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今や「早慶近」が世界の評価!近畿大学、躍進のワケ

2017年04月21日 06時00分更新

文● 安田賢治(ダイヤモンド・オンライン

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4年連続志願者数が日本一、全国の高校教諭たちからも「改革力ナンバーワン」と評価されている近畿大学。従来の大学にない発想で改革を進めていることに加え、それをきちんと広報していくという戦略が奏功しているのだ。(大学通信常務取締役 安田賢治)

志願者数4年連続日本一
近畿大はなぜ選ばれるのか

今年の正月に近畿大学が打った新聞広告は「早慶近」という挑戦的なフレーズが使われて話題となった

 今年の私立大入試では、昨年より志願者が8%も増えた。下の表にあるように、志願者が10万人以上集まった大学が史上初めて6校となった。そのトップが近畿大だ。

 近畿大は、これで4年連続志願者日本一。今年の志願者数は14万6896人で、14万人超は1992年の早稲田大の15万7847人以来、25年ぶりの快挙となった。

 近畿大は10年前の2007年には志願者ランキングでは9位で、志願者数も6万人台だった。この10年で倍以上に伸びたのだ。昨年に比べても、志願者数は2万6981人、22.5%も増えている。今年もっとも志願者数が増えた大学だった。

 近畿大躍進の理由はたくさんある。中でも注目されるのが改革力の高さだ。

 大学通信は全国の約2000進学校の進路指導教諭に、毎年アンケートを行っている。昨年は711校から回答があったが、その中で「改革力が高い大学」はどこか聞いたところ、近畿大はトップの評価だった。

 志願者数上位の大学が「改革力が高い大学」にも数多くランクインしており、改革力の高さは志願者の多さと連動している面があることがうかがえる。

 実際、近畿大は絶え間なく改革を進めている。学部新設を見ても、10年に総合社会学部、12年に日本初の建築学部、16年に国際学部を新設した。現在、医学部を含む14学部48学科を擁する総合大学だ。

24時間自習室、近大マグロ…
改革+広報戦略が奏功した

 もっとも新しい国際学部は、語学教育で評価の高いベルリッツとタイアップして設置し、初年度から人気を集めた。

 同学部の狙いは、国際ビジネスで活躍するグローバル人材を育成していくこと。入学後、半年間は少人数での語学教育を受ける。

 また、海外のことを学んで、1年生の後期から2年生の前期まで1年間留学するのが必須だ。現在、留学中の学生の映像をホームページで公開中だ。改革力だけでなく、広報力の高さも近畿大の特徴だが、こういった留学先での映像は他大学ではお目にかかれない。

 さらに、20年の完成を目指してメインキャンパスの整備も進んでいる。タワー校舎の建設をはじめ、2400席用意される24時間オープンの自習室を設置する。

 自習室設置の狙いは、今の高校生のライフスタイルにある。今の高校生は家で勉強せず、図書館、学校や塾、予備校などの自習室、教室などで勉強するのが主流だ。ところが、大学にはあまり自習室が用意されておらず、大学に進学すると学習スタイルが変わってしまう。それを高校生のライフスタイルに合わせようというのだ。今年は蔵書の3割がマンガという図書館も竣工した。

 それだけではない。研究力の高さも注目を集めている。クロマグロの完全養殖、ウナギ味のナマズの開発など、水産研究所の研究成果を、受験生や保護者にわかりやすく伝えたことで注目度が高まった。

 どこの大学も研究に力を入れているが、その内容はわかりにくく、受験生や保護者までは伝わらないのが普通だった。それをわかりやすく広報したのだ。近畿大のオープンキャンパスでは試食会が行われ長蛇の列ができる。さらに、大阪と東京に“近大水産研究所”という名のレストランを開業。養殖の魚と水産研究所の地元和歌山の野菜や名産の料理を提供するお店で、予約がなかなか取れない人気店だ。

現状をきちんと評価すれば
「早慶近」が正しい!?

 この他にも企業とタイアップして、クロマグロの中骨を出汁に使ったカップ麺の販売も行うなど、産学連携にも力を入れている。今までの大学にない斬新な取り組みが評価されている。

 卒業生のつんく♂がプロデュースした入学式も大変な話題になっている。他大学を不合格になって近畿大に入学してきた学生も少なくない。そんな彼らに、近畿大で頑張ろうという気持ちになってもらおうという思いからスタートしたイベントだ。

 入試の面では、日本で初めて完全ネット出願に切り替えた。今年から早稲田大、慶應義塾大、立教大もネット出願のみに替わり、今後の出願はネットが主流になることは間違いないところだ。

 女子受験生の増加も大きい。総合社会、建築など、女子に比較的人気の学部を新設してきたこともある。キャンパスを整備して、以前と比べて学習環境が改善されたことも大きい。女子は特にきれいなキャンパスを好む傾向があるからだ。

 このように、今までにない受験生目線の改革を次々と実行してきたことが、志願者激増に結びついた。今では、「近大ならどこの学部でもいい」という高校生も増えているという。難易度も上昇している。

 しかし、世間の大学への見方は保守的で、大学側が改革をどれだけ行おうとも、あまり変わらないものだ。

 今年初めに近畿大は、関西地方で「早慶近」という大きな見出しの新聞広告を打った。旧7帝大(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州)、早慶上理(早稲田、慶應義塾、上智、東京理科)、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)など、大学はグループで言われることが多い。

 関西でもトップ私立大グループとして関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)の呼び方が定着し、ここには近畿大は入っていない。そういった、旧態依然としたくくりの中から、大学を選ぶのはどうか?と疑問を呈するという内容の広告だった。

 実際、タイムズハイヤーエデュケーションの世界大学ランキングでは、日本の私立総合大を上位から並べると、「早慶近(早稲田、慶應義塾、近畿)」になる。まだまだ、今ある大学のグループの呼び名は頻繁に使われ、しかも顔ぶれが変わることはない。これを近畿大は打破していこうとの宣言とも取れる。次に打つ手が注目される。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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