホールディングスの誕生だ。

 これまでコストコは、燃料商社間で売買される石油元売りの余剰在庫、いわゆる業者間転売品(業転玉)を安く買いたたき、販売していた。この業転玉の主な供給者が旧東燃だったのだが、旧JXと統合したことで、これまでの業転玉は旧JX側の流通経路で吸収できるようになり、市場に出回る業転玉が激減したのだ。

 これを受けて燃料商社も、「JXTG発足など業界環境の激変で市場の先行きが見通せなくなり、売買を控えている」(前出の業界関係者)ため、さらに業転玉の取引量が減少しているという。

 加えて、元売り各社が燃料商社などの取引先に圧力をかけているという声もある。「元売りは業者に『販売先登録用紙』に販売先を記入させるのだが、最近は正規販売ルート以外を登録させないように厳しく管理している」(別の業界関係者)というのだ。

 正規ルート以外、つまり燃料商社間の売買ルートを絞れば業転玉の取引量が減少する。結果的にコストコなどのガソリンスタンドが安売りできなくなり、ガソリン価格の上昇につながるからだ。

 もともと石油元売り業界は、4月からエネルギー供給構造高度化法によって供給能力の削減が義務付けられていた。さらに、出光興産や昭和シェル石油は6月までに主要製油所の定期修理を行い、稼働を止める。そんな状況に前述した要因が重なり、業転玉の取引量が4月以前に戻る可能性は低いという見方がもっぱら。コストコだけでなく、調達を業転玉に依存してきたガソリンスタンドのピンチは続きそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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